サイズ変形(その2)

前回からの続きで、今回は庭園が3人の場合のお話をします。

【3人庭園の場合】さて、ここからが本論になるところですが、まずは1人だけ初手5-2がいる場合の3人庭園を考えましょう。
流石に「工房−地下貯蔵庫」から強引に庭園に行くのは本職の庭園に行くプレイヤーに対して不利すぎるので、5-2プレイヤーはその他のプレイングを目指すことになるでしょう。
その場合、考えられる初手は「魔女−礼拝堂」「魔女−地下貯蔵庫」「研究所−礼拝堂」「研究所−地下貯蔵庫」あたりが考えられます。

1)魔女−礼拝堂(魔女を使う場合)
圧縮して呪いを高速で連打すれば庭園は打破できるでしょうか?
(庭園場ではなく、全環境での結果ですが)Isotropic(2人戦)で「魔女−礼拝堂」の初手は勝率第6位とベスト10に入る初手であり、強いはずです。
・・・昔は、私もこのパターンなら庭園に勝てると思っていました。

さて魔女を使うと決めた時点で、庭園は1枚2点ではなく3点になると考えるべきです。
3人庭園側のトップが庭園5枚と考えると、庭園1枚の点数が各1点増えるので合計5点増えます。つまり、魔女を6回打てて初めて呪いをまくことの勝利点の収支がプラスになるという話があります(2金出なくて屋敷も買えないターンが増え、ゲームを通して呪い分デックが増えたために工房を引く回数が減るため、実際は魔女をプレイする回数が6回に届かなくても、収支はプラスになると思いますが)。

また終了タイミングは12ターン前後になると思います。
庭園側のプレイヤーは魔女を見た時点で工房庭園にシフトするはずで、工房、庭園、地下貯蔵庫に意識が集中する(4人庭園のように木こりに浮気をする余裕がなくなる)ことになります。もちろん、工房を引くタイミングが若干遅れ、終盤2金に届かないターンの割合が増えますが、地下貯蔵庫でまわして工房をプレイする庭園プレイヤーに対して呪いは致命的という程の打撃にはならず、呪いなしの3人庭園に比べて終了タイミングは若干遅れるかもしれませんが、(魔女プレイヤーが期待するほど)大幅な遅れにはならない場合が多くなります。

12ターンの間に魔女を6回打ちたいとなると、魔女は2枚ほしくなります。そうなると村もほしくなるでしょう。
ゲーム終了までを12ターンとすると、初めの2ターンが魔女と礼拝堂購入、その後の10ターンについて村と2枚目の魔女を買うのに2ターン、圧縮2回(ターン)と考えると残りは6ターン、その内財宝カードを買うのに3ターン(銀貨×2、金貨×1)と考えると、勝利点を買えるのは3ターンで、属州×2、公領×1で15点となります。
上記は、かなり魔女側が有利に引いた場合の数値で、2周目(3〜4ターン)目に魔女と礼拝堂が被るだけで無理な感じの結果ですが、そこまで上手くいっても1位を取れるとは限りません。
庭園側のトップは、「庭園×5(3点)、公領(祝宴経由)、屋敷×6、呪い×10」14点といった感じになると思うので、あくまで魔女側がもたつかなかった場合にやっと勝負になるといった感じで、1巡(属州1枚)遅れれば(例えば3〜4ターン目に魔女と礼拝堂が被っただけで)、その時点で4位確定になります。
しかも速攻(7〜8ターン)で工房と庭園が切れるので、その後は呪いが切れても3山終了になるので、通算で魔女を9回打った時点で、10発目の魔女は勝てる状況でないと打てないという制約が出てきます。

そもそもの話、12ターンでゲームが終了すると考えると、村を入れて魔女2枚目を入れつつ圧縮するようなデックを構築するプレイングは間に合わないとなります。

そうなると魔女を使う場合、魔女1枚(村は入れず)で圧縮するか、魔女1枚で圧縮しないか(初手を礼拝堂にせずに地下貯蔵庫にする)といったパターンが考えられます(魔女2枚の場合、村を入れる余裕がなく、「2枚目の魔女より研究所の方がまし」といったことが多いような気がします)。

