同盟のちょっとした話

お久しぶり、または初めまして。

記事を書くのは昨年のドミニオン Advent Calendar 2021以来となります。何かこういうきっかけないと最早記事をかけない体質になっているような。

企画を立ち上げた うりはりさん、ありがとうございます。

adventar.org

さて、今年は同盟が発売され、各種第二版が発売され、年末進行で新拡張Plunder(劫掠?)が発売とかなり盛沢山だった気がしますが、その中で同盟は何というか錬金臭がするというか、既に埋もれている感がします(個人の感想です)。

 

ランダム・サプライだと連携カードと同盟がかみ合ってないことも多く、分割カードもやりづらいことが多いかなと。

ただ、(基本-同盟などで)大会サプライが組まれる場合は、組み合わせが絞られるため、予習しやすい拡張かもしれません。

流石に予想サプライ(第2戦は庭園、もとい特殊勝利点場とか)は私には難しいですが、主に同盟(カード)周りで、「あっ、こんなことにもなるのか」と思ったことをちょこちょこと書いていってみようかと思います。

 

ちなみに私のプレイ環境ですが、ステ・ドミ(ドミニオン・オンライン)ではなく、スマホで隙間時間にアプリ(Temple Gates Games LLC)で遊ぶのがメインと、多分、ドミニオン Advent Calendarの読者の方々とは違う環境かなと。Gokoの時の遺産で冒険まで拡張持っていて(各種第二版は第一版を買っていれば追加購入なしで選択可能)、そこに同盟を新規購入した状態で遊んでいます。

ないと思いますが、アプリにバグがあったりしたら、ルール勘違いしている可能性があります。

あと、最近の流行から取り残されたところで一人で遊んでいるので、書いてあることが「既に知っている」「間違いだ」という場合は、読み流してください。

 

【連携カード

道化棒 ・下役 ・契約書 ・ギルドマスター

ごますり ・輸入者 ・生徒 ・仲買人 ・密使

同盟に存在する9種類の連携カードのうち1種類以上がサプライにある場合、同盟が1枚採用され、各プレイヤーは1好意を与えられます(輸入者があると更に好意+4)。ちなみに連携カードが2種類以上あっても使用する同盟は1枚です。

一部違うものもありますが、基本的には連携カードで好意を獲得し、その好意を消費して同盟の効果を利用するということになります。

ランダム・サプライでありがちですが、連携カードと同盟が噛み合っていないと、「お前何しに来た(主に同盟カードが)」状態になることもしばしば。

また、道化棒~ギルドマスターまでの4種類は、プレイすればだいたい好意を獲得できますが、ごますり~密使の5枚の場合、好意を獲得する条件が面倒(もしくは輸入者に至っては最初に多めに好意を配る代わりにその後の好意獲得は0)なので、その面倒な手順を踏んでまで好意を獲得して同盟を利用する価値があるのかという判断が必要になります。

 

道化棒

 

4つのうち2つの効果を選ぶ財宝カード。「+購入」や「トップデッキ」はたまに非常に役立ちますが、一般的には「+1金」「+1好意」が選ばれることが多そうです。

2コストにしては小回りが利きますが、出力は2コスト相当と言えます。

そのため、手先などと同様に「いつデッキに入れるのか」「何枚入れるのか」が問題になります。初手4-3で買うには貧弱ですが、他に+購入や追加獲得のないサプライだと、どこかでしゃがんで(3金以上出ていても購入して)デッキに入れた方がいい場合もあるでしょう。逆に引き切りデッキに道化棒を5枚入れれば、引き切れれば毎ターン山の民の効果を受けられますが、引き切りデッキに道化棒5枚入れる余地があるのかという話もあります。

サプライに連携カードが道化棒しかない場合は、どのくらいの頻度で同盟を使用したいかを考えて、道化棒を何枚入れるか考える必要があるでしょう。

 

下役

好意しか産みませんが、キャントリップなので使いやすくはあります。

銀行家連盟小売店主連盟みたいな好意を貯めていく(もしくは貯めた状態で連携カードを使う)と強い同盟の場合、何も考えずに下役を掻き集めてプレイする(あとできればちょっと圧縮)だけで強いこともありますが、逆にデザインされたサプライでそういう組み合わせはあまりなさそうな気もします。

 

契約書

財宝なのでアクションのように被ってプレイできないこともなく、持続の方の効果も非常に有用(持続中にシャッフルが入って使用回数が減る可能性がありますが)と言えます。

 

