2人戦について

地元(北九州)で2人戦のミニ・トーナメントを開催することになりましたので、2人戦のプレイについての覚書を。
ほぼ、以前書いた記事の焼き直しになります。
※4人戦に慣れた人の2人戦入門ということで、主に4人戦との違いについて言及していきます。

【4人戦との最大の違い】対戦相手の人数具体的な影響はこの後で書いていきますが、4人戦と2人戦のプレイングの違いのほとんどは「対戦相手の数が3人でなく、1人である」ことに起因します。
2人戦の場合、唯一人の対戦相手にフォーカスを絞り、ゲーム終了時にその対戦相手を1点でも上回れば勝利となります。
4人戦の場合、対戦相手が3人いるため、一人に焦点を絞りきってしまうと、残りの2人に負けてしまうことがあります。

例えば4人戦の場合、あるプレイヤーのプレイングに致命的なアタック・カードがあったとしても、「そのカードを使う分だけデック構築に遅れを取って、残りの2人に勝てない」という場合、そのアタック・カードを取りづらくなります。1人のプレイヤーに勝てても、残り2人に勝てないからです。
2人戦の場合は1人の対戦相手のみを打倒すればいいので、対戦相手のプレイングに致命的なアタック・カードがあれば迷わず選択できます。その結果、自分のデックの構築が遅れてパフォーマンスが低調になっても、対戦相手がそれ以上に低調になれば全く問題ないからです。

また、4人戦の場合、「キング・メーカー」的な問題が生じることがありえます。
4人目の選択(プレイング)が、残りのプレイヤーの順位に影響する場合などです。
先程のあるプレイヤーに致命的なアタック・カードを取るかどうかもそうですし、4人目が属州に行くか、特殊勝利点に行くかで、属州側と特殊勝利点側の有利・不利が変わるような局面なんかも例としてあげられます。
4人目の選択肢として、どちらも同じくらいの勝率であればどちらを選択しても文句を言えるものではないでしょうが、それで不利になったプレイヤーはやるせないものがあるでしょう。
2人戦の場合は対戦相手が一人であるため、そういった心配はなくなります。

では、個別に細かいところを見て行きましょう。

1)ゲームのスピードのコントロール
4人戦の場合、自分の意思決定が全体に及ぼす影響は1/4ですが、2人戦の場合1/2となります。
どういうことかというと、例えば4人戦で3人が「速いステロイド戦略」を取った場合、残りの一人も自動的に「ステロイドでないと追いつけない」といったことがありえます。
2人戦の場合、相手がステロイドを取ったとしても、こちらが腰を落ち着けてデック構築に入れば、ゲーム終了まである程度時間を作れます。
「4人戦の3人がステロイド」の時みたいに、「(自分のプレイイングに関係なく)デック構築する暇もなくゲームが終わる」という展開はあまりないと思います。
※ただし、デック構築して追いかけた結果としてステロイドに追いつけるかどうかは別の問題で、サプライや各自のプレイング次第となります。

2人戦でもステロイドで戦えるサプライはありますが、4人戦に比べるとデック構築した方が有利になる場合の比率が高くなると思います。
4人戦が4人で属州12枚(一人当たり3人)に対して、2人戦は8枚(一人当たり4枚)という点も、デック構築する上では有利な点になります。

時間が稼げるということで、ビッグ・ブリッジのような即死コンボの構築が成功する確率も高くなります。

同様に特殊勝利点がある場合も、注意が必要となります。
例えばブドウ園がある場で、相手がブドウ園に行っているのに、ブドウ園を完全に無視して通常の属州場のようにプレイしていると、酷いことになる場合があります。
対戦相手は完全に属州を無視してプレイしてくるので、ゲームを終わらせるには属州8枚を買うなり、隙を見て3山切れにする必要があり、当初からその予定でデックを組んでいても時間がかかりますし、途中で失速した場合、絶望的な時間がかかるでしょう。
※4人戦の場合、3人が属州側でプレイすれば、ほぼ通常と同じ属州場のスピードでゲームが進むことになります。

序盤、点数的に圧倒して気持ちよくプレイしていたのに、なかなかゲームを終わらせることが出来ず、気付いたらブドウ園が1枚7点とかになって逆転されていることになります。
そういう場合は、自分もブドウ園プレイに行くなり、点数効率悪くてもほぼカットのためだけにブドウ園を買うなり、最初からブドウ園が育つ前に属州8枚を買いきる覚悟で行くなりのプレイングが必要になります。