ここで「なぜ魔女が強いのか?」という原点に立ち返って考えてみると

・呪いによって他プレイヤーーの勝利点にマイナスを与える
・呪いが邪魔になり、他プレイヤーの行動が阻害される

といった点になるのですが、庭園プレイヤーが3人のこの環境では、

・庭園側のトップ・プレイヤーに対して呪いを受けることは勝利点的に余りマイナスにならない
(ゲーム終了時に呪いの増加分のおかげでデック枚数が30枚未満から30枚を越えるため)
・「工房−地下貯蔵庫」でプレイする庭園側に対して、呪いはそこまで邪魔にならない

と考えると、魔女の強みが上手く打ち消されてしまっています。
そう考えると、「同じ2ドローなら(ターミナル・アクションの)魔女より、研究所の方がまし」という結論になりかねません。
また、こうやって考えると、庭園プレイヤーに取って魔女(呪い)は、「おいしい」とまではいいませんが、「あまり困らない」存在と言えるかと思います。

※練習では「魔女−地下貯蔵庫」スタートで、庭園が30枚に届く前に終了して、呪いの分で魔女プレイヤーが勝った例もあるので、この結論に関しては、ちょっと自信が持てないところもありますが。
ただ、3人庭園プレイ+魔女プレイヤーという展開では、「呪いのおかげで庭園プレイヤーのデックが30枚越える」ということが良く起きるといっていいと思います。

2)「研究所−礼拝堂」
魔女でないなら研究所スタートならどうでしょうか?
魔女が入らない場合(5-2プレイヤーが庭園側にほとんど直接的な影響を与えない場合)、残り3人が庭園に進んだ場合のゲーム終了は11〜12ターンくらいで、庭園は1枚2点になります。
5枚目の庭園をもぎとるために工房庭園がメインになると思いますが、庭園として3番手のプレイヤーが木こりを選択する可能性は否定できません。そうやって足並みが乱れると庭園が1枚3点になる可能性が出てくるので、4人の時より木こりに手を出すのは分が悪くなるようにも思いますが、だからといって実戦でその手を取るプレイヤーがいないとは限りません。
庭園側のトップはかなり上手くいっても「庭園(2点)×5、公領×1(祝宴から)、屋敷×6」の19点といったところで、行ったとしても20点くらいの点数が多そうです。
負けているプレイヤーは「庭園(2点)×3、公領×1、屋敷×6」の15点とかでしょうか。
もし庭園が3点になる場合は、終了タイミングは14ターン前後まで伸びることになります。

実は「研究所−礼拝堂」からまっすぐ圧縮プレイに行った場合、11〜12ターンというタイム・リミットで考えると、分は悪いですが十分勝負にはなります。
属州3枚(18点)で庭園最下位プレイヤーを抜き、3枚+公領1枚(21点)でトップが見えます。庭園プレイヤー側がもたついて終了が12ターン、13ターンと伸びれば、さらにチャンスは増えるでしょう。
ただし、礼拝堂プレイヤーが少しでももたつけばノー・チャンスで4位確定になります。

終了までのタイミングが伸びると(デック枚数が増えるので)庭園側に有利なイメージがありますが、属州1枚の点数がやはり大きいので属州(礼拝堂)側に有利になります。
庭園側は、終盤デックが30枚になった時と祝宴から公領を獲得する時以外は屋敷獲得の1点や2点ずつしか点数が増えないのに対して(しかも、30枚になった時の点数の伸びも属州1枚の点数には届かない)、礼拝堂側はコンスタントに公領、属州を買える状態になっているため、実際は長引けば庭園側に不利となります。
この辺が(2人戦などで)1人が圧倒的に庭園をガメた場合との違いになります。

庭園側が30枚になった場合は、2ターンくらいは予定よりもゲームが長引いているはずなので、その間に属州1枚+αで庭園側に比べて収支はプラス、公領×2でもトントンくらいにはなるでしょう。

そのため、対属州(礼拝堂)プレイヤーに限定して考えると、庭園側はデックを30枚にすることより、ゲームを早く終わらせることを優先すべき場合が多くなります。
4人庭園と違ってこういった外因(追い上げてくる属州プレイヤー)があるので、3人庭園の方が4人庭園以上に終盤あっさり終わることが多いような気がします。