ギルドマスター

ポイントは「このターン、カード1枚を獲得するとき、+1好意」と、何か獲得する毎に好意を得ます。

同盟が建築家ギルドの場合、ギルドマスターを2枚プレイした状態(玉座の間などでもOK)で属州を購入すると、そこから下位のコストのカードを順々に獲得できます(属州→宮廷→国境の村(+おまけ)→研究所→鍛冶屋→村→村落みたいな)。

獲得なので、ターン中に工房で獲得したカードや、名品の過払いで獲得した銀貨などにもレスポンスして好意を獲得します。

建築家ギルドとの組み合わせはなさそうですが、大量獲得カードと好意を大量に消費する同盟を組み合わせてとかは、あるかもしれません。

 

と、ここまではいいのですが、ここからはちょっと使いづらいところがあります。

 

ごますり 

ごますりを獲得した時と廃棄した時しか好意を得られません。そうなると継続的に好意を得ることが難しいところがあります。
効果も序盤に1枚程度だと屋敷を捨てればというところがありますが(特によろずや-ごますりみたいな手札だと効果大きそうですが)、普通のデッキでは複数枚入れている余裕はないことの方が多いでしょう。

改築系などの廃棄して役立てる系のカードと一緒にサプライにあると使いやすいところがあります。平和的教団木工ギルド支配でも獲得できますね)みたいなアクションを廃棄できる同盟との相性は良くなるでしょう。

 

輸入者

ゲーム開始時に各プレイヤーに配られる好意が+4(つまり好意5からスタート)となりますが、他に連携カードが場になければ、好意がそれ以上増えることはありません。場にある連携カードが輸入者のみの場合、好意を消費するタイプの同盟だとゲームを通じて使用できる回数が最初から定まるため、より計画的に使用する必要があります。

また好意1でなく好意5を持ってゲームが始まるため、通常は初手から使えない好意2以上消費の同盟でも初手から使えるようになりますし、好意1の同盟でも初手から連打可能になります。1ターン目に購入した民兵都市国家で即打ちしたり、工芸家ギルド民兵を山札に載せて2ターン目に打ったりといったことも可能です。選ばれた同盟次第ですが、いつも以上に初手からのパズル感が増えることも多い気がします。

 

生徒

アクションは減りませんが、手札を1枚廃棄するだけ。財宝を廃棄しないと好意を得られませんが、財宝(銅貨)を廃棄した場合は山札トップに戻り序盤の拡大再生産の邪魔になりがちと、かなり使いづらい感があります。

写本士の仲間たちと組み合わせると、手札にある財宝カード(銅貨)を好きなだけ(後から引いてきた分も含めて)廃棄できるかなと。

 

仲買人

初手4-3で購入した場合、序盤(2周目)に屋敷を廃棄して得るのは+2金で、屋敷を廃棄し終わったら何を廃棄するの?という話があります。

一応、引き切りで山賊海賊あたりで拾った金貨を廃棄して大量の好意を得て、島民のような消費する好意の多い同盟を使いまわすこともできますが。

 

密使

密使でドローした際にシャッフルが入らないと好意を得られないということで、密使で安定して好意を得るのは結構手間です。一番簡単なのは、途中で何か獲得したり、倉庫みたいな捨てるカードの入った引き切りとかでしょうか。

【同盟】

初手配分を変えられる同盟

穴居民砂漠の案内人森の居住者罠師の小屋などは、好意1でも使えるので、初手の配分を変えることができます。
例えば初手5金で魔女を買って、2ターン目に砂漠の案内人で2金の手札を流したり、罠師の小屋で1ターン目に購入したカードを2ターン目にプレイしたり、穴居民や森の居住者で山札を削って、1ターンの最後や2ターンの途中でシャッフルを入れたり。

サプライに輸入者がある場合(開始時に好意5)は、更に範囲が拡がります(都市国家工芸家ギルドなどなど)。

ただ、ランダム・サプライなどでは注意すべき項目ですが、初手格差(5-2と3-4とか)が拡がるので、サプライは作りづらいかもしれません。

高原の羊飼い

2戦目の庭園ではないですが、色々サプライが考えられる同盟な気がします。

流石に、道化棒ごますり、高原の羊飼いみたいな、露骨なサプライはないと思いますが、片方だけ入れて属州組と競らせるみたいなのはありな気がします。

逆に2コストの連携カードを外して、+購入いれて、最後に10金2購入(属州+屋敷)できて、ある程度好意貯めてた人が勝つみたいなのもあるかもです。

 

以下、雑談に近いですが(これまでも雑談に近いですが)。

 

