祝宴 再び

さて、実に久しぶりの考察ネタになります。
お題は当ブログでも何度か取り上げたテーマですが『2周目(3〜4ターン)に5金に届く確率』(5コストのカードを獲得できる確率)になります。
ドミニオンの戦略を考えるにあたって、大きな関心事の一つと言えます。

最近でもStefさんのプレイ動画の『5コストに強いカードがある際の初手「香辛料・漁村」スタート』について議論がされていた記憶があります。
また古くは「祝宴・銀貨」スタートと「銀貨・銀貨」スタートについての議論もありました。
そこで今回は銀貨、祝宴、漁村、香辛料商人の組み合わせで初手を取った場合の2周目(3〜4ターン目)の5コストのカードの獲得確率をまとめてみました。

まずは結果からです。
大雑把に、2周目に『 1) 5コストのカードを1枚以上獲得』、『 2) 6コストのカードを獲得』、『 3) 5コスト(以上)のカードを2枚獲得』できる確率をまとめてみました。

初手 1) 5コスト1枚 2) 6コスト1枚 3) 5コスト2枚
銀貨・銀貨 91% 42% 15%
祝宴・銀貨 95% 9% 38%
漁村・銀貨 81% 29% 8%
漁村・漁村 65% 15% 4%
祝宴・漁村 91% 2% 20%
香辛料商人1)・銀貨 77% 13% 0%
香辛料商人2)・銀貨 65% 13% 0%
香辛料商人1)・漁村 53% 3% 0%
香辛料商人2)・漁村 38% 3% 0%
村・銀貨 70% 15% 0%
工房・銀貨 49% 9% 0%

参考までに、「村、銀貨」(キャントリップの類と銀貨)、「工房、銀貨」(コインを算出しないカードと銀貨)の場合のデータも掲載しています。
以上の結果は、いずれもその他の要因(例えば、他プレイヤーの民兵などのアタックだとか、3ターン目に自分が遊牧民の野営地を買うなど)はないものとして計算しています。
各結果の詳細はこちらをご参照願います。
%の表示は小数点1位を四捨五入して表示しています。

香辛料商人に関しては2パターンに分かれています。
詳細は長くなるので末尾に注釈として記載していますが、2)が常に香辛料商人をドローに使う場合、1)がドローでは5金に届かない場合に香辛料商人を+2金で使うことも検討する場合になります。

さて、まず最初の話題にあがっていた初手「香辛料商人・漁村」ですが、無理すれば2周目に5金以上出る確率は5割となります。
これが高いか低いかは状況(サプライ)次第でしょうか。5コストで真っ先に買いたいカードが強い圧縮系とかだと、ちょっと怖いかもしれません。逆にドロー系のカードだと、将来を見越した投資と考えても良い場合は多そうな気がします。

さて、今回のもう一つの多きなテーマは「(初手)祝宴」になります。

当ブログでも過去取り上げたことがあるのですが、ちょっと気になることがあったので。
誤解していたんですが、2周目に「3)5コスト2枚」の確率だけでなく、「1)5コスト1枚以上」の確率も初手「銀貨・銀貨」より「祝宴・銀貨」の方が高いんですね。
何となく祝宴が底に沈む1/6(13%)の場合は常に2周目に5コストを獲得できないと勘違いしていましたが、祝宴が底に沈んだ場合でも「銀、銅×3」とかで5金出る場合も当然ありますね。

有効性(5コスト1枚以上獲得する)という観点から見ると95%と91%とあまり大差ない数字ですが、安全性(5コストを獲得できない危険性)から考えると5%と9%弱と倍近くの数値になります。
まぁ、倍にはぶっちゃけあまり意味がありませんが、この4%の差をどう見るかという話になります。

またよく言われる「初手祝宴銀だと、銀銀に比べてデック内の金量が少ない」という話ですが、確かにそれはあります。
ただ、思ったほど影響のある項目ではないのかなという気もします。
ぶっちゃけ、初手「銀貨・銀貨」で初めて2周目(3〜4ターン目)に5コスト、銀貨と購入する場合と、初手「祝宴・銀貨」で2周目で祝宴で5コスト獲得しつつ3ターン目、4ターン目に銀貨購入だと、4ターン終了時のデック内容は同じになります。
銀貨と祝宴と5コストのカードしかない世界で、4ターン終了時に「5コスト2枚」、または「5コスト1枚と銀貨3枚」を獲得していれば成功と考えると、

