初手「広場(Plaza)」についての考察

予告どおりということではありませんが、一時期6400以上あったGokoのProレーティングは、先週負けが込んであっという間に6000切ろうかというところまで低下してしまった今日この頃。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて今回は「【初手:広場(Plaza)】はどうなのか?(有効なのか?)」という、最近疑問に思っていたことについて検討してみました。
その結果、「普通のサプライでも十分ありうる」という結論に至りました。

以前からGokoの対戦相手のプレイで見て「初手:広場って、どうなんだろう?」と思っていたのですが、先日実際に5コストに買いたいカード(予言者)があるサプライで、初手4-3の場合に「広場−銀貨」という初手を見かけて疑念が強くなったので、実際に検証してみました。
確率計算は手計算に近いので、初手4金−3金(3金−4金)での3〜4ターンの動きに限って検討してみました。

初手に村を買うプレイは、「その時点では村の+2アクションを必要とする状況はなく(単なるキャントリップとしてしか働かない)、銀貨を買った場合に比べて2周目(3〜4ターン)のコイン出力が下がる」ので、特殊なサプライで無い限り「良くないことが多い」とされます。
一般的には先に銀貨を買って2周目に確実に5〜6金の出る態勢にして、そこでアクション・カードを買い、その後にそれらを活かす村を買い始めるという手順の方が良いことが多くなります。

村ではなく広場を使う場合の相違点(利点)は、例えば3ターン目に広場を使って4金出た際に、銀貨を買いつつ余った1金(銅貨1枚)分をコイン・トークンに換えて持ち越せるところにあります。
また、初手に銀貨の代わりに村・広場を購入した場合、村(広場)のドロー1枚分だけデックの回転が進むことは利点といえます。初手に買ったもう一方の銀貨(もしくは銀貨の代わりに買った3コストのアクション・カードなど)が底に沈む(3〜4ターン目に引けずに5ターン目に引く)確率は約半分(2/12から1/11)になります。

あと、以前自分で計算した結果を忘れていたのですが、実は「初手:村−銀貨」の場合でも、3〜4ターン目のどちらかに5金以上が出る確率は約7割(69.7%)あります。
よく考えたら「11枚中に9金(銀、銅×7)」あって、そこから5枚×2回引くと考えると、5金出る確率はそこそこにはなりますね。

さて、「初手:広場−銀貨」の3〜4ターン目の結果は別紙1の通りとなります.
これだと細かすぎて分かりにくいので整理した結果、及び比較対象の結果をまとめたものが別紙2となります。

前提として、3〜4ターン目の場合、広場をプレイして財宝カードを捨てるかどうか判断するタイミングでは、必ず銅貨1枚が手札にあります。そのため広場をプレイした場合は、常に銅貨1枚をコイン・トークンに変換するものとしました。
購入カードの判断としては、5金以上がでれば5コストのカードを、3金と4金の場合は銀貨(3コストのカード)を購入し、2金以下の場合は購入カードなしとしました。
コイン・トークンについては、目的の5コストのカードを買うのに必要な「4金+コイン・トークン」、または銀貨(3コスト)を買うのに必要な「2金+コイン・トークン」の場合はコイン・トークンを使用し、その他の場合は持ち越すものとしました。

※3ターン目に「広場によるドロー後の手札が“銅貨×3、屋敷×2”(つまり2金+コイン・トークン)」となった場合に、銀貨を買わずに2金で我慢してコイン・トークンを持ち越すと4ターン目にそのコイン・トークン分で「5金(4金+コイン・トークン)」に到達するパターンもありますが(全体の1.6%)、このパターンは「3ターン目に銀貨を買って、4ターン目は5金に届かず」としています(このパターンの場合、3ターン目の時点では「銀貨が12枚目の底に沈む1/6の場合以外、コイン・トークンなしでも4ターン目に5金に届く」ため、5/6の確率を信じて3ターン目は銀貨購入としています)。

「初手:広場−銀貨」で3〜4ターンのどちらかに5金が出る確率は、約8割(79.2%)と、「初手:村−銀貨」の約7割よりも1割高くなります。
実はこの1割(9.5%)の差は、そのまま「3ターン目に広場をプレイして4金(3金+コイン・トークン)で、4ターン目の4金にコイン・トークンを足して5金到達」(9.5%)というシチュエーションの差になります(単なる村の場合、3ターン目に村をプレイして、3・4ターン目とも4金になるパターン)。
5コストのカードを買える確率が8割あれば十分という話もありますが、「初手:銀貨−銀貨」の約9割(91.2%)に比べると1割低くなります。

