ドミニオンでのドラフトの戦略について

※今回はほぼ机上の空論なので、突っ込み大歓迎です。

以前にも書きましたが、私の考えとしては、ドミニオンの技量の根本というのは、「(突然与えられた)千差万別の様々な環境(サプライとか、周りのプレイヤーとか)に対する対応力」の部分かなと考えているので、ドミニオンの大会の決勝戦であっても、ドラフトなどではなく、ランダム・サプライの方がいいのかなという考えをもっています。

ランダム・サプライの場合、可能性のある組み合わせは無限に近く、そのどれが来ても対応できる(実際は、他のプレイヤーよりも対応できる組み合わせが広い)プレイヤーが巧者と呼ばれるべきだ、といった考え方を持っています。

※最近は完全ランダムで決勝戦が「クズ」なサプライで盛り下がるのも何なので、興業的な意味合いから、14枚サプライから、一人1枚ずつ拒否権ありくらいに妥協するくらいがいいのかな、などとボンヤリ考えていたりします。

ドラフトの場合、サプライに対してプレイヤーの意思(たとえば、得意なカードを入れるとか)が入る分、有利になる選択のうちのいずれかが選ばれるとなると、その幅が狭くなり、それこそいくつかの強力な選択肢に収束する可能性もあるのではないかという危惧を持ったりしています(MtGみたいに、いくつかのデックに収束して、メタ・ゲームになるみたいな)。
※そこまでドラフトをやりこんでないし、やりこむこともないので、杞憂とは思いますが。

ただ、ドラフトという遊び方自体を否定しているわけでも、遊び方のバリアントとしてたまに遊ぶ分には悪くないと思っています。

で、MtGなどのドラフトと違い、ドミニオンのドラフトの場合は、特に自分が選んだカードだからといって自分だけが使えるわけでも、自分が使う際にに有利な修正があるわけでなく、そのカードが全員に共通なサプライに配備されるだけというところがあります。
とはいえ、手番の早いプレイヤーが有利になるカードや、初手5-2のプレイヤーが有利になるサプライみたいに、特定の条件に対して有利・不利になるカード(またはサプライ)というのも存在しているのも確かです。

そのため、ドラフト戦で勝とうという場合は、単に自分の好きなカードを入れるというより、その辺を考えた上での選択をした方が有利かなという気がします。
ある意味、強くても手番順に関係ないカードを他人が選んだ場合は、サプライの他のカードと比較しても有用であれば、自分もそれを選べばいいだけでなので、他のプレイヤーとの有利不利は生じません。

で、その辺のことを踏まえて、各手番で考えられる選択肢について考えてみました。
ドラフトの方法としては、手番順を決めた後に、各自が秘密裏に2枚のカードを指名し、全員の指名を集めた後に10枚に足りない分をランダムに加える方法で考察しました。
そのため、1枚ずつオープンで選択する場合と違って、カウンター・ドラフトの観点はあまり入れていません。

【1番手】
「3ターン目、1番手の民兵」を例に挙げるまでもなく、アタック・カードのほとんどは、場を混沌とするように見せかけて、実は先手番を有利にするカードが多かったりします。

初手にアタック・カードを引いて3ターン目に使えば、自分は無傷、相手はアタックを受けた状態で3ターン目を迎えるために、かなりの差になります。で、ドミニオンは序盤の差(例えば3、4ターン目に金貨を買えるかどうかとか)が、どんどん拡大していく展開になることも多いゲームであります。
もちろん3ターン目でなく4ターン目やそれこそ5ターン目に民兵を引く確率もあります。ついてなければいくらアドバンテージがあっても、負ける時は負けます。ただ、同じ程度の普通の運なら確率的に先手番有利ということになります。

で、そういう意味で最も差を拡げやすいカードは、蓄積性のある呪い関連のカードで、その中でも即効性のある(その分、紛れが生じる確率が比較的低くなる)カード、つまり異郷最大の問題児「IGG(不正利得:Ill-Gotten Gains)」になります。
どれくらい手番差が生じるかというと、以下の例で考えてもらえばわかると思います。

4人とも全員4-3スタートで、全員初手は銀貨×2で、3、4ターン目はいずれも5金の手札で、全員IGGを購入したとします。
4ターン目の終了時に1番手のプレイヤーがシャッフルをした際に、山札に混入する呪いの枚数は3枚のみになります(その後、捨札置き場に3枚の呪いが置かれます)。
で、手番順が遅くなるに従い山札に入る呪いの枚数は増えていき、4番手のプレイヤーがシャッフルするときは、6枚の呪いが山札に入ります。
つまり、4番手の4ターン目が終了した時点の総得点はみんな-3点ですが(屋敷3枚−呪い6枚)、5ターン〜7ターンの3周り目に引く手札にかなりの差が出て、そこでの購買力の差がさらに拡大していくのがドミニオンというゲームという話になります。

ということで、1番手のドラフトとしてはIGGが第一候補のような気がしますが、逆に明らかにマークされて後手番の誰かが用心にカウンター(具体的に言うと交易人(Trader))を打ってくる可能性が高いので、その他の面子によっては微妙な選択かもしれません。

同じ理由で、その他の呪い系はさらに微妙になってきます。

あと、手番依存性という意味では、「愚者の黄金(FG)−遊牧民の野営地」あたりもいいかもしれません。初手が4コイン(5コインでも可)なら、うまくいけば愚者の黄金を4枚確保できるかもしれません。サプライに3ドロー程度のドロー・カードがあれば、それで十分形になるような気がします。
ただ、この場合、手番依存性以上に、初手4金(5金)かどうかの方が大きなファクターになるような気がします(それを踏まえても、確率的には先手有利といえるサプライにはなると思いますが)。