遊牧民団

サプライによっては、遊牧民団が唯一の+購入や+アクション(鉄工所で3コス以上のアクション獲得・遊牧民団起動 等)の元になることがありますね。

 

砂漠の案内人

手札が腐った場合の回避手段にもなりますが、ターン開始時のプレイは好きな順番でプレイできるので、契約書にこめたごますりを発動してから砂漠の案内人を使うようなことも可能ですし、逆に船着場が持続しているなら、まずは5枚入れ替えてから2枚引く方がお得なことが多いでしょう。

好意が稼ぎやすい場だと、民兵などのアタックの価値は下がりそうですし、前哨地などのリカバリーにもなるでしょうか。

 

発明家の家族

ポイントは下がったコストは全員共有な点でしょうか。

初手4-3でもいきなり5コストのカードが買えますが、他プレイヤーも利用できるという点で、方向性逆ですが、何となく徴税を思い出します。

たまに、国境の村狂戦士のような「このカードよりコストが少ないカード1枚を獲得する」カードのコストを下げると思わぬことが起きる場合があります。

 

すり師団

リアルではそれ程でもないと思いますが、アプリだと処理が面倒ですね。

ポイントは「(5枚以上なら)1枚捨てる」でなく「4枚にする」点でしょうか。

保存や探検のように前のターンの最後に手札を増やす方法は旨味が少なくなります。

逆に坑道みたいに捨てたら系や急使みたいな捨て札利用系にはありがたいことも。

船着場などを使用している場合は、その持続効果の前にすり師団の効果を先に適用することを忘れないようにですね。

 

罠師の小屋

 

獲得なので、工房系で獲得したカードや、対戦相手が配った呪いにも反応します。

リアルではないですが、アプリだと間違って呪いをトップに載せて無駄に好意を消費しないように気を付ける必要があります。

 

【その他のカード】

航海

初めて見た時はアプリのバグかと思いましたが、複数の航海で3ターン以上連続した自分のターンを得ることができます。

ポイントは、【プレイ時に】「直前のターンがあなたのターンではない場合」ということでしょうか。

通常ターンに航海を2枚プレイしてターンを終えると、その後2ターン連続で(航海による)追加ターンが得られます。航海ターンのクリーンナップに持続中の航海の1枚が捨て札に落ちていく感じです。

宮廷×3・航海×4とプレイすれば13ターン連続で自分のターンですし、行進して墓地から引っ張り上げるプレイだと、もう少し増やせそうでしょうか。どこまで行けるでしょう?

寄付と改築系があったら、あるだけ航海プレイして、持続中の航海と属州1枚と改築系だけ残して、航海ターン分だけサプライから属州を削ることも可能ですね。

 

普通にプレイする分には手札から3枚まで制限があるため、少数のカードでどうにかなる(廃棄・改築系とか、策士保管庫とか)デッキでは有用ですが、コンボ系とかステロ(お金が並べられない)とかだと使いづらいですし、特に船着場みたいに持続系を使う場合は盤面がリセットされて逆に害悪という場合もあるような。

 

進路

同盟のカードではありませんが、今年出たカード中で一番好きなカードと言われると、私はこのカードかなと(Plunderの全カードリストは、まだザっとしか目を通していませんが)。

書庫をプレイした際にアクションが増える」のは、村有緑地でも経験していますが、進路は獲得時、廃棄時も対応可能なため、「進路を改築してもアクションも改築種も減らない」とか、「鉄工所で進路を取ったらアクションが増えた」といったこともできます。

同じ異郷だと、魔女の小屋で4枚引いて、さらに2枚掘り起こしつつ、呪いをまきつつ、アクションが増えるみたいなこともできますね。

廃棄の際のことを考えると、城砦なんかも頭に浮かびますが、進路は手札に戻るのではなく場にプレイされるので、悪だくみしたいときは工房系のような進路を掻き集めることのできるカードが場にあるかも大事な要素と言えます。

 

 アプリの話

アプリ(Temple Gates Games LLC)は、隙間時間でスマホで遊べる点が良いですね。

私はオンライン対戦はせずに、AIとの2人戦ばかりやってます。

対戦相手のAIは3種類の中から一番厳しいハード・モードを選んでいますが、結構勝てません。私の成績は勝率1/3もないと思います。

多分ですが、双方の山札に手を加えて難易度調整しているのかなと思うところがあります。例えば、AI側はシャッフルの際にアクションが上の方に来る確率が高くなっているとか、プレイヤー側は下の方に来る可能性が高くなっているとか。他にもアクションが残っている時と残っていない時で引くカードが変わるとか。多分、自分の敗けがこんでいるので被害妄想に駆られているだけだと思いますが。

普通にランダムに結果を出す場合と、手を加える場合の確率が設定されていて、手を加える際はシミュレーターみたいに適当な条件設定して対応しているんでしょうか?

