2人戦の弊害

正確なタイトルは「ドミニオン:2人戦と4人戦の違いについての考察」ということで。
※というより、単純な2人戦と4人戦の比較というより、4人戦に慣れた人間の視点からみた2人戦の特徴の方が近いかもしれません。

弊害と書いたのは、タイトルで煽ってみただけで、特に私が2人戦に悪意を持っているわけでも、嫌悪感を持っているわけでもありません。
まぁ、これまでずっとリアルで、しかも4人戦(たまに3人戦)でしかドミニオンを遊んでこなかったため、オンライン(isotropic)での2人戦にいろいろ面食らったので、その辺の感想をまとめてみようかなということで。
※私は3人戦に関しては、どちらかというと2人戦より4人戦に近い、という認識でいます。

私と同じように、普段4人戦(3人戦)に慣れていて、これからオンラインなどで2人戦もやってみようかという方向けの参考にということで。

違い1)終了タイミング2人戦と4人戦の最大の違いは、終了タイミングだと思います。
これは2位の立ち位置が大きく違うためといえます。

大会、カジュアル・プレイに関わらず、ドミニオンをプレイする場合、基本的には獲得した勝利点ではなく、その多寡で競う順位が焦点となります。
そういう観点で考えると、現在最下位候補のプレイヤーにとっては、逆転しない限り、自分からゲームを終わらせる必要はありませんし、可能なら逆転するまでゲームを引き伸ばしたいと考えることになります。
※ただし、逆転するためには属州をはじめとした勝利点が必要で、それらを獲得することはゲームを終わらせる方向に働いてしまいますが。

逆に現在1位のプレイヤーは、その順位のままにサッサとゲームを終わらせたいと考えることになります。
で、4人戦の場合、現在2位や3位のプレイヤーに関しては、可能なら一つでも上の順位になるように頑張ると共に、自分より下の順位のプレイヤーに逆転されないようにプレイすることになります。
そのため、場合によっては1位のプレイヤーでなくても、2位や3位のプレイヤーが、今の順位を保つためにゲームを終わらせに動くことも、充分あります。

分かりやすいのが残りの属州が1枚の状態のときでしょうか。
属州が残り1枚で、全員が十分属州を買えるくらいデックが出来上がった状態で、1位から4位までの現在の獲得勝利点が、「27点、20点、19点、18点」という状態だとします。

現在2位のプレイヤーの手番で、属州+公領が買えれば逆転1位だけど、あいにく+Buyのカードを引けずに属州1枚しか買えない手札とします。
この場合、奇跡の大逆転を狙って今回の購入を公領に抑える人は余りいないと思います(大会などで、1位必至の状況などは別ですが)。
その後、3位や4位のプレイヤーが最後の属州を買うと、自分が3位に転落してしまうからです。
このように、1位のプレイヤーでなくても、ゲームを終わらせる場合がありえます。

これが2人戦の場合で、1位と2位の点数が「27点と20点」で、2位のプレイヤーが同様のシチュエーションになった場合、まず間違いなく公領獲得が正解になります。
2位のプレイヤー(つまり2人戦では最下位、つまり、これ以上順位が下がることはない)には、2位のままゲームを終わらせる理由がありません。

※また、2人戦の場合、順位の把握(すなわち2人だとどちらが勝っているかにつながりますが)には「自分と相手の勝利点の差」という1項目だけを覚えておけば事足りますが、4人戦で正確な順位を判断するには、自分を含めた4人全員の点数を把握する必要があり、より面倒になります。
そのため、「いま、何位かはよく分からないけど、放置しておいて(誰かに逆転されて)順位が下がると嫌だから、よく分からないけど、とりあえず終わらせる」「とりあえず属州を買えるなら、(最後の1枚でも)買う」といった方向でプレイする人も増えてきます。

2人戦と4人戦の最大の違いは、1位のプレイヤーがゲームを終わらせることが必須かどうかというところにあると思います。
4人戦の場合、1位が終わらせなくても、2位や3位が、今の順位を守るためにゲームを終わらせてくれることが、結構ありえます(あと、リアルのプレイだと、上記のように順位を把握できずに、とりあえず終わらせてくれることも)。
例えば通常の属州場の4人戦で、属州5枚を獲得したところでデックが力尽き、シャッフル後は公領さえロクに買えない様な状態になったとしても、残りの3人が均衡して争う状態であれば、そのうち、ほっといても1位は転がり込んでくる確率は高いでしょう。