と、ここまで考察したところで実は大事なポイントが抜けています。
このサプライには泥棒がいることです。礼拝堂圧縮からの単純なお金プレイが泥棒に弱いのは周知の事実です。
「泥棒のあるサプライで、礼拝堂圧縮お金プレイをプレイ出来るか?」という所から話を始める必要があります。
3人庭園でもゲームは早いので、初手から庭園獲得競争を行っている間に泥棒を入れる余裕はありませんが、もしかしたら祝宴を入れるタイミングで泥棒を入れるプレイヤーはいるかもしれません。よく考えると、そこで礼拝堂プレイヤーから泥棒で金貨を抜けたとしても、「泥棒獲得→泥棒プレイ(金貨獲得)→獲得した金貨をプレイ」と庭園デックでシャッフルを2回はさむ時点で、その金貨を使う前にゲームが終わるし、泥棒を祝宴にしていたら公領で3点取れているしと、単に礼拝堂プレイヤーを止めて共倒れになる公算が高いプレイングになりますが、だからといって実戦でそういったプレイを取るプレイヤーが出た場合に止めることは出来ません。
泥棒をもう少し早く投入出来るなら、「礼拝堂プレイヤーが圧縮している分、そこから銀貨や金貨を取れる見込み(金貨が取れれば公領が買えるかも)」もあるし、「上手くいけば自分だけ30枚(他の庭園プレイヤーは30枚未満)」となる可能性もなくはないですが、それで庭園枚数がトップの5枚に対して自分が2〜3枚とかになるのは本末転倒のような気がします。
「泥棒のおかげで勝てた(1位になれた)」という展開が全くないとは言いませんが、どちらかというと難しい話だと思います。
ただ、実戦で泥棒を買うプレイヤーが出た場合、「共倒れになる(どちらも1位を取れなくなる)」からといってその場で説得してあきらめさせることが出来るかというと、出来ないわけで。
それこそ、「礼拝堂プレイヤーがいる」「庭園」というキーワードだけから初手(序盤)に泥棒を取るプレイヤーがいないとも限りません。
残り3人のプレイヤーをよく知っていて、「この面子なら、泥棒買って仕事をするより自分の点数を1点でも増やすことに専念するはず」という確信があるならともかく、初めて会った人とプレイする大会では「怖い選択」と言えます。

礼拝堂プレイヤー側の立場で考えると、泥棒がいないとしても単に「いい勝負」になるだけで必勝というわけではありません。属州1枚の点数が大きいため、トラブって1巡遅れる(属州1枚取り損なう)だけで4位確定となります。4位になる確率は庭園側より高い(25%以上になる)上に、泥棒が出ると壊滅的になる可能性もあります(その場合、泥棒プレイヤーも多分3位ですが)。
また、庭園プレイヤー間の点数はごちゃごちゃしているのに対して、礼拝堂プレイヤー側の点数は一目瞭然のため、「少なくとも、奴が4位だから」と庭園側の3位プレイヤーまで結託して理不尽にゲームを終わらせにくる展開もあります。

以上を考えると、初手「研究所−礼拝堂」は取りづらい(勇気のいる)選択肢といえます。

3)「研究所−地下貯蔵庫」
そうなると残されたのは「研究所−地下貯蔵庫」になります(いや、もちろん5-2だからといって初手に5コストのカードを買う必要はないのですが、特に4-2や3-2で取りたいプレイングもありませんし)。そこから非圧縮のお金プレイに入ることになります。
これなら泥棒が入ってきてもそれ程怖くはないはずです(ピンポイントで金貨を抜かれた時は、あきらめましょう)。

敵(庭園3人)は11〜12ターンにゲーム終了でトップが20勝利点、3位が15点くらいという想定だと、終了までに属州3枚(または属州2+公領2枚)でトップ目、属州2枚+αで最下位は免れることになります(礼拝堂プレイと違い初期の屋敷3枚が残っています)。
そもそも11〜12ターンで終了するという比較的短期決戦が予想されるのであれば、圧縮したり細かくデックを構築しても、ゲーム終了までにその分の見返りを受けられるかは微妙なところがあります(研究所−礼拝堂の場合は、間に合うこともありそうですが)。

研究所−地下貯蔵庫スタートで11〜12ターンで属州3枚+αと考えると、結構きついところですが、十分ありうるレベルといえます。
途中しっかりお金(銀貨、金貨)を加える必要がありますし、終了タイミングが早いので公領に手を伸ばすタイミングも普通より少し早くしてリスクを犯す必要があります(特に最下位を避けたい場合は)。

