基本に帰ろう (その2) 礼拝堂プレイ1

とりあえず前提として、日本選手権対応ということで、周りのプレイヤーはみんな上級者(少なくとも中級者以上)で、4人プレイを前提として書いていきます。

今回は基本セット環境での礼拝堂プレイについて説明していきます。
後の回で庭園に関する説明をする予定ですが、面倒なので、それまではサプライに庭園が混じっている場合は省かせていただきます。
※実は庭園プレイは苦手なもんで。

さて、礼拝堂での圧縮の場合、大きく分けて、1)圧縮からの単純なお金プレイ(単純礼拝堂プレイ)と、2)何らかのアクションを使い倒すための圧縮の2つに分けて考えてみてもいいかと思います。
後者の典型例として礼拝−寵臣とか、礼拝堂−宝の地図などが挙げられます。
ただし、基本セットのみの場合、圧縮してまで使いまわしたい(使用頻度をあげたい)カードは、魔女くらいでしょうか。
その他のアクション・カード(冒険者とか)に関して言うと、「丁度よく購入するタイミングがあって、デックに加えられると、なお良い」という感じで、『礼拝堂圧縮からのお金プレイ+α』の+αの部分といっていいと思います。
で、周りが初心者や、海辺や繁栄以降の派手な環境であればともかく、周りも単純礼拝堂プレイや、少なくともそれと互角以上の速度のプレイ(鍛冶屋ステロイドとか)をしている中、例えば1ターンに属州2枚ゲットみたいなコンボを組んでいる暇はないでしょう(そのコンボ用のカードを買う暇に属州や公領を買えという話になります)。
となると、結局、基本セットのみの場合、礼拝堂をメインに据えると『単純礼拝堂プレイ+α(高圧縮からのお金プレイ+α)』がメインになると言えます。

とりあえず、礼拝堂プレイに不安がある人は、初期の手札(銅貨×7、屋敷3)と、礼拝堂、銀貨、金貨、属州だけの王国を準備して、何回かソリティア(一人遊び)で、属州4枚を購入するまでの流れを練習してみるといいでしょう。
初手、礼拝堂−銀貨でスタートし、3〜5ターン目に初めて礼拝堂を引いた際には、銀貨を引かない限り最大限(4枚)廃棄します。
後は、銀貨、金貨を買い足しながら屋敷、銅貨を全て廃棄していけば、10ターン過ぎには、ほぼ毎ターン安定して属州が購入できるようになっているでしょう。

圧縮によって少量の銀貨、金貨でデック内の生産力期待値を非常に高いレベルで保ち、デック内に残ったカード(礼拝堂とか金貨とか)の使用頻度をあげる(使用間隔を短くする)ことが出来ます。それこそデックが5枚になれば、同じカードを毎ターン使えます。金貨を使いまわすことと、生産力期待値のアップは、根は同じところにあるといえます。

序盤に、礼拝堂を引いた際に、どれだけ廃棄出来るカード(特に屋敷)を引けるか、それこそ最初に礼拝堂と銀貨を一緒に引くか、別々に引くかでも、結構その後の進展が変わってきます。
通常のデックと違い、総デック枚数が絞られる礼拝堂圧縮の場合、デック枚数1枚の差も、確率的にみると、そこそこの差になります。
で、上記ソリティアの場合、序盤の何時、どういう手札で礼拝堂を引くかは、運(引き運)であり、プレイヤーの技量ではコントロールできません(中盤、終盤になれば、途中の圧縮、購入の技術の差が、効いてくる展開も結構ありますが)。
鍛冶屋ステロイド等と同様、単純礼拝堂プレイも、結構引き運に成績が左右されるところが大きいプレイングといえます。

細かいプレイングで言うと、3ターン目に「礼、②、①、①、屋敷」という手札の場合にどうするのか、5ターン目に「礼、②、②、①、①」(既に3ターン目に礼拝堂で1回圧縮済み)という状況でどうするのか、といったところも議論したいのですが(というより、実は、こういったパターンのプレイングを検討するつもりで、礼拝堂から書き始めたのですが)、検討始めると結構込み入ってきたので、この辺は後回しにしたいと思います(そのうち礼拝堂プレイ2を書きます)。

ということで、細かいプレイングははしょって、基本セットのみの王国で礼拝堂が場にある場合のプレイについて説明したいと思います。
まずは礼拝堂以外に、場に庭園や、魔女、泥棒、民兵、鍛冶屋といったカードがないかチェックします。
庭園、魔女、泥棒、民兵がない場合、礼拝堂プレイを実施するにあたって、程良い環境だといえると思います。
鍛冶屋がある場合、鍛冶屋自体は礼拝堂プレイを阻害しませんが、鍛冶屋ステロイドの速度も礼拝堂プレイに匹敵するので、その辺は考慮する必要があります。