これが2人戦だと、対戦相手は十分な枚数の公領や屋敷を獲得してから、最後の属州を買うようなプレイングをしてきて、下手をすると本当に逆転されます。
そのため、4人戦では最適となることが多い「属州3〜5枚を速攻で確保して、力尽きる」タイプのステロイドは、2人戦ではプレイしづらくなります。

+Buyや改築系などの飛び道具の無い2人戦の属州場でよくある典型的な動きとして、終盤、抜きつ抜かれつの展開で、2人がそれぞれ勝利点を買っていっている場合、属州が残り2枚になった段階で、何か見えない障壁があるかのごとく、属州購入の手がピタッと止まってしまうことがあります。
自分のターン開始時に、相手より1点でも勝利点が多ければ(後攻の場合、同点でも可)、最後から2枚目の属州を買って相手にターンを渡しても、さして問題ありません。相手が最後の属州を買っても、自分の勝利でゲームが終わるからです。

逆に、ターン開始時に1,2点負けていて(先攻の場合、同点も)、属州を買って逆転する場合、次の相手のターンに最後の属州を買われると、逆転負けでゲームが終了します。
その危険性を考えると、とりあえず公領で相手にターンを渡して、相手が公領を買えずに逆転した後や、相手が我慢できずに最後から2枚目の属州を買った後に、運よく属州を・・・と期待するプレイが発生するわけです。
厳密にいうと、相手の残りデックの状態(デックの総金量など)や、自分の残りデックの状態を鑑みて、「次のターンの相手の手札に属州を買うパワーはない」と見切れば(あと、次のターンの自分に属州、少なくとも公領を買うパワーはほしいですが)、踏み込んで属州を買うことはできます。
が、そこまで相手のデックを観察する(その時点だけでなく、過去の分も含めて)のは、かなり面倒だったりします。
オンラインで、相手が常にコインを「all」でプレイしてくれていれば、実際はかなり正確に把握できるはずですが、逆に、オンラインであの速度で情報が流れると、把握しきれないという面もあります。まぁ、真面目にプレイしているときは時間をかけてカウントしていれば出来ることもありますが、だいたいは相手のターンの待ち時間は、本を読んだり、webのよそのページを眺めていたりするので、そこまで真面目にやっていなかったりします。
また、自分の方も、序盤や終盤は特に「all」でコインをプレイせずにプレイすべきなんですが、まぁ、同じく面倒くさいんで、「all」でプレイしていることも多いですね(リアルだと、余分な分のコインは隠してプレイしていますが)。

まぁ、最低限、相手が「毎ターン余裕で属州を買えるデック」なのか、「点差が開いたので、しぶしぶデック構築途中で勝利点を買い始めたので、結構、買えない確率も高いデック」や「勝利点を買いすぎで息切れしているデック」なのかくらいは、考えた方がいいような気がします。
後者の場合は、逆に踏み込まずにだらだらしていて、自分の方にシャッフルが入って、たまたまデックの上の方に弱いカードが固まっていて、その時にたまたま相手がデックの強いところを連続して引いたりすると、思わぬ逆転負けを喫する危険性も出てきてしまいます。

また、鍛冶屋などの単純なステロイドをプレイしようと考える場合は、後から追いつく可能性のある変なコンボや多量の+Buyなどが絡んだアクション連鎖があり得ないかは、事前にチェックが必要となります。
もし、あり得る場合、相手が同様に鍛冶屋ステロイドを仕掛けてくるなら、こちらもステロで立ち向かってもいいですが、相手がそういうコンボに向かう雰囲気の場合、少なくとも独力でゲームを決められるだけの準備が必要になるでしょう。その方法が、同じようなコンボに向かうのか、いつもより準備を少し長くしたステロにして、場の勝利点の過半を買い切れるようにするかは、その時の選択になりますが。

そういった諸々の要素を考えると、4人戦の時に比べると若干ですが、2人戦ではステロ系のプレイングはマイナス評価、コンボ系などの準備に時間がかかるプレイングはプラス評価になることが多いような気がします。

