「銀貨・漁村・工房」からの初手選択について

日本選手権の本戦1回戦は「灯台、工房、漁村、祝宴、泥棒、市場、書庫、商船、前哨地、宝物庫」というサプライで、脇で見ていた私は「工房で漁村・灯台を集めつつ書庫を打てばいいか」といったことを考えていたのですが、工房から入る人をほとんど見かけず「漁村×2」みたいなスタートの人が多く、意外に思った記憶があります。

また思い起こしてみると、初手に「銀貨」を取った場合と「漁村」や「灯台」を取った場合の差について、ぼんやりとしたイメージはありましたが、具体的な数値では把握していませんでした。
そこで、初手に「銀貨・漁村・工房」から2枚を取った場合の2周目(3〜4ターン目)の動きを検討してみました。

結果
詳細

【銀貨と漁村】
銀貨と漁村はトータルで算出するコイン量で考えると2金で等しいのですが、漁村は1金ずつ2ターンに分割して算出されるので、その分銀貨を買った場合に比べて各ターンに算出されるコイン量のばらつきが小さくなります(平均値に近い値が出やすくなる)。
2周目開始時の手札5枚の平均値は4.58金(11金/12枚×5枚)となるので、平均値から離れた6金(金貨を購入できる)の出る確率は銀貨を買ったほうが高くなるだろうとは思っていました(ただし、例えば3ターン目に6金出た場合、当たり前ですが、その分4ターン目に出るコイン量は少なくなります)。
ただ、平均値に近い5金を目指す場合、初手に銀貨と漁村のどちらが有利なのかは、私の中では不明だったので、今回はその部分を検証したいという考えもありました。
とはいえ、単純に2周目(3〜4ターン)限定で考えると、4ターン目に漁村をプレイして、5ターン目に継続が続いている場合が含まれる(漁村の貢献度は、4ターン目までに限定すると1コイン)ので、その分銀貨に比べるとコイン量が少なくなり、5金に関しても(2周目の段階では)銀貨の方が有利なんだろうなとは、漠然と思っていましたが。
あと、今回の検討には関係ありませんが、4ターン目に漁村をプレイした場合、その漁村は継続中のため、3周目(5〜6ターン)の山札に入りません。その分、3周目の山札の平均コイン量は減りますが(漁村のコイン量が、全カードでの平均コイン量より高いため)、逆に2周目に買ったカードが1枚分早く回転するという点もあったりして、その影響を評価するのは面倒な話になります。

その辺は置いておいて、単純に初手「銀貨×2」「銀貨−漁村」「漁村×2」の3〜4ターン(限定)のコイン量を考えると、6金に到達する確率や5金を確実に出すためには、やはり「銀貨×2」が有利との結果になっています。
「銀貨×2」だと6金が出る確率が42%、5金が出ない確率が9%となります。

ただ「銀貨−漁村」と「漁村×2」の間には、思っていたより差がないですね。
6金に到達する確率、5金が出ない確率が「銀貨−漁村」で29%と19%、「漁村×2」で25%と21%となります。

少しでも早く6コストにアクセスしたい、2周目に確実に5コストにアクセスしたいというサプライでは、「銀貨×2」と「漁村×2」で悩むことはありそうですし、5コストのカードが「船着場」のような漁村と組み合わせたいカードの場合、2周目に船着場が買えないリスクが約10%から約20%に増えることを踏まえたうえで「銀貨×2」でなく、「漁村×2」の初手(ハイリスク・ハイリターンな初手)を選ぶこともあるでしょう。

ただ、これまで「初手から漁村を確保したいけど、2周目に5コストのカードも確保したい」という場合に、中途半端に「漁村−銀貨」でスタートしたりしていたこともありましたが、「漁村×2」と比べて2周目に5コストのカードを買う上ではあまり有利ではなく、あまり意義はなかったですね。
それなら後の展開も考えると、「漁村−銀貨」でスタートするくらいなら、「漁村×2」でスタートした方がいいということになりそうです。

あと、これらの組み合わせの場合、2金が出てしまう場合というのは「前のターンに漁村がプレイされていない状態」で「手札が銅貨×2、屋敷×3」となる場合になります。
そのため、小数点1位を四捨五入している結果同じ5%となっていますが、一応2金が出てしまう確率は微小な差ですが「銀貨×2」>「銀貨−漁村」>「漁村×2」となっていて、「漁村×2」の方が、丸い結果になるとも言えます。

この辺の考察は、サプライに「漁村」でなく「灯台」がある場合も、同じような感覚で使えると思います。

【工房】
銀貨や漁村の代わりに工房を買った場合、2周目にでるコイン量はその分減ります。
コイン量の平均が更に減る(9金/12枚×5枚=3.75)ので、そこから離れた5金や6金の出る確率は低くなり、また、漁村と銀貨での差が大きくなるという結果になります。

初手に工房を買った場合、「6金が出る」ことは期待すべき結果ではありませんが、5金が出る確率も、初手「工房−銀貨」で49%、「工房−漁村」で27%となり、「工房−漁村」の場合、結構望み薄となります。そう考えると、特に「工房−漁村」の場合、2周目は「3周目以降にメインの書庫などを買うためのセットアップ」に集中することになります。

こうやって考えると、2人戦だと「工房−銀貨」から始めて、2周目に5金に届く確率を約50%残しつつ、「工房からの獲得」や「5金に届かなかった場合の購入」を「漁村」に当てるのが良さそうな気がしてきました。
ただ、4人戦の遅い番手の場合、「工房−銀貨」スタートだと、(早々に全員が買って売り切れる場合に)2枚目の漁村も獲得できない可能性があるので、妥協して「工房−漁村」でスタートするか、それこそ「漁村×2」から初めて、漁村が切れた後で3〜4金どまりだった際に工房を買って、灯台や祝宴集めに使ったほうがいいかもしれません。

あと2金以下の出る確率は双方とも17%もあります(ちなみに1金の出る確率もあって、「工房−銀貨」で2%弱、「工房−漁村」で1%強)。
工房系の場合、「工房で獲得しつつ、通常の購入でもカードを購入」することが魅力であって、工房でカードを獲得できても、工房の分でお金が出なくて通常の購入がパスとなるのでは意味がありません。
今回のサプライみたいに2コストに十分なカード(「灯台」)があればよいのですが、ない場合は、初手に工房を交えたスタートは考える(工房を買うとしても2周目)ところがありますね。

また、「工房−銀貨」で5%、「工房−漁村」で13%程、4金が出ない可能性があります。
今回と違って、工房を取る理由が「隊商」のような4コストのカードを2周目以降に確保したい場合、初手工房がいいのか、2周目に3金が出た際に追加するのがいいのかは、微妙な気がしてきました。

ちなみに、3〜4ターン目の平均工房使用枚数が0.83枚なのは、工房が底に沈む確率が17%(2枚/12枚)あるためになります。

初手「工房×2」の場合、被る確率が3割あるせいもあって、2周目に使用できる工房の回数は1.36回と工房1枚(0.83回)と比べて倍にはなりませんし、2金以下の出る確率が62%(しかも、1金以下の場合9%を含む)と、3〜4ターン目のどちらかの購入フェイズもパスになりがちとなり、流石にバランスというか、効率が悪いかなという感じになります。

こうやって考えると、確かに初手に工房を入れるのは微妙な気がしてきましたし、初手に買わないと、工房を買う丁度いいタイミング(漁村が切れた後の2〜3周目で、3〜4金しか出なかった)が発生せずにゲームが過ぎてしまうことも多そうな気がします。