・初手「銀貨・銀貨」:成功率86%(5コスト2枚、銀貨2枚:15%、 5コスト1枚、銀貨3枚:71%)
・初手「祝宴・銀貨」:成功率78%(5コスト2枚、銀貨2枚:21%、 5コスト2枚、銀貨1枚:17%、5コスト1枚、銀貨3枚:40%)

と、あんまり差がありません。
もちろん、初手祝宴で始めるかどうか考える時に2コストに使えるカードがあるかもポイントになりますが、結局、「どれだけ確実に2周目に5コストがほしいか」というのが最大のポイントかなという気がします。
5コストを4%でもより確実に獲得したいか、2枚獲得する確率38%に期待するか。

そういった観点で考えると、初手「祝宴・銀貨」も酷評されるほど酷くはないのかなという気がしています。

あと、初手祝宴に関しては、民兵などのアタック・カードがあるかも重要なファクターだと思います。
2人戦だと、後手でも「先に民兵を打てる(相手の5コストを潰せる)幸運」に期待する手はありますが、それこそ4人戦で1〜3番手全員が初手に民兵を買ったような状況の4番手なら「おまえら、潰しあえ」と念じながら祝宴を買うのが賢いことになるでしょう。

ではでは。

(注釈)[香辛料商人のプレイの詳細]
香辛料商人2)と書かれている方は、香辛料商人をプレイする際に、常に「2枚ドロー」を選択する場合の確率になります。
香辛料商人1)と書かれている方は、ドローだと5金に届かないけど(届かなそうだけど)、香辛料商人を「+2金」でプレイすると5金に届く場合は、ドローでなく+2金でプレイする場合の確率になります。
香辛料商人1)について更に細かく説明すると、香辛料商人を4ターン目に引いてプレイする場合は、4ターン目にプレイする願いの井戸などと同様で、2枚ドローを選んだ場合に引くカードが既に分かっています。
4ターン目に香辛料商人を引いた場合、「ドローして5金に届くなら、常にドロー」⇒「ドローすれば5金に届かないけれど、+2金にすれば5金に届くなら+2金」⇒「どちらにせよ5金に届かないならドロー」という優先順位で処理されます。
3ターン目に香辛料商人を引いた場合は、香辛料商人で引くカードはわかりません。
初手「香辛料商人、銀貨」の場合、香辛料商人で銅貨を廃棄した時点で「4金あるなら2枚ドロー(「銀貨、銅貨×3、香辛料商人」の場合)」、「3金の場合(「銅貨×4、香辛料商人」または「銀貨、銅貨×2、香辛料商人、屋敷」の場合)は+2金」としています。
一応、「4金ある(銀貨、銅貨×3、香辛料商人)」場合でも、屋敷×2を引けば4金どまりになる危険性がありますが、その危険性は全体のパターン(100%)に対して0.6%程度となります。「4金ある(銀貨、銅貨×3、香辛料商人)」パターンを引く確率自体は全体に対して4.4%で、3.8%分はドローで処理しても5金に届きます。
今回は3.8%分の回転率(2枚ドロー)の損を嫌って香辛料商人1)では「4金ある」場合は+2ドローで処理しています。
もし3ターン目に「4金ある」パターンでも香辛料商人を+2金で処理するとすると、初手「香辛料、銀貨」の場合の「1)5コストのカードを1枚以上獲得する」確率は+0.6%されて、77%⇒78%となります。
初手「香辛料、漁村」の場合は、そもそも3ターン目に「4金ある」パターンがない(漁村、銅貨×3、香辛料商人の場合でも、「3金ある」にしかならない)ため、初手「香辛料商人1)、銀貨」でのこのパターンは、常に+2金の処理になります。
いずれの場合も、香辛料商人で銅貨を廃棄した時点の手札が「2金以下」の場合は、常にドローにしています。
あと一応1%にも満たない確率ですが「銀貨(漁村)、香辛料商人、屋敷×3」という、香辛料商人を処理したくない(できない)パターンがあります。この場合は、香辛料商人はプレイしないとしています。ちなみにこのパターンの場合、逆のターン(3ターン目に引いた場合は4ターン目、4ターン目に引いたら3ターン目)は「銅貨×5」となるのが確定しているので、5コストのカードを購入できるパターンになります。