プレイし続けると逆境には強くなるかもしれませんが、プレイが歪む危険性もあるかなと思わなくもないです。

次回記事を書くことがあったら、その辺を検討してみるのも面白いかなとか思っています(あまり需要なさそうですが)。

 

だらだと続いてオチがない感じで申し訳ありませんが、今回はこれくらいで。

では、みなさん、よいクリスマス、よいお年を。

ドミニオンの記事でたまに見かける議論について思うこと

ドミニオン アドベントカレンダーを見かけて、久しぶり(実に数年ぶり)に何か書いてみるかと思い立ちました。

企画を立ち上げた うりはりさん、ありがとうございます。

adventar.org

そう思いつつ、各種ログイン登録など面倒に思ってなかなか動き出せず、やっと重い腰を上げて登録など済ませてみたら、既に12月24日しか空きがなく。3週目くらいの平日に目立たず紛れ込みたかった、やめようかなとも思いましたが、間違えて登録してしまったので、まぁ、これも縁だし書いてみるかなと。

前置きが長くなりましたが、たいしたことを書く気はありません。

たまにドミニオンに関するブログやtwitterなどで見かける議論や意見で、「それは、どうなのだろう?」と私が感じることについて、徒然なるままに書いてみようかと。

 

先手番と同じプレイングについての議論、勝率について

ドミニオンに限りませんが、ゲームで勝利を目指すということは、基本的には自分にとって最も勝率の高いプレイをすることだと思います。

求められる勝利の定義・内容が複雑化すると例外が出てきますが(例えば自分が1位になることより、特定の対戦相手が1位になることの阻止が優先とか)、今回はシンプルに自分が1位になることを勝利の定義として考えてみたいと思います。

 

たまに見かける議論で、私が?と思うものに他のプレイヤーより勝率の低いプレイングを(それだけをもって)非とする議論でしょうか。

わかりやすい例が章題にしている手番差の大きいサプライで後手番が先手番と同じプレイング(例えば、鍛冶屋ステロとか)をすることの是非とかでしょうか。

twitterなどでたまに先手番と同じプレイングをした場合、後手番は先手番より勝率が低くなるので、同じプレイングをすべきではない的な意見を見かけることがあります。

この意見に対して私が感じることは「問題点にすべきは自分の勝率を如何に高めるかであって、他プレイヤーとの比較はそれほど重要ではないのでは?」ということでしょうか。

 

先手番より勝率が低いから・・・」という意見が出る根底には「常にどこかに正解(ここでは他プレイヤーより自分の勝率が高くなるプレイイング)があるはず」という潜在意識があるのかなという気がします。

確かにベストのプレイをしても他のプレイヤーより勝率が低いのであればがっかりする話ですが、ただ現実は厳しいものです。

ドミニオンの場合、ゲームが始まって(ランダムに決まった)手番順に着席した時点で、何らかの有利不利が生じており、不利なプレイヤー(一般的には後手番のプレイヤー)が有利なプレイヤーと同じくらいの運で同じようなプレイング(プレイ方針)をとれば、有利なプレイヤーが順当に勝つ確率は高くなるでしょう。

でも、そのプレイングが自分の勝率を最も高くするプレイングなら、(有利なプレイヤーに対して)不利であっても、それを選ぶのは仕方ないことでは。

先手番と同じプレイングをするのは先手番より勝率が低くなるから避けるべきという意見に対しては、「先手番と同じプレイングをするよりも、(後手番の)自分の勝率が高くなるプレイング、できれば先手番よりも勝率が高くなるプレイングがあるの?」という反論になるのかなと。

 

もちろん実際にそういうプレイング(例えば、先手番のステロに対して後手番のコンボで十分優位に立てるとか)があるなら、それを採用すべきでしょう。

ここで言いたいのは、「常にそういうプレイングがあるとは限らない」ということと、実際に先手番有利を覆すプレイングがない場合、先手番より不利でも同じプレイングを取らざるをえないということです。

まぁ、人為的なサプライ(大会で使用するサプライ)などは、こういった手番格差や初手格差(5-2と4-3とか)がなるべくなくなるようにサプライを組まれているでしょうが、特にランダムサプライの場合は、露骨に格差があることも多いので、そういう場合は諦めて「自分の方が運がいいこと」を期待するしかないかなと。