あと、2人戦でたまにある嫌な展開として、ほぼゲームが決まっているのに(極端例は、残りの勝利点を全て相手が買って、自分が全ての呪いを受けたとしても点差が逆転しないし、破壊工作員みたいなアタックもない場合とか)、とりあえず負けている側が受身で、勝っているほうがゲームを決めるまで(最後の属州を買うとか、3山切れするまで)、延々、ゲームが続くような展開があります。
負けているほうは、ポイント・カウンターを見ながら「負けている⇒自分は終わらせない」というほぼ自動的なルーチンでプレイしているだけなんでしょうが、非常にダレます。
これがリアルの4人戦だと、まず「(何位になるか)よく分からんが、とりあえず属州を買えるなら、買う」という人が出てくるので、そこまでゲームが引き伸ばされることは、ないでしょう。

違い2)一人あたりのカード割り当て枚数勝利点カードの場合、それぞれ8枚になるので、人数で割った一人あたりの割り当て枚数(8枚÷2人)は4枚となり、4人の場合(12枚÷4人)の3枚よりは多くなります。まぁ、3人戦とは、同じ4枚/人ですし、通常の属州場の場合、一人当たり3枚と4枚の違いは、そこまでプレイングに影響を与えないことも多いような気がします。

勝利点カード以外の通常の王国カードの場合、2人だろうが4人だろうが1種類10枚になります。問題になるのは、集めると強力な力を発揮するカードの場合です。
例えば、以下のようなカードたちです。

愚者の黄金、寵臣、錬金術師、拷問人(村系などの+アクションあり) など

4人であれば自分一人が無視しても、残り3人が分け合えば致命的な脅威にならない場合でも、2人戦の場合、自分がそのカードを買うことを放棄すれば、相手は最大10枚までアクセスする権利を有することになります。

また、4人戦の場合、そのカードに手を出したはいいけど、3〜4人で分け合ったために2〜3枚しか手に入らず、それなら他のカードを買っていた方がよかった、という展開もあり得ます。
2人戦の場合、2人で分け合っても5枚程度にはなります。つまり、分け合う展開でも十分威力を発揮する枚数を獲得できます。
で、十分な枚数が集まるなら、これらのカードは尋常でないパワーを発揮します。

そのため、かなり明確な対抗手段がない限り、勝つためにはそれらのカードに行かない理由がなく、そうなるとかなりプレイ方針が固定されて、あまり面白くないと感じることが多いような気がします。

また、特殊勝利点がある場合、同様のことが起こりえます。

とりあえず属州の確保を放棄してブドウ園などの特殊勝利点の確保に専念すると、4人戦ではありえないくらい時間が稼げてしまいます。4人戦なら、1人がそういうプレイをしても、3人が通常の属州プレイなら、一人あたりの属州割り当ては3枚が4枚になるだけで、それ程、プレイングに変化は必要ありません。
これが2人プレイの場合、対戦相手が全く属州に触らず、自分だけで属州を買い切ってゲームを終わらせようとする場合、8枚買う必要があります。これは、さすがに通常の3〜4枚属州を買うだけのプレイングとは、かなり変わってきます。

最初にサプライを見たときには、そういう展開があり得ないかは検討しておく必要があります。

違い3)一部のアタック・カードの効率泥棒、海賊船、義賊などのアタックに関しては、人数によって効率がかなり変わってきます。
また、支配なんかは、対戦相手が一人しかいないので、少し趣が変わることがあります。例えば、支配―仮面舞踏会がある場とか。
まぁ、この辺は些細なところでしょうか。


やってみれば2人戦には2人戦の、4人戦には4人戦の良さがあります。
2人戦の場合、とりあえずダウン・タイム(対戦相手がプレイしている間の待ち時間)が短くなり、基本的にプレイ時間が短くなる傾向があるのが利点でしょうか(コンボ系が増えることなどもあって、単純に4人戦の半分になるとは言いがたいですが)。
ただ、(4人戦になれた人間から見ると)ゲーム終盤の動きで、たまにダルい思いをすることはあるでしょう。

逆に4人戦の場合、終盤にそういったストレスを感じることは少ないでしょう。
また、もともと、ドミニオンのカードは4人戦を前提に設定されているので、ほとんどのカードは安定して使用できるでしょう。
ただ、まわりの思惑次第でゲーム展開がかなり変わることが多く、特に初対面の人たちとプレイする場合、そこがストレスや敗因になることが多いでしょう。

ではでは。