逆に、お互いがデック構築に専念した場合、何処で勝利点購入に切り替えるか、そのタイミングが難しい場合があります。
相手もデック構築に手をかけていると、勢い自分も構築に付き合ってしまい、相手が裏切って(?)先手を取って勝利点を買い始めた際に「追いつけない」という展開になる場合があります。もちろんその逆(先手を取って勝利点を買い始めたら、デック構築が不十分で、後から逆転された)もありえますが。

2)終了時の攻防
勝利することを最大限に追及する場合、負けている(最下位の)プレイヤーが、負けた(最下位の)状態のままゲームを終了する意義は全くありません(負けが完全に確定している場合に「その後の無駄な時間を省く」といった意味での意義はありえますが)。

4人戦の場合、4位のプレイヤーが2位や3位になる為に「1位になれない」けど最後の属州を買ってゲームを終了させることがありえますが、2人戦の場合、負けている方のプレイヤーは、負けた状態で自分からゲームを終わらせる意義は全くありません。単に逆転を目指して(場合によっては夢見て)、ゲームを続けるだけです。
そのため、勝っている方のプレイヤーが勝ちを確定させるためには、自分でゲームを終わらせられることが必要となります。

また、4人戦では点数把握ができないから「終盤、とりあえず属州を買える時は買う」プレイヤーも出てきますし、把握できていても、自分の次のターンまでの間に3人もプレイするプレイヤーがいると、誰がどう動くか(属州を買う、買えないなど)はかなり分からないので、さらに「属州を買える時には買う」ようになってしまいます。

それに比べて、2人戦は点数などの状況を把握しやすいところがあります。
点数計算が面倒な特殊勝利点があると追いきれなくなることはありますが、基本勝利点だけなら、対戦相手と自分の点数差を把握するのはそれほど難しくありません。オンラインのプレイでVPトラッカーの類を使っていれば殊更です。
そして、最後の属州を買っても逆転しないのであれば、「とりあえず最後の属州は買わない(ゲームを終わらせない)」ということになります。

4人戦の場合、1位が終わらせなくても、2位や3位が今の順位を守るためにゲームを終わらせてくれることが結構あります(あと、リアルのプレイだと、上記のように順位を把握できずに、とりあえず終わらせてくれることも)。
例えば通常の属州場の4人戦で、属州4枚を獲得したところでデックが力尽き、シャッフル後は公領さえロクに買えない様な状態になったとしても、残りの3人が均衡して争う状態であれば、そのうち、ほっといても1位は転がり込んでくる可能性があります。

これが2人戦だと、対戦相手は十分な枚数の公領や屋敷を獲得してから最後の属州を買うようなプレイングをしてくるので、特に+購入のある環境なら逆転される危険が高くなります。
その点では、4人戦では最適となることが多い「属州3〜5枚を速攻で確保して、力尽きる」タイプのステロイドは、2人戦ではプレイしづらくなります。

+購入や改築系などの飛び道具の無い2人戦の属州場でよくある典型的な動きとして、終盤、抜きつ抜かれつの展開で2人が勝利点を買っていっている場合、属州が残り2枚になった段階で属州購入の手が止まってしまうことがあります。
自分のターン開始時に相手より1点でも勝利点が多ければ(後攻の場合、同点でも可)、最後から2枚目の属州を買って相手にターンを渡してもさして問題ありません。相手が最後の属州を買っても、自分の勝利でゲームが終わるからです。

逆に、ターン開始時に1,2点負けていて属州を買って逆転する場合、次の相手のターンに最後の属州を買われると、逆転負けでゲームが終了します。
その危険性を考えると、とりあえず公領で相手にターンを渡して、相手が公領を買えずに立場が逆転した後や、相手が我慢できずに最後から2枚目の属州を買った後に、運よく属州を・・・と期待するプレイが発生するわけです。
厳密にいうと、相手の残りデックの状態(デックの総金量など)や、自分の残りデックの状態を鑑みて、「次のターンの相手の手札に属州を買うパワーはない」と見切れば(あと、次のターンの自分に属州、少なくとも公領を買うパワーは欲しいですが)、踏み込んで属州を買うことはできます。
が、そこまで相手のデックを推察するのは難しいことが多いです。

逆に、ステロイドなどの先手を取るプレイングの場合、このプレッシャー分は有利といえます。
とりあえず勝っている状態で残り属州2枚の状態まで押し込めば、相手は8金出ても「もしかしたら・・・」と恐れて属州を買えずに公領で足踏みしてくれるかもしれません。
そうやって相手が足踏みして時間が稼げている間に、こちらにヒョッこり確率異常の8金ハンドが来ることもあるわけです。