 

・・・といった記事を書こうと思ってたら、既に似た内容で、もっと深い内容の記事が同じアドベント・リスト内にありますね。はい、終了。

harbor0255.hatenadiary.jp

状況(手番差、初手などの引きの差、実力差)が不利な場合、上振れ(自分の運がいいこと)を期待してプレイするというのは、私も同意見です。穏当にいけば妥当に敗けるが、運が悪ければ圧敗するけど運が良ければ勝てるかもに変わるのは勝率的には良くなってるでしょうから。

 

あと、先手番と同じプレイング議論の場合、他プレイヤーと同じプレイングをしても面白くないという話がごっちゃになっている場合もあるかなと。

練習の場合は、検討・参考例としてあえて先手番と違うプレイングをして結果を見てみるというのは、自分の知識の引き出しを増やすという点で有益な場合は多いかと思います(ちゃんとした知識にするためには、シミュレーターで検討するのが一番いいのかもしれませんが)。

ただ、結果を求められる大会等であれば、私は(他プレイヤーとの比較は関係なく)自分の勝率が最も高いプレイングを選ぶかなと思います。

実際はその場で最も勝率の高いプレイングなんてわからないので、自分が「最も勝率が高い」と思うプレイングを選ぶし、他のプレイヤーのプレイングも絡んでくるので、こんなクリアな議論はできないでしょうが。

 

カードの強弱についての議論

ということで、書こうと思ってた内容が中途半端となったので、追加でもう一題なんとか書いてみました。

 

たまに「このカード弱すぎる」という意見を見かけます。

これが、MtGのシールド戦等であれば、弱いカードを引くことは(その分、強いカードを引く機会を失っているので)マイナスといえます。

ドミニオンの場合は、弱いカードは「買わなければいい、使わなければいい」となるだけだと思います(詐欺師で変換されたみたいな例外は置いておいて)。

強いカードの場合、(特に4人戦で)手番差で獲得枚数が少なくなって不利ということはありますが、弱いカードは繰り返しになりますが「買わなければいい、使わなければいい」となるため、弱いカードがサプライにあることがマイナスになることは少ないように思います(弱くて使えないカードがサプライに多く、使えるカードの数が少ないと、取りえるプレイングの幅が狭くなりすぎて技量の差を示しにくくなり、単なる運ゲーになる可能性はありますが)。

 

ドミニオンでは「役に立つ(強い)」評価は役にたちますが、「役に立たない(弱い)」評価はそれほど大事でないかなと。

購入カードの選択についても、弱いカードを除外した残りで考えるより、使える(強い)カードの中からどれを選ぶか悩むのかなと。さらに選んだカードとの相性を考えると、次の選択肢はさらに狭まるでしょう。

実際、ランダム・サプライで遊ぶと、かなりの確率で「サプライに存在するけれど、ゲーム終了まで一度も触られないカード」が数種類存在しているかと思います。

 

では、そういった弱いカードはまったく必要でないかというと、そうではないと思います。

稀にではありますが、そういった弱いとされるカードを使った方がよいサプライが(低確率ですが)確かに存在しています。

例えば、最弱選手権をすればまず間違いなく候補の一角にあがる変成でも、他に使える低コストのポーション・カードがあって、呪い撒きがいて、長期戦になりそうなのに変成以外に呪い廃棄手段がないとか、荒れすぎて変成の公領獲得でも強そうみたいな長い呪文に合致するサプライであれば十分に使える場合があります。

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そういったサプライに出くわしたときに、見落とさずにそういった弱いカードを使えるかどうかも、ドミニオンの実力差の一要素かなと思います。

なので「このカード弱い」という批判はあまり意味がなく、「弱いけど、こういうときは使え」といった議論の方が有益なのかなと思います。

 

また、カード評価として「○○と比べて××は弱い(使えない)」という評価もたまに聞きます。

必要なのは、あくまで「現状のサプライで使える、役に立つカードなのか」であって、例えば囲郭村が弱いと思っても、労働者の村や吟遊詩人がないサプライでコンボを組みたければ囲郭村を使わざるをえない場合もあるでしょうし、引き切って16金出せるようになってもサプライに+購入が木こりや手先しかなければ、大市場が欲しいといっても無い物ねだりで、木こりや手先を使わざるをえないでしょう。

○○と比べて××は弱い(使えない)」といった評価は、同じサプライに両者が揃った場合にだけ考えればいいかなと。

あと両者が同じサプライにある場合、そういったイメージだけでなく、実際のサプライや場の状況(他のプレイヤーのプレイングなど)も加味して、比較検討する必要があります。