実際に礼拝堂プレイをする場合、初手としては、4-3、5-2にかかわらず銀貨−礼拝堂が第一候補でしょうか。
4-3(もしくは3-4)の場合、周りの様子見を含めて1ターン目銀貨、2ターン目礼拝堂購入がいいような気がします。
礼拝堂と被る可能性を考えると(しかも、圧縮が進むにつれ、被る確率がどんどん高まる)、序盤は、礼拝堂とアクション消費のアクションの併用はお薦めしません。圧縮が進んで、礼拝堂の圧縮が不要になるころには、話が変わってきますが。
ただし、5-2スタートで祝祭がある場合は、銀貨の代わりに祝祭を選択すれば良いことになります。その後も、手札が5コインで、祝祭がなければ銀貨を買っているようなシチュエーションも、代わりに祝祭を買っていけばいいことになります。
この場合当然ですが、後から書庫、議事堂、鍛冶屋、鉱山などの、その他のアクション・カード(アクション消費のカード)にタッチしやすいという利点も出てきます。
あと、5-2スタートで研究所がある場合、初手に研究所−礼拝堂はありだと思います。可能な最高速度(最も都合よく引いた場合)でいうと礼拝堂−銀貨の方が上ですが、安定性は研究所−礼拝堂の方が高く、長い目で確率的に見ると、研究所−礼拝堂の方が有利でしょう。
同様の考え方で、場に村がある場合に限れば、5-2スタートで書庫(議事堂)−礼拝堂スタートはありです。村を買うタイミングや、デック内のお金総量の管理に気を付ける必要がありますが、一度、礼拝堂である程度の廃棄が出来れば、すぐに引き切ってからの廃棄、その後は、かなり安定して毎ターン引き切れるようになる、といた展開が期待でき、かなり動作が安定します。

ただ、議事堂−礼拝堂の場合、2廻り目(3〜4ターン)では、議事堂か礼拝堂のどちらかが使えない確率が高すぎるので、もしかしたら、議事堂−銅貨(もしくはパス?)スタートから、最初の議事堂使用時に6金に届いたらそのまま議事堂ステロイド、5金だったら村、礼拝堂購入から圧縮、といった展開にした方がいいのかもしれません。
基本セット環境で、礼拝堂関連から13金や16金・2Buyまで行く必要があるのは、議事堂絡みの(で、不調なプレイヤーがいて属州4枚では勝てなさそうな)時くらいかもしれません。

基本的に序〜中盤は6コインあれば金貨となります。ただ、圧縮がある程度上手くいって、そろそろ礼拝堂を引いても手札に圧縮するものが無いというタイミングで(実際は、その直前くらいのタイミングで)、礼拝堂−銀貨からの単純圧縮の場合は、冒険者、議事堂、書庫、鍛冶屋あたりが場にあれば、1枚加えると良いでしょう。タイミングよくその辺で5コインのターンがあれば、その際に加えればいいし、無ければ6コインでも、金貨より優先的に購入した方がいい場合もあります(冒険者は元々6コストなので、金貨の代わりに購入になりますが)。
ただし、ほとんどの場合、デックに2枚目は必要ないでしょう。そもそも1枚目使用の時点でほぼ山札を引ききって、2枚目は手札に余ることになるでしょう。周りがよっぽどモタモタしている場合を除いて、2枚目を買うタイミングには、代わりに公領を買った方がいい場合が多いような気がします。

5-2スタートと同じ話で、場に村があれば(または祝祭があって、早期に5コイン集まって祝祭が確保できた場合)、村を加えて、早々に書庫や議事堂にタッチはありです。
序盤の村の問題点は、他のアクションと被らない可能性がある点ですが、礼拝圧縮の場合、かなりの確率で同時に引けるようになります。一度揃えば(引ききって、礼拝堂の廃棄が入れば)、多分、次からほぼ毎ターン引ききり体制となるでしょう。最初のところで、すぐに揃うかどうかの部分には運がいりますが、その後はかなり動作が安定します。
中盤で手札が5コインどまりの場合は、研究所、市場なども良い選択になることもあるでしょう。

だいたい「礼、③、③、②、②+α(書庫、冒険者あたりが1枚)」くらいのデックになって、その後5ターンくらいで属州4枚購入するような展開が多そうでしょうか。

少なくとも、全員が単純礼拝堂プレイや、それに匹敵する速度のプレイングを選択したなら、ゲームが終了するまで、それ程長くはかからないでしょう(15ターンくらいまでの勝負でしょうか)。
他の人も礼拝堂圧縮をしている場合、体制が整った後は、凄い勢いで属州が減っていくでしょう。
今が『終盤』かどうかの判断を謝ると、即敗北につながりますので、注意しましょう。