ただし4ターン終了時のデック構築としての成功水準を「初期カード+5コストのカード、広場、銀貨×2」とした場合、「初手:広場−銀貨」の場合は3〜4ターンに「5金/3金」が必要ですが、「初手:銀貨−銀貨」の場合は3〜4ターンに「5金/4金」が必要となります。
その点を加味して「+5コストのカード、広場、銀貨×2」の基準をクリアする確率でいうと、「初手:銀貨−銀貨」が57.1%に対して、「初手:広場−銀貨」は71.7%となります。
更に言えば「初手:広場−銀貨」の11.4%に関しては基準を満たした上でコイン・トークン1個の持越しがあります。
また、「初手:広場−銀貨」の場合、広場のプレイ時の1枚ドロー分だけデックが回転しています(正確には2/12の確率で広場が底に沈むので、平均でいうと5/6枚分ですが)。

これらを総合的に勘案すると、「普通のサプライで2周目の目標が5金のカード」といった状況では「初手:広場−銀貨」は選択肢として、ありえるかなと思います。
特に、「4ターン終了時までに5コストのカードと広場を1枚ずつ入れつつ、銀貨以上をコンスタントに買う」ことを目指すなら、「初手:広場−銀貨」の方が良さそうという事になります。
2周目(4ターン目)終了時ということで考えれば、今後のデック構築の方向性にもよりますが、村系(広場)を入れ始めるには悪くないように思います(ある程度の金量を確保した上で、より高い5〜6コストの購入タイミングの邪魔にならないうちに買う)。
ただ、2周目の広場購入に拘らず、2周目終了時までに「5コストのカード1枚を獲得しつつ、毎ターン銀貨以上を購入」を目指すなら、「初手:銀貨−銀貨」の確率の方が良くなりますし(5/6枚分、デックの回転が遅くなることは考慮が必要ですが)、3〜4ターン目に5コストのカードを2枚購入も視野に入れるなら、「初手:銀貨−銀貨」である必要があります(「初手:銀貨−銀貨」で14.9%、「初手:広場−銀貨」では確率なし)。
同様に、目標に「5コストのカード」だけでなく「6コストのカード」も視野に入れるなら、「初手:銀貨−銀貨」になります(「初手:銀貨−銀貨」で42.4%、「初手:広場−銀貨」で19.6%)。
逆に2周目の購入が2〜4コストのカードで良く、アクション連鎖でプレイするために広場の獲得が必要なデックを組む予定であれば、コイン・トークンの持ち越しの可能性も増えることもあり、「初手:広場−銀貨」の有用性は高まるでしょう。
また、大概のサプライでは、初手オアシス購入の動機同様、3〜4ターン目のデック回転力が5/6枚分進むのが「初手:広場−銀貨」の一番の魅力のように思います。

この辺は、場の状況、対戦相手の状況から、「リスクをとって博打をすべきか、安全に行くべきか」を判断して選択することになります。

例えば先日の東工大の2回戦でのサプライで考えると、
[ブドウ園、念視の泉、浮浪者、蝋燭職人、青空市場、広場、偽造通貨、預言者、墓暴き、地下墓所(屋敷場、属州)]

【初手:銀貨−銀貨】
[メリット]
・2周目に予言者が買えない確率が1割に抑えられる。
・運がよければ、3〜4ターン目に「予言者、偽造通貨」と買える(14.9%)。
[デメリット]
・初手:広場に比べて5/6枚分、デックの回転が遅い。
※2周目までに「+予言者、広場、銀貨×2」を揃えたい場合、初手:広場より確率が低くなるが、このサプライの場合は「広場」が無ければ無いでデックは組めそうなので、デメリットには数えていません。

【初手:広場−銀貨】
[メリット]
・初手:銀貨に比べて5/6枚分、デックが回転している。
・広場がデックに入っているので、デックに「地下墓所」などを入れやすくなる。

[デメリット]
・2周目に予言者を買えない確率が2割になる(初手:銀貨の場合は1割)。
※「初手:銀貨−銀貨」で3〜4ターンに「予言者、銀貨」と買った場合に比べてお金の密度が少し低くなりますが、次の周から予言者で金貨や呪いの獲得が入ることを考えると、あまり大きな差異にはならないと思われるので、デメリットには数えていません。


こうやって考えると、どちらの初手も有り得るかなという気がしてきますし、「広場−銀貨」初手のプレイヤー全員が、2周目にきっちり予言者を買えたとしても「想定の範囲内」ではあるのかなと思います。