 

もちろん、あるカード(特に新拡張のカードとか)を評価する場合、とっかかりとして既存の似たカードと比較するのは、イメージがしやすくなるといったメリットがあり、そういった評価に意味がないわけではないです。ただ、とっかかりとしてはいいですが、そこが本質ではないかなと。

記事を書く場合、いろんな視点から何か書けることがないか考えて、新しい発見があると書きたくなるものですし、書くこと自体に問題はないと思いますし、例えば「最弱カード」みたいな話はネタとしては美味しいのかなとも思いますが、それが本質でない場合は「こういった考え方もある」くらいの紹介にしておくのがいいのかなと。

 

オチがない感じで申し訳ありませんが、今回はこれくらいで。

では、みなさん、よいクリスマス、よいお年を。

【個別カード解説】について

これまでの解説:基本セット(2コスト3コスト4コスト5・6コスト)、陰謀(11.523)、海辺錬金術、繁栄(1234)、収穫祭、異郷(1234)、暗黒時代(総説123)、ギルドプロモ

特に新しい記事ではありませんが、このまま埋もれるのももったいないかなと思って上にあげてみました。
何かの役に立てれば幸いです。

・・・ギルドが出たころに書いたものなので、現状そぐわないものもありますが、参考程度に見てもらえたらと思います。
今見直すと結構書き直したいところも多いので、暇なときに書き直すかもしれません。

低コストの特殊勝利点場について

ということで、某所で紹介いただいた記念に5年ぶりくらいに更新。

久しぶりに書くので見づらくなりそうですが。

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web上でたまに庭園について「デック枚数が増えると点数が増えるので長期戦に強い」みたいな説明を見かけることがありますが、実際に(4人戦の)大会なんかで庭園場が出てきた場合、「庭園は短期決戦で強い」という場合がほとんどになります(2人戦の物乞い・庭園みたいな例外は除いて)。

この場合、庭園は枚数が増えて点数が増えることが強いのではなく4コストで勝利点2点であることが強いことが多いです。

この辺は基本第一版のサイズ変形について、ゴチャゴチャ書いた記事を参照願います。

サイズ変形(その1) - nk377の日記

サイズ変形(その2) - nk377の日記

サイズ変形(中間まとめ) - nk377の日記

 

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で、こう考えると、4人戦で島や坑道などの低コストで2点の特殊勝利点と、工房などの獲得手段があるサプライでも同じことができるのではないかという気がします。

 

この場合の懸念点は、

・間違って長引いた場合、庭園だと1枚3点になる安心感があるが、島などにはない。

・短期決戦になるためには、4人中3人(少なくとも2人)は特殊勝利点(3山切れ)を目指す必要がある

といったところでしょうか。

 

サプライに庭園と工房が揃っていたら、黙ってても庭園に行きそうな人が出るので自分も庭園に行けますが、例えば島と工房の場合、他の人が追随してくれないと、島(坑道)は切れても2山目、3山目(工房庭園場だと、工房と屋敷とか)が見えてこないということが多そうです。

島だとある程度デックが整理できて属州まで伸ばせるかもしれませんが、坑道で自分一人だと単にデックが劣化して自滅でしょうし。

ただ、1番手が初手に普通の手を取った際に、残り3人が結託すれば1番手を追い落とせる場合もあるかなと。

一緒に場を囲むプレイヤーを見ることも大切ですねという結論でしょうか。

(推奨サプライ-1)初心者向け

先週末に海外に発注したEmpiresが手元に届いたのですが、ちょっとだけ残念なことがありました。
中に入っているカード整理のための敷紙がグチャグチャになっており、プラスチック・トレイの一部も破損していました。
たまたま今回の輸送方法が悪かったのか、Empiresの梱包に問題があるのかは、わかりませんが、ちょっと残念です。

さて、スリーブ入れをして、一人回しですが推奨サプライの一番目を遊んでみたので、その感想でも。

[Basic Intro](初心者向け)

2:Patrician(/5Emporium)
3:Chariot Race/Farmers' Market
4:Sacrifice/Villa
D4:Engineer
5:Forum/Legionary
D8:City Quarter
3-10:Castle
Event:Wedding
Landmark:Tower

推奨サプライ・カードリスト

Event(Wedding)が結構柔軟に使えてプレイの幅が広がる分、初回は判断に迷いそうです。
例えば初手4-3の場合に、Wedding (金貨獲得)を選ぶかどうかから迷いそうです。