※実は地元で大会を主催する場合、しばらくは決勝卓では「IGG]と「FG」は禁止カードにしようかと考えています。

まぁ、単純に民兵あたりもいい選択肢のような気がします。

で、これらのカードがサプライにあっても、後述するような対抗カード(IGGに対する交易人(Trader)とか、民兵に対する坑道(Tunnel)とか)が用意された場合は、IGGなどのそれらのカードを「買わなければいい」(他のカードを買えばいい)だけという話があります。
なので、ダメ元で突っ込んでみるという手はあるような気がします。

あと、番外として、みんなで4番手をハブりたい場合(たまたま予選4番手だったけど、明らかにその人が実力で一つ抜けているような場合)は、巾着切りという選択肢があるような気がします。

【2番手】
1番手に乗っかってもいいですが、それに対抗する方向も考えられます。
特に、1番手のプレイヤーが「たまたま予選1位になった」のでなく、実力的に順当に1番手になったという場合は、それを残りのプレイヤーでハブれるようなサプライにすべきかなと思います。

どういうことかというと、例えば「庭園−木こり、工房系」とか、シルクロードとサポート・カードみたいな感じで、1番手が選択しなかった方を残りの3人が選択して、逆側で速攻で終わらせるような感じです。
もちろん、5-2のプレイヤーがいたり、4番手が離反したり(どちらにしろ、4番手は不利で勝てないので、独自路線に行くとか)する可能性がありますが。

この場合、庭園やシルクロードでも、FG(愚者の黄金)があるとまぎれるので、遊牧民の野営地は避けた方がいいかもしれません。
で、IGG対策も兼ねると、実は「庭園−交易人(Trader)」あたりは面白いかもしれません(シルクロードは交易人と相性が悪い)。
まぁ、交易人は3番手や4番手に任すという方向性も十分ありますが(最悪、交易人なしのIGG場になっても、2番手ならそれ程絶望的でもないですし)。

また、3番手と違い、2番手の場合は、「1番手が選ばなかった場合自分一人がそちらを選んでも戦えそう」なカードを選ぶという考え方もありだと思います。
例えば、ポーションありなら、錬金術師や使い魔あたりもプレイのコースを分岐するカードになると思います(使い魔は交易人でカウンターされている可能性が高いので微妙ですが)。

【3番手】
微妙にどっちつかずの立場で、2番手にのっかる方向もありますし、4番手のように「まわったもの勝ち」カードを投入する方向もあるような気がします。また、あまり考えずに好きな(使い慣れた)カードを投入するのもありな気がします。手番順の影響が微妙なら、使い慣れたカードを使って、ミスなく上手くプレイすることが勝利への近道になることも多いような気がします。
最も「好きにふるまっていいポジション」のような気がします。
ただ、対抗策なしのIGGが通った場合は、3番手だとかなり厳しいので、2番手や4番手の顔を見つつ、場合によっては「交易人は自分の仕事」と考えた方がいいかもしれません。

【4番手】
明らかに不利なポジションです。
例えば1番手と、2番手・3番手が別々の方向に行った場合でも、2番手・3番手に組みしても勝ち味は薄いでしょうし、さりとて1番手側に組みするのも何というか。

4番手の場合は元から不利なことを念頭において、「まわったもの勝ち(まわったら手番に関係なく勝ち、まわらなければ負ける)」カードを投入する方向が第一線になるような気がします。
つまり、手番差の不利を洗い流すような、さらに振れ幅の大きい運ゲーにゲームをしてしまうようなカードをサプライに投入することになります。

そういう意味でよく引用されるのが「宰相」でしょうか。
あと、宝の地図とサポート・カードというのもありでしょうか。
密輸人なんかも、どちらかというと手番差を埋める方のカードでしょうか。
あと、「宰相で上手くまわる」と同じニュアンスで、「俺だけ5-2スタート」という前提で保管庫−大市場みたいな極端なシフトもありでしょうか(通常のプレイで手番差の不利を挽回するより、そこに賭ける方が勝率がいいという考え方で)。

あと、「まわったもの勝ち」ということであれば、礼拝堂とか、鍛冶屋(鍛冶屋ステロイド)とかもありな気がします(手番順よりも、運よくカードを引くかどうかの方が重要)。
まぁ、礼拝堂は何で変な化学反応を起こすか怖いので、私はよく選べませんが。

先手番の攻撃をある程度いなしながら「まわったもの勝ち」状態を作るという意味では、大使館(Embassy)−坑道(Tunnel)なんかもいいかもしれません。呪い系はともかく、捨て札系のアタックは止めることが出来ます。

で、4番手の場合は対抗策なしのIGGが通ったりしたら絶望的ですが、元から不利なんで、「まわったもの勝ち」の中から好きなカードを選んで、もし対抗策なしのIGGが通ったら、「何やってるんだー」と2番手、3番手に文句を言いつつ負けるということでいいような気がします。
※実力的に自分が一つ抜けていて、「順当に行けば自分が勝てるだろう」という自信があるような場合は、別ですが。

まぁ、いろいろ書きましたが、秘密裏に同時に選択する場合はじゃんけんに近い指運的なところもあるし、世の中には「初手に書庫買っている奴がいるところで、初手に民兵を買うやつがいて負けた」みたいな理不尽に近いことも起こりえますが、まぁ、準備段階の時点で考察したりして努力することも重要ということで。

ではでは。