ドミニオンなに取る?(特別編)

さて、以下のサプライでの2人戦での対戦を考えてみて下さい。

借金、銅細工師、ネズミ、再建、改築、地図職人、伯爵、官吏、魔女、農地 (属州・屋敷場)

あなたは先手番で、対戦相手ともども初手は「銀貨−再建」スタートです。
3ターン目に首尾よく「再建、銅貨×2、屋敷」の手札を引き、再建で屋敷2枚を廃棄し、銀貨、借金を獲得します(購入はパス)。
後攻の対戦相手も3ターン目に再建から屋敷2枚と、同等のスタート。

そして4ターン目のあなたの手札は「銀貨、銅貨×4」と、ここまでは最後の屋敷(と銅貨)も底に沈む最高の引きと言えます。

さて、ここで問題です。
4ターン目の購入フェイズに、あなたは6コインを持って何を購入すべきでしょうか?
少し考えてみて下さい。

(以下、暫し空白)















(再度状況提示)
サプライは以下の通りの属州・屋敷場
借金、銅細工師、ネズミ、再建、改築、地図職人、伯爵、官吏、魔女、農地1ターン目:銅貨×3、屋敷×2//銀貨
2ターン目:銅貨×4、屋敷//再建(シャッフル)
3ターン目:再建、銅貨×2、屋敷×2/再建(屋敷×2⇒銀貨、借金)/購入パス
4ターン目:銀貨、銅貨×4
この4ターン目に何を買いますか?

さて、皆さんの選んだ答は何でしょうか。
ちなみに私だったら、金貨を買って金量を確保しつつ、対戦相手が更なる圧縮ツールを導入しなければ、次の5金以上で魔女を入れて「ドロー&相手の邪魔」をしていくプレイングを取ったと思います。

種明かしをすると、このサプライとプレイ経過は「Dominion Team World Cup(GokoW杯)」の準決勝「日本B対オランダ」のプレイヤーA対決の第1戦で実際にプレイされたものになり、設問に設定されている先手プレイヤーはオランダのStef氏、Gokoのランキング1位のプレイヤーになります。

実際の対戦でStefが4ターン目に購入したカードは、「ネズミ」になります。
※この対戦の対戦Logはこちらになります。

対戦Logをみてビックリしました。
金貨でも伯爵でも、魔女でもなく「ネズミ」なのかと。
一瞬、クリック・ミスすら疑われますが、以下、ゲーム終了時までのStef側のプレイングだけをあげてみると、
(以下、「手札/アクション/購入」の順で記載)

1ターン目:銅貨×3、屋敷×2//銀貨
2ターン目:銅貨×4、屋敷//再建(シャッフル)
3ターン目:再建、銅貨×2、屋敷×2/再建(屋敷×2⇒銀貨、借金)/購入パス
4ターン目:銀貨、銅貨×4//ネズミ(!)(シャッフル)
5ターン目:再建、銀貨、銅貨×2、屋敷/再建(屋敷、銅貨⇒銀貨)/銀貨購入
6ターン目:ネズミ、借金、銅貨×3/ネズミ(銅貨ドロー、銅貨廃棄)/ネズミ(!!)(シャッフル)
7ターン目:再建、ネズミ、銀貨×2、銅貨/再建(ネズミ→銀貨ドロー、銅貨⇒地図職人)/金貨
8ターン目:ネズミ×2、銀貨、銅貨×2/ネズミ×2(銅貨、借金ドロー、銅貨×2廃棄)/改築(☆)(借金で銅貨廃棄)(シャッフル)
9ターン目:改築、ネズミ×2、銀貨、銅貨/ネズミ(銀貨ドロー、銅貨廃棄)、改築(ネズミ⇒金貨、銀貨ドロー)/金貨
10ターン目:地図職人、再建、ネズミ×2、借金/地図職人(金貨ドロー、シャッフル後、捨札なしで上から銀貨×3、改築の順に戻す)、再建(ネズミ×2⇒地図職人、魔女、銀貨×2ドロー)/属州
11ターン目:改築、ネズミ、金貨×2、銀貨/改築(ネズミ⇒金貨、ネズミドロー)/属州(シャッフル)
12ターン目:地図職人×2、金貨×2、銀貨/地図職人(金貨ドロー、改築、銀貨×2捨札、ネズミ戻し)、地図職人(ネズミドロー、捨札なしで上から魔女、属州、借金、金貨の順に戻す)、ネズミ(魔女ドロー、銀貨廃棄)、魔女(属州、借金ドロー)/農地購入(金貨⇒属州)(シャッフル)
13ターン目:魔女、再建、金貨、銀貨、属州/魔女(借金、農地ドロー)/農地購入(農地⇒属州)
14ターン目:地図職人×2、ネズミ、金貨、銀貨/地図職人(改築ドロー、シャッフル後に属州、再建捨札、上から農地、金貨の順に戻し)、地図職人(農地ドロー、属州×2捨札、上から金貨、魔女の順に戻し)、改築(ネズミ⇒農地、金貨ドロー)/属州
15ターン:魔女、金貨、銀貨×2、借金/魔女(ネズミ、属州ドロー)/属州購入

ゲーム終了時のカード:
属州×6、農地×2、金貨×3、銀貨×3、借金×1、
地図職人×2、魔女×1、改築×1、再建×1、ネズミ×1

こうやってみると4ターン目のネズミ購入も6ターン目の2回目のネズミ購入(既に圧縮が進んだ状態でネズミがデックに2匹いるのに、更に購入)も凄いんですが、一番凄いのは、結局ゲーム終了時に銅貨や屋敷と並んで、ネズミもほぼキレイに駆逐された高圧縮状態でゲームが終わっていることでしょうか。

Goldenデック(高圧縮司教デック:例えば「司教、金貨×2、銀貨」の4枚まで圧縮して、金貨廃棄で毎ターン4点獲得していって、勝ちが見えたら属州廃棄に切り替えとか)を目指す際に、序盤は圧縮を司教に拘らずに、司教以外の高圧縮カードを入れた方が結局デックの完成は早くなるといったことがありますが、ある意味、ネズミ改築で同様にプレイした例とも言えますが、再建で圧縮がかかった時点で更に次の段階を考えるかというと、まず今回の例のように思いつきもしないでしょう。

また、Stefのプレイで私が一番凄いと思うところは「先を見越したバランス感覚(で、丁度のタイミングに必要なカードを購入・獲得していくところ)」になるのですが、この対戦の場合、「8ターン目に改築購入」なんかもその一例かなと思います。
最近、GokoのStefの対戦Logを眺める作業をしているので、また以前みたいに「教えて偉い人」みたいなことを書いてみたいと思います。