開始時の「銅貨7、屋敷3」に[1]銀貨2枚を加えた場合と、[2]金貨1枚だけを加えた場合を比較すると、平均金量は若干[1]銀貨2枚の方が上になり、5金以上が出る確率も[1]銀貨2枚の方が高くなりますが、6金以上が出る確率は[2]金貨1枚の方が高くなります。
ありていにいうと[2]金貨1枚の方が、2周目(3〜4ターン)の金量が6金、3金のようなメリハリのある配分になりやすく、序盤としては好ましいように感じます。
また、金貨を確保しておけばLegionary(プレイ時に金貨を公開すると、強化民兵効果が発動)を使いやすいですし、逆に他プレイヤーのLegionaryをくらっても、金貨があれば耐えやすくなります。

初手4-3の場合に1ターン目にWeddingを選択すれば、2ターン目はDebtを返すだけになります(5-2でも同様のことはできますが、その場合は多分違うプレイングになるでしょう)。このサプライだと十分、選択肢の一つになり得ると思います。
逆に3-4の場合にWeddingを選択する場合、1ターン目は3金で何かを買い(Chariot Raceや銀貨など)、2ターン目にWeddingから3Debtの借金をもった状態で2周目に突入します。
3ターン目は3〜4金とかでDebtを返すだけ、4ターン目に6金といった展開が良さそうですが、逆に3ターン目に6金とかだと微妙(3、4ターンとも銀貨相当)かもしれません。
いずれにせよ2周目に金貨が底ったらかなり不味いですが、それはどうしようもないような(1ターン目Weddingなら1/11なので、2ターン目の2/12より確率低いですが)。
初手だけでなく、中盤も分割払い(ただしオマケVP付の代わりに金利が+1金)で金貨を獲得できるので、対応の幅は広がりますね。Legionary(民兵系)が吹き荒れるような展開でも、民兵系がサプライにある場合にありがちな「民兵の性でいつまでたっても金貨に届かず、先行で金貨に届いたプレイヤー(民兵下でも次の金貨に届く)にぶっちぎられる」といった展開は少なくなるでしょう。

別の方向性としては、初手EngineerからChariot Raceを集める方向性もあります。
1Debt残りますが、いかなる初手であってもEngineer×2スタートが可能です。
例えば3-4の場合、1ターン目にEngineer購入(4Debt獲得)した後に3Debtを返済し、2ターン目には購入前にまず1Debt返済してDebtを完済してからEngineerを購入し、4Debtのうち3Debtを返済することになります(1Debtが残る)。
このサプライの場合、2周目にEngineerが被ったとしても、1枚はVillaを獲得すればいいという話があります。
鍛冶屋のようなドロー・カード&連打したいターミナル・アクションがあるわけでもないので、そこまでVillaが必要なサプライではないですが、Chariot Raceに行く場合、1枚くらいは+購入がほしいところはあるので、最悪Engineerが被った場合のVilla獲得は、そこまで悪くはないように思います(状況次第では、VillaでなくFarmer’s Marketでもいいですが)。
また、Chariot Raceに勝つ(下家のプレイヤーより山札トップのカード・コストが高いと追加効果)ためにも、2周目のEngineerで獲得する1枚はSacrificeかなという気がします(銅貨などの比率を下げる)。あとはChariot Raceを集め続ければいいような気がします。
Engineerは邪魔になる少し前の頃(Chariot Raceが山切れ直前とか)に、追加獲得を発動して自身を廃棄すれば、晩節を汚すこともないでしょう。

Chariot Raceを集めた場合、幾つかの利点が考えられます。
・Chariot Raceの連打からそこそこ点数が見込める。特に下家の山札のトップ・カードが銅貨であるターンはチャンスと言えます。逆に、ずっと銀貨などがめくれたら点数もコインの追加もない単なるキャントリップとなることもあり、運の要素は結構大きいですが。
・Chariot Raceが山切れした場合、Tower(売り切れた山のカードが1枚が1VPになるランドマーク)からのVPが期待できる。
・Chariot Raceの連打からEmporiumを購入(獲得時に場にアクションが5枚並んでいると2VP)すると、そこからのVPが期待でき、Emporiumが山切れすると、Patrician/EmporiumもTowerからのVPが期待できる。
Spilit PileでEmporium の上に載っているPatrician(2コスト)を買うためにも、+購入は少しほしいところです。
・Chariot Raceを集めた場合、City Quarterをドロー・カードとして使えることが期待できる(ForumをプレイしてからのCity Quarterなら、それなりに引けます)。

