第5回木ドミ方式(前回ゆるドミでも採用)についての検討

後編です。
ということで、この方式(前回の「B」方式)の場合のピック・アップの方法についてちょっと考えてみました。
基本は、ドラフトの場合の3番手、4番手と同じ考え方になります。

先手番が有利なのは、
1)純粋に手番(ターン)数が多くなる可能性がある
2)先に手番を行うことによる有利
の2点が大きいと思われます。

1)は、例えば、1番手のプレイヤーの手番でゲームが終了した場合、他のプレイヤーに比べて1番手だけ1ターン余分にプレイしたことになります(支配とか前哨地が無ければの話ですが)。逆に4番手のプレイヤーは、かなりの確率で1ターン少ないことになります。
一応、その分「同点の場合、プレイ・ターン数が少ないほうが勝利」というルールがありますが、やはりプレイ・ターン数が多い方が有利な場合は多いでしょう。

2)は、文字通りですが、大きな点を挙げると「アタック・カード(他プレイヤーに影響を与えるカード)」と「サプライへのアクセス回数」の二つになると思います。

「3ターン目、1番手の民兵」を代表例に、手番が早ければ3〜4ターン目に他プレイヤーからのアタックを受ける前に自分だけプレイできる可能性があります。
この間も、船着場と民兵があるサプライの2人戦で、お互い「民兵−銀貨」スタートにもかかわらず、 3ターン目に先手番の相手が民兵を打ちつつ船着場を買い、こちらは「民兵、銅貨×3、屋敷」という手札で4金止まりとなり、以後3周目に入るまで5金に届かず、その間に相手は船着場パワーでどんどんデックをまわして行き、その先行分の差で圧敗したということがありました。
ここまで典型例は少ないでしょうが、ドミニオンは序盤の差(3〜4ターンに金貨が買えたかどうか等)が大きくものをいうので、アタック・カードで先手を取れるのは、アドバンテージになります。
とはいえ、民兵などの普通のアタックは最序盤(3ターン目)を過ぎれば特にアドバンテージをもたらしませんが(それこそ、先手番が3ターン目に引けずに4ターン目に引き、後手番が3ターン目に民兵を引き、立場が逆転する可能性もありえる)、呪い系のアタック(+その類)は、シャッフルの関係上、手番差がどんどん蓄積します。同じように撃った場合、先手番が呪いを受け取るのはシャッフル後、後手番が受け取るのはシャッフル前で、次のシャッフル後の山札の汚染度に差がでます。5コストのアタック・カードや使い魔などは、購入タイミングなどで紛れが生じることがありますが、IGG(不正利得:5コストの財宝カードでアタックではないけど、買った瞬間に呪い撒きが発動する)や4コストの呪い系のアタック・カードなどは、後手番としては特に忌避すべきカードになると思います。
もともとのサプライにこれらのカードがある場合は少ないと思いますが(特に主催者選択の場合)、もしあった場合は、対抗手段(交易場とか再建とか)を入れることを考えたほうがいいかもしれません。

「サプライへのアクセス回数」に関しては、山切れ必至なカードや、集めると強い系のカードがある場合(漁村、寵臣、愚者の黄金、研究所系など)、先手番の方がより多い枚数を確保できる可能性が高くなります。

逆に、後手番の有利な点というと、先手番のプレイングを見た上で対応した手が打てるということがあります。
これも4コストのカードの選択で迷う場で、先手番が3-4(1ターン目3金)で、後手番が4-3(1ターン目4金)で逆転する場合もありえますが、確率的には後手番の方が対応して手を打てる確率が多くなります。

以上から考えて、後手番になるべく有利にする、もしくは不利を減らす方法として、幾つか考えられます。

1)短期戦を避け、長期戦を目指す(1ターン差の重みを減らす)
グダグダにしてゲームを長引かせると言えばアタック・カードの出番な分けですが、逆に「序盤の差」という意味では、アタック・カードはあんまり推奨できません。
民兵なんかは「3ターン目に初めて撃ったヒト」以外はファースト・アタックの特典がなく、そう考えると「少しの幸運(もしくは先手番のプレイヤーの不運)を期待して使う」というのはありかもしれません。ただ、やはり「確率的に不利なこと」は避けたい気がします。

アタック・カードの類でも特に呪い系とか、序盤だけ猛威を振るう系(巾着切りとか)は、ゲームが長引く以前に後手番に不利なので、避けるべきターゲットになります。
逆にアタックの中でも、詐欺師、道化師なんかは、手番差より「どう刺さるか」の運の方が大きく、そういう意味では良い候補になりそうな気がします。
破壊工作員系統も、協調者が出そうであれば、有力な候補になると思います。