新しいカードの獲得(購入)と同じく、圧縮も次のシャッフル後のデックの状態を良くする方法となります。例えば、カード1枚当たりのコイン平均が2.0になっている場合に、手札の銅貨を礼拝堂で廃棄すれば、次のシャッフル後のカード1枚当たりのコイン平均は少し高くなります。ただし、別の観点からみると、このターンの1アクションが消費され、購入に充てるお金が1金減っているということも言えます。
ゲームの終盤に、金貨やアクションを購入するのが無駄(庭園などの例外除く)と言われるのは、次のシャッフルを経て、購入したカードを手札に引く前にゲームが終わるためです。圧縮の場合も、次のシャッフルが来る前にゲームが終わるのであれば、圧縮しても無駄ですし、それこそ屋敷などの勝利点を廃棄するのは、ゲーム終了時の点数を減らすだけの行為となります(呪いの廃棄は少し違いますが)。
礼拝圧縮の場合、デック枚数が少なく、通常のプレイよりもシャッフルの間隔も短くなり(それこそ1〜2ターンおきにシャッフルする場合も、往々にしてあります)、終盤であっても、その後ゲーム終了時までに2〜3回シャッフルが来そうな場合もありますが、その場合でも、1枚のカードの廃棄の影響は、この段階ではそこまで大きなものではないでしょう。例えば、礼拝堂で銅貨を1枚圧縮するのと、冒険者を使うのを迷った場合、終盤なら、まず冒険者を使った方がいい場合がほとんどでしょう。
「礼、③、②、①、属州」みたいな手札で、銅貨を廃棄するくらいしかやることが無く、廃棄の有無にかかわらず買えるのは公領、といったシチュエーションなら、終盤でも残りのデック次第で礼拝堂を使うことはありえますが。

魔女と礼拝堂が一緒にある場合、呪いを礼拝堂で廃棄出来る分、魔女が弱くなりそうに見えますが、実際は、礼拝堂で圧縮しつつ魔女を連打する方が強力な場合が多いような気がします。
その辺は魔女プレイの回で説明します。

民兵の場合、初手で買われるかどうか次第のような気がします。初手に2人以上民兵を買う人がいる場合は、とりあえず礼拝堂でスタートするのはあきらめた方がいいでしょう。1人でも、あんまりいい気はしません。
そういった場合、単純な礼拝堂プレイでなく村+”何か”(議事堂とか)みたいな迂回路があるかどうかも判断材料になるでしょう(手札へのコインの来方によっては村の代わりに祝祭でも可)。”何か”のところに鍛冶屋とか、書庫を書こうとしましたが、よく考えると、書庫があったら民兵は取られず、鍛冶屋があったら、鍛冶屋ステロイドしていろ、という話になるので、あんまり適当な例ではないですね。
ただ、初手でなければ(3〜4ターンに喰らうのでなければ)、つまり圧縮1回+銀貨1枚追加した後であれば、それなりに民兵には対処できるようになります。そういう意味では、4番手のプレイヤーは、民兵が場にあっても、他のプレイヤーの動向を見てから礼拝堂に行けるかどうかの判断ができます。

ある意味、泥棒の場合はさらにメタ・ゲームでしょうか。
それこそ、自分以外の3人が単純礼拝プレイ(お金プレイ)を始めたなら、懲罰として泥棒投入で全く問題ないですが、2人が泥棒をみて礼拝プレイ以外のプレイを選択し、残る一人が礼拝堂プレイを選択した場合、自分が泥棒を投入するのは、礼拝堂プレイヤーと共倒れの構造が見えてきます。逆の立場で考えると、泥棒が共倒れとみて誰も取らなければ、礼拝堂プレイしても特に問題ないわけです。
ただし、理論上(理屈上)はそうでも、とりあえず礼拝堂プレイヤーがいれば反射的に泥棒を投入するプレイヤーもいるかもしれません。そういう場合、ゲーム終了後に、「こういう場合は共倒れになる、泥棒取るくらいなら、あなたも礼拝堂プレイした方がまし」と文句を言うことは出来るかもしれませんが、そのゲームで窮地に陥るのは確かです。
基本的には、そういった”間違った”危険性を避けるためにも、泥棒があるときには礼拝堂プレイは、避けた方がいいかもしれません。

単純礼拝プレイの場合、実は鍛冶屋ステロイドとそれ程速度の差はなかったりします。
ただ、礼拝堂プレイの方が少し安定性が高いけど、鍛冶屋ステロイドの方が屋敷廃棄していない分、3点分勝利点で有利なところもあり、正確なところは、私もよくわかりません。
それ以前に、礼拝堂プレイも、鍛冶屋ステロイドも序盤の運(引き運)の影響が大きいプレイです。他にめぼしい選択肢がなく、複数プレイヤーが同じ単純礼拝堂プレイや、鍛冶屋ステロイドを選択した場合、中級者以上だと、技量の差より、単についている方が勝つような気がします(麻雀の1半荘勝負で、リーチ一発ツモを連発すれば、中級者でも上級者に勝てることがあるのと、同じような感じです)。
で、礼拝堂と鍛冶屋の両方の選択肢がある場合、基本的に自分が慣れている(相性の良い)方を選べばいいのではないかと思います。
ただ、アタック・カード(民兵、泥棒など)がある場だと鍛冶屋ステロイドの方が、逆に、村(コインの来方によっては祝祭)がある場なら、礼拝堂の圧縮+村と何か(それこそ鍛冶屋もあり)の方が安全かなという気がします。

次回は、魔女ということで。