ただ、Chariot Raceは勝たないと(負けた場合のみでなく同点もダメ、つまり銅貨 対 銅貨なども×)単なるキャントリップなので、よっぽど相方が重要なカードでないと初手には買いにくいところがあります。
Sacrificeも圧縮として考えると悪くない気もしますが、司教と違って屋敷を廃棄した際にコインが出ない(+2VPのみ)、銅貨廃棄する場合も実質+1コインと、2周目の購入時の金量を考えると初手には選びにくいところがあります。
廃墟がまかれるような環境だと、かなり楽しそうですが。

Forumなどを投入した場合、Patricianがかなり優秀で、Chariot Race共々、最低でキャントリップ、条件を満たすとキャントリップ以上となるので、Chariot Raceを重点的に集めない場合も、Engineer1枚(獲得するカードに困ることはなさそう)は投入していいかもしれません。

初手5-2(2-5)の場合は、Legionary(またはForum)+Patricianで、特に問題を感じないかなという気がします。5コストをLegionary(3コイン)を選ぶかForum(3枚引いて、2枚捨て札)を選ぶかは、2周目の金量(+中盤のアタック)がほしいプレイングか、回転率をあげる方向性のプレイング(Chariot+タッチSacrifeiceとか)にするかで選択すればいいのではないでしょうか。
Forumは山札回転手段としては、かなりいい感じですね。

Castleに関しては、このサプライだと流石に[Castle単]みたいなプレイは難しいかなという感じでした。普通に勝利点扱いのような気がします。
ただ、終盤に入る頃まで誰もCastleを購入していなければ、Humble Castle2枚取りできると、以降獲得するCastleカードが+2VPのオマケ付となるので、結構強そうです。
例えば、Engineerを廃棄しつつHumble Castle2枚、4金でCrumbling Castle購入で、1ターンに8点取れることになります。

Towerがあるせいで、他プレイヤーのプレイの影響を受けてプレイが流動的なところがあるような気がします。

カード・リスト

取り急ぎ、Empiresのカード(&イベント&ランドマーク)の一覧表を作成しました。
また、推奨セットの『Empiresのみ』『Empires+基本』の4セット分にしぼったリストを作成しました。
ご参考まで。
※pdfファイルとなります。

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Donate

さて、Empiresの情報も取りあえず揃った今日この頃ですが、Empiresで一番やばいカード(というかイベントですが)の候補、一番手は【Donate】ではないかと思います。


コスト:8Debt
タイプ:イベント
このターンの終了後に、すべての山札と捨て札を手札に加えた後に、好きな枚数のカードを廃棄する。
その後に手札をシャッフルして山札とし、カードを5枚引く。

※Donateの効果で手札を廃棄した場合、廃棄時に発生する効果は、Donateの効果で手札をシャッフルする前に発生する。
※このイベントの効果はターンとターンの間(ターン終了後に次のターンが始まる前)に発生する。

取りあえず一部のカードと揃うと、通常とは全く違う展開が待っています。

【青空市場】
一番簡単な例は青空市場でしょうか。
1ターン目:青空市場購入
2ターン目:青空市場購入
3ターン目:青空市場プレイ、3枚目の青空市場を購入しつつ、+購入でDonate購入
       3枚の青空市場以外全部廃棄しつつ、青空市場3枚はリアクション。
       手札+山札は、金貨3枚+青空市場3枚の6枚。(+Debtトークン7〜8枚)
4ターン目:金貨3枚で借金(Debt)返済
5ターン目:属州購入

4ターン目も青空市場買って青空市場を4枚にしつつ4ターン目にDonateするのと、最終的にどっちがいいんでしょうか?
もちろん、サプライの他のカードにもよりますが、Donateをちゃんとプレイする人数とかにも依存したパズル・ゲーになるような。

【封土】1ターン目:封土購入
2ターン目:Donate購入(3金返済)から全カード廃棄(封土廃棄からの銀貨3枚のみ残る)
3ターン目:銀貨3枚で借金(Debt)返済
4ターン目:金貨購入
5ターン目:属州購入

といったことができます。
状況によっては、銅貨2枚残して「銀貨3・銅貨2」にした方がいいかもしれませんし、サプライによっては2ターン目にアクションを買った方がいいかもしれません。

他に、【宝の地図】、いいアタック・カードがある場合の【従者】なども酷いことが起きそうですね。
そういった化学反応起こしそうなカードがなくても、5ターン目くらいに起動して、無駄カードを絞り切った現状での理想のデックに仕立てることもできますね。

なんというか、要注意なカードな気がします。