教えて偉い人

以前、「Isoの遺産」という記事で、「Isoの最終ランキングで上位の人の名前を確認し、そのページから、そのlogを眺めてみるのも勉強になるかもしれません。」といったことを書いていましたが、実際に、上級者のプレイングを眺めてみると、確かに勉強になります。
※ちなみに、Isotropicの最終ランキングはこちらで確認できます(2013年8月21日現在)。

私の場合、手始めにランキング上位者のうち、現在のGokoでもほぼトップ3以内をキープしている「-Stef-」さんのLogを集めて眺めてみました。
「-Stef-」さんを選んだ理由は、Iso時代に-Stef-さんと何度か対戦した記憶があるのですが、まったく勝った記憶がなく、結構序盤はいい感じで行っているのに中盤・終盤辺りで逆転される展開が多く、その辺の理由が分かるかもと思って集めてみました。
※-Stef-さんはオランダ在住のトップ・プレイヤーです(以下、敬称略)

そうやってLogを眺めていると勉強になることも多いですが、たまに私の実力では疑問に思うことが結構出てきます。
「何故、(Aとせずに)Bをしているんだろう?」といった疑問を感じることがあります。
そういったプレイングに疑問を覚えた点や、感心した点を書き出してみました。

もし、この記事を読んでいる識者の人(偉い人)で、理由がわかったらコメントしてもらえるとありがたいです。
※Isotropicは、前のゲームで勝ったプレイヤーと負けたプレイヤーが対戦すると、勝ったプレイヤーが後手番になる仕様なので、必然的に-Stef-は後手番が多くなります。

Log1:#786312
2:Native Village(原住民の村)
3:Loan(借金)
5:City(都市)、Mountebank(香具師)、Wharf(船着場)
6:Border Village(国境の村)、Farmland(農地)、Goons(ならず者)
7:Expand(拡張)
P:Apothecary(薬師)
ポーションあり

「-Stef-」が後手で、先手の対戦相手は4-3スタート、-Stef-は3-4スタート
先手は1ターン目「ポーション」で2ターン目は「銀貨」
後手の-Stef-は1ターン目「銀貨」で2ターン目「ポーション

私がプレイしたら、「何が何でも速攻で、香具師」を目指して「銀貨−銀貨」と行きそうですが、-Stef-の初手の選択は「ポーション」になっています。何故でしょう?

・先手がポーションを選択したから?
(相手がすぐに呪いを撒かないなら、併せうちで、序盤は強力な薬師を優先?)
・呪い撒きが魔女でなく香具師だから?
(出遅れても中盤追いつける可能性があり、銅貨が配られるから薬師が役立つ)
・拡張、農地あたりで、呪いが処分できなくもない?

幾つか理由は考えられますが、どの辺がメインの理由なのかは、私にはちょっと分かりません。

サプライだけを見ると、呪いや国境の村が切れて、すぐに都市が強化され、City(都市)−Goons(ならず者)で勝利点トークンが荒れ狂う展開が予想されたのですが、・・・

「-Stef-」の3〜4ターン目の引きが、「3ターン目:6金⇒国境の村+香具師/4ターン目:P+2金⇒薬師」とスーパー過ぎて(ちなみに、対戦相手は、「3ターン目:3金、4ターン目:P+4金」)ゲームになっていませんでした。
※ちなみに、初手「P−銀貨」で3、4ターン目に「6コストとP+2コストを買えてしまう」確率は4%です。

それでも、船着場×3のビック・ターンに、すかさず自分で残りの呪いを買いきって3山切れであっさり勝利を決める辺りは流石でしょうか。

Log2:#154565
2:Lighthouse(灯台)、Pearl Diver(真珠採り)
3:Loan(借金)、Masquerade(仮面舞踏会)、Village(村)
4:Throne Room(玉座の間)
5:Explorer(探検家)、Highway(街道)、Stables(厩舎)
6:Nobles(貴族)

後手番で、相手が「豊穣の角笛」をveto(拒否)した後に、-Stef-は「共謀者」をveto(拒否)してスタート。

ゲームの経過を眺めてみると、私が対戦した時も良くありましたが、途中まで自分の方が上手くまわっていたのに、最後にはいつの間にか逆転されているパターンです。
途中経過を見ると、対戦相手が早めに入れた玉座の間が上手く働いたこともあって、中盤までは対戦相手の方がキレイにまわっているように見えるのですが。

最終的に金量に差がついたのは「探検家」を入れたかどうかの違いで、流石にこの流れなら私も探検家は入れると思います。
ただ、勝利点の部分で言うと、中盤に愚直に貴族を買い続けたところで差がついています。