2)アタック(特に呪い系)、山切れする人気カードを避ける
まぁ、この辺は、そういったカードを入れなければいいだけで。

以上、これらの観点から考えると、あんまりいいアイデアは出てきません。
逆に自分から対応するという観点からは、

●呪い系のカードやアタック・カードが入っているなら対策カードを入れる。
灯台とか、呪い系なら交易場とかを入れるというのは、消極的ですが元からのサプライが酷い場合はありでしょうか。

で、ここまではどちらかと言うと消極的な発想ですが、逆に、自分で(自分に有利な)状況を作り出すという積極的な発想もありえます。
いくつかパターンが考えられますが、

●トラップを仕掛ける
流石に避難所(Shelter)場での男爵とかに騙される人はいないと思いますが、救貧院がある場に改良を足す(特に村系カードなく、避難所場で2コストは屋敷しかないサプライとかになると完璧)なんかは、引っかかるヒトはいるのではないかと思います。
ただ、引っかかる人がいなかった場合、「他に状況を打開する手を打てたかもしれないのに、それを無為にした」となるわけで、他のプレイヤーの顔を見ながら、採用するかどうか考えるという話になるでしょうか。

●対応するカードを入れる
特定のプレイングが透けて見える場合、「抑留」なんかは一つの回答になる可能性があります。例えば、「錬金術師」が既にある場で先手番がポーションを買ったら、抑留を買って錬金術師に抑留トークンをおいてあげるようなプレイです。
ただ、2人戦だと「あり」な場合がありますが、4人戦だと自分が5-2とかの時以外は、「仕事」になる可能性があります(自分はそれ程得でなく、ポーション買った人がダメージで、結果的には、それ以外のヒトが得している)。
ただ、逆に、錬金術師のある場で抑留を買い、他のプレイヤーがポーションを避けたところで、自分がポーションを買い「誰も暫く仕事をしないことを期待する」というプレイもありかもしれませんが、自分から抑留をピックしてまでやりたいことかというと、疑問のような気もします。

●後手番の方が有利で、それなりの潜在力をもつカード
一応、密輸人は後手番に、支配は4番手にとって有利なところがあります。
まぁ、それ以前に上家、下家のプレイヤーが誰なのかが大事という話もありますが。
プレイヤーの並びやサプライを見て考える必要はありますが、逆に並びがいいなら、一つの選択肢といえます。

●派閥を作るようなカードを入れる
分かりやすい例が特殊勝利点でしょうか。
庭園、公爵、品評会、シルクロード など。
もちろん、「工房−庭園」や「木こり−庭園」みたいな分かりやすい組み合わせだと、単に先手番有利になる場合が多いので、そこは適度なバランス(「庭園にもいけそうだけど、微妙な気もする」みたいな)でサプライを組めれば、と言う話になります。

●迷うようなカードを入れる
そこまで明確でなくても、トラップと同じ感覚で、使えるかどうか微妙なカードを入れるというのはありかもしれません。

●自分が得意な、プレイングの難しいカードを入れる
また、自分の得意なカードを入れて、プレイング(スキル)の差で勝つという方針もあります。

ゴーレム、行商人、村落、望楼、大市場、岐路、公爵、墓暴き、街道、城塞、ねずみ

といった癖の強いカード類で、上手いプレイングが出来るかどうかで大きな差が出るサプライになりそうなら、考えてみてもいいような気がします。
また、それらのカードを場に加えるだけでなく、それらのカードが場に既にある場合に「その効果を高めるカードを加える」(墓暴きのあるサプライに抑留を加えるなど)といったことも考えられます。

運ゲーにする
手番差以上に、「強いけどばらつきの大きい」カードを入れて、手番差を「誤差」にすることを考えます。

サプライにもよりますが、

宝の地図(倉庫などのサポート・カードがあることが前提)、宮廷、坑道(捨てるカードがあるのが前提)、造幣所、闇市場、馬上槍試合、死の荷車、青空市場(廃棄カードがあることが前提)、

などでしょうか。

宰相、銅細工師、鍛造、借金、玉座の間なんかも、結構、運の差が大きくなるような気がしますが、上記のカードに比べると派手さ(ばらつき度合い)に欠けるような気がします。
サプライによっては初手5-2が勝つ場にすべく保管庫と言うのも候補になるような気がします。
礼拝堂なんかも、サプライによっては(5コストとかに強いカードがあるせいで、悠長に「礼拝堂×2」みたいなプレイが出来ないサプライとか)「底になった(5ターン目に引いた)人が負け」というパターンにできる場合があります。

ステロイド・カード
運ゲーにする」の一種ともいえます。
例えば鍛冶屋などのステロイド系のカード(鍛冶屋、公使、大使館)の投入も一つの手になるかと思います。
特に大使館なんかは、妨害手段がなければ、手番差よりも「まわった者勝ち」の比率が高くなるでしょう。
(あと、私自身が「大使館ステロ」を得意というか、好きなので、私の場合、大使館がファスト・チョイスになる場合が多いです)

以上、あんまりまとまりがありませんが、とりあえずこの項目はこの辺で。
ではでは。