後は引き次第(中盤に5金、終盤に7金を連発するとダメっぽいですが)、庭園プレイヤー次第(例えば工房と木こりに分かれたり、地下貯蔵庫や工房が残ったりして3山が遅い展開になればラッキーですが、庭園側が3位まで結束して、理不尽に速攻3山切れされたらダメでしょう)となりそうです。

ただ、この辺が5-2の時の最適解のような気がします。

4)4-3(3-4)からの庭園以外のプレイ
3人庭園が見えた4番手といった立場の場合、「自分は庭園以外に路を求めたい」と思う場合もあるでしょう。
その場合を検討してみます。

ここでまず考えるべき点は、残り3人の庭園プレイヤーがどんな感じかという所になります。
4人庭園だと早ければ7ターン、3人庭園の場合11〜12ターンで終了と書いてきましたが、実はこれらの数値は、庭園プレイヤー内の内訳や庭園プレイヤーの引きによって結構変動します。
4人庭園でも工房と木こりに分かれたり、序盤の引きの結果、工房・地下貯蔵庫が数枚残る展開になったり、祝宴で粘るプレイヤーが多かったりといった要因が重なると、終了までに10ターン以上かかることもあります。

この環境で庭園以外のプレイをする場合、ゲーム終了までの時間がどれだけあるかは重要で、終了までの時間が1ターン伸びた場合、そこで属州1枚買えればかなり順位が変わることになります。
そして、その時間がどれだけあるかは、残り3人の庭園プレイヤーのプレイングと引きにかかっているところが大きくなります。
4番手の1ターン目で、1番手から3番手まで「工房−工房−木こり」とかで回ってきた場合は、「工房−工房−工房」とかで回ってきた場合よりも、庭園以外に進んで何とかなる可能性は高くなるでしょう。

方法としては「銀貨−礼拝堂」圧縮と、普通のステロイド系(お金プレイ系)のプレイ(銀貨×2)が考えられるかと思います。
ただ、どちらにしろ4人目が庭園以外に行った場合、残り3人の庭園プレイヤーは自然と工房庭園になることが多いでしょう(獲得すべき庭園の枚数が4人の時に比べて増えるため)。また庭園以外のプレイヤーに対して、庭園側3人が結託しているかのごとく3山切れを急ぐ展開もあります。その辺のマイナス要因を考えた上で、庭園以外に進むかどうかを考える必要もあります。

1ターン目は銀貨から入って、2ターン目の他プレイヤーの動きを見てから、例えば残り3人が2ターン目にも工房を買うような展開であれば、自分も木こりを購入(「銀貨−木こり」初手)して、(木こり)庭園に戻れるようにプレイし、銀貨を見ても庭園プレイヤーの動きがバラバラなら、庭園以外に進むということも考えられると思います。

礼拝堂圧縮は制限時間と泥棒問題を考えると厳しいところがあるので、同じく制限時間的には厳しいですがお金プレイ(+研究所・地下貯蔵庫)といった方がまだおすすめでしょうか。
勝負どころとしては、2枚目の研究所の代わりに魔女を加えるという手はありますが、かなりのギャンブルになります(想定としては、呪い2〜3枚で庭園プレイヤーが30枚になる前にゲーム終了予定ですが、逆にギリギリ30枚に届かれると、呪いのマイナスを庭園のプラス分の点数が越える展開に)。

また初手「銀貨−木こり」(木こり−銀貨もあり)から入った場合は、さらに保留して3ターン目の庭園側の動きや自分の手札を見てから庭園に進むか、その他に進むか判断するという手もあります(研究所を追加する分には、1枚ターミナル・アクションの木こりを入れる余地があります)。庭園以外に進む場合、5金出た時は研究所購入が基本ですが、木こり含みの5金なら、デックの状態によっては「銀貨+地下貯蔵庫」の方が良い場合あり得ます。

次回以降は、ある意味、一番議論すべき「庭園が2人の場合」「1人の場合」に続けるべきですが(本当に庭園が有利なのかを検証するため)、あまりにパターンが多すぎて目まいがしているところなので、「予定は未定」でゆっくり考えさせてもらえたらと思います。
ではでは。