もちろん、ビック・ターンが来れば一気に属州2枚買って勝ちでゲームを終わらせられるデックを作っておいて、たまたま8金止まりの際に残り2枚の属州に手をかけて返しの相手のターンに負けるのはどうかと思いますが、先の展望があまりない場合は、踏み込む勇気(返しに相手に最後の属州を買われたら負けで終わる状態で、最後から2枚目の属州を買う)を持てないのも良くないという話になります。

3)一人あたりのカード割り当て枚数勝利点カードの場合、それぞれ8枚になるので、人数で割った一人あたりの割り当て枚数(8枚÷2人)は4枚となり、4人の場合(12枚÷4人)の3枚よりは多くなります。3人戦とは同じですし、通常の属州場の場合、一人当たり3枚と4枚の違いはそこまでプレイングに影響を与えないことも多いような気がします。

勝利点カード以外の通常の王国カードの場合、2人だろうが4人だろうが1種類10枚になります。問題になるのは、集めれば集める程強力な力を発揮するカードの場合です。
例えば、以下のようなカードたちです。

愚者の黄金、寵臣、研究所系、拷問人(村系などの+アクションあり) など

4人であれば自分一人が無視しても残り3人が分け合えば致命的な脅威にならない場合でも、2人戦の場合、自分がそのカードを買うことを放棄すれば相手は最大10枚までアクセスする権利を有することになります。

また、4人戦の場合、そのカードに手を出したはいいけど、3〜4人で分け合ったために2〜3枚しか手に入らず、それなら他のカードを買っていた方がよかった、という展開もあり得ます。
2人戦の場合、2人で分け合っても5枚程度にはなります。つまり、分け合う展開でも十分威力を発揮する枚数を獲得できます。
で、十分な枚数が集まるなら、これらのカードは尋常でないパワーを発揮します。

また、自分がデック構築に専念するだけで全体のスピードを落とせるので、それらのカードを集めている時間も稼げます。
この辺も4人戦に比べると、2人戦でステロイドに比べてデック構築が有利になることが多い理由となります。

4)一部のアタック・カードの効率泥棒、海賊船、義賊などのアタックに関しては、人数によって効率がかなり変わってきます。泥棒系は「4人いれば1人、2人確率異常で外れても1人くらいはヒットするよね」というところが、「1人が確率異常でヒットしないと、その回は空振り」となります。
海賊船は4人戦では花形カードになることが多いですが、2人戦では屑カード扱いになっていることが多いような気がします。
道化師などは2人戦の感覚に慣れると、4人戦では超絶強カードに見えることがあります。

逆に、屋敷が無くならないせいもあって、2人戦では大使は強カードとして君臨しています。もちろん、ゲーム・スピードのコントロールが2人戦の方がしやすい点も大きいですが(幾ら大使でも、4人戦の属州場で3人にステロイドで走られると、振り切られるでしょう)。

またアタック・カードではありませんが、支配なんかは対戦相手が一人しかいないので、4人戦の場合とは少し趣が変わることがあります。特に、支配―仮面舞踏会とか、支配−大使がある場とか。

同様にアタック・カードではありませんが、「一人の相手を少しでも上回ればいい」と考えると、密輸人は、ほとんどの場合で強いカードになります。
4人戦だと上家がグダグタだとゴミ・カードになりますが、2人戦だと相手がグダグダなら、密輸人分のマイナスがあったところで総合力で勝てるでしょう。


やってみれば2人戦には2人戦の、4人戦には4人戦の良さがあります。
2人戦の場合、とりあえずダウン・タイム(対戦相手がプレイしている間の待ち時間)が短くなり、基本的にプレイ時間が短くなる傾向があるのが利点でしょうか(デック構築やコンボの比率が増えることなどもあって、単純に4人戦の半分になるとは言いがたいですが)。
ただ、(4人戦になれた人間から見ると)ゲーム終盤の動きで、たまにダルい思いをすることはあるでしょう(勝っている方が最後の属州を買えないせいで、だらだらゲームが続くとか)。

逆に4人戦の場合、終盤にそういったストレスを感じることは少ないでしょう(誰かがサクッと最後の属州を買ってしまう)。
また、もともと、ドミニオンのカードは4人戦をメインに設定されている部分があるので、ほとんどのカードは安定して使用できるでしょう。
ただ、他のプレイヤーの思惑次第でゲーム展開がかなり変わることが多く、特に初対面の人たちとプレイする場合、そこがストレスや敗因になることが多いでしょう。

ではでは。