貴族は、貴族だけでドロー・エンジンを構成するとかなり効率が悪くなります。
かなり枚数を重ねるまで、「+2アクション」⇒「+3カード」とキレイにまわることはなく、また「+2アクション」で使う部分がもったいなく感じます。
私だったら、このサプライは貴族よりは厩舎あたりを重ねていって、貴族は相手が買うならそれにあわせて少々買う程度で、貴族で2〜4枚負けても、属州が5-3枚の分かれになればいいか、くらいの思考になりそうです。

実は、このゲームの-Stef-のプレイで凄いと思ったところは、互いに初手「仮面−銀貨」から入って、3ターン目に厩舎を買った後、4ターン目というかなり早い段階で村を買っているところだったりします。
その時点のデックの状態を見ると、デックのアクションが「仮面・厩舎」のみの段階で村を買っているのは時期尚早に見えますが(それこそ厩舎を重ねていくなら、今後も村は要りませんし)、後で振り返ってみると、その後に貴族を買い続ける展開を見越したプレイになるのかなと思います。
貴族が効率悪いと感じるのは「+2アクション」で使う場合なので、それなら村でサポートして、貴族は専ら「+3カード」の方で使えるようにすればいいという話があります。
私だったら、4ターン目の時点では「その時点のデック強化」として有効そうなカード(例えば、銀貨とか)を選択して、後で貴族を「+2アクション」で使わざるをえなくなって、「使いづらい」とか言っていると思います。

この辺の「先を見越したプレイング」が大きな差なのかなと思います。

Log3:#154508
2:Duchess(公爵夫人)、Secret Chamber(秘密の部屋)
4:Ironworks(鉄工所)、Monument(記念碑)、Navigator(航海士)、Quarry(石切場
5:Tactician(策士)、Torturer(拷問人)
6:Counting House(会計所)
7:Bank(銀行)

後手番で、相手が「よろずや」をveto(拒否)した後に、-Stef-は「魔女娘」をveto(拒否)してスタート。

対戦相手が「策士−秘密の部屋」スタートに対して、-Stef-は「銀貨−記念碑」スタートからの記念碑ステロになります。
確かに、もう一押し(例えば研究所や村)がないので策士での毎ターン8金ループや、拷問人ロックを組めないサプライではありますが、「航海士ステロですらないのか」とは思いました。

対戦相手が2周目に策士が底に沈んだのに対して、-Stef-は3ターン目銀貨購入、4ターン目に記念碑プレイ込みで金貨購入とグッド・スタートで、あとは淡々とお金(記念碑ステロ)プレイ。ゲーム終了時の全カードをみると、「記念碑×3、銀貨×4、金貨×4、属州×5、公領×1」しか買っていません。

最終的には記念碑の勝利点の分で押し切り、目論見どおりの展開といえますが、何となくこれが正しいプレイだったのか疑問を感じました。

当初はもう少しリスクを取る(アクションを余分に入れるなど)予定があったけど、2周目の相手の動きが悪かったので予定を変えてリスクを下げた(単純な記念碑ステロに変更した)のか、当初から記念碑ステロの予定だったのか、訊いてみたい気がします。
あと、リスクをとるとしたら、どういうアクションになるのか?もしくは、リスク(アクションが被る)を上げてまでするべきアクションがないという判断なのか。

最終的に記念碑は3枚ですが、2枚目は7ターン目、3枚目は属州1枚目を買った後の10ターン目と、この対戦では、ほとんどリスクをとっていません。「(中盤以降)相手がまわった場合は負けてもいい」という考えで、着実なプランを取ったのでしょうか。
しかし、序盤の相手の引きが悪かったとしても、その後の引きがもう少し良ければ(策士の引き方や、策士発動中にもう1回銀行を引くなど)逆転されていたようにも思えます。

Log4:#153555
2:Moat(堀)、Pearl Diver(真珠採り)、Secret Chamber(秘密の部屋)
3:Black Market(闇市場)、Swindler(詐欺師)
4:Remodel(改築)、Smithy(鍛冶屋)、Spy(密偵
5:Merchant Ship(商船)、Mountebank(香具師
※植民地、白金貨あり
闇市場デック:礼拝堂、手先、停泊所、村落、岐路、愚者の黄金、大広間、執事、移動動物園、役人、金貸し、男爵、偵察員、石切場、拷問人、交易場、造幣所、玉璽、豊穣の角笛、地図職人、値切り屋、厩舎、総督、品評会、国境の村

闇市場のあるサプライです。
そういえばGokoが最近まで闇市場に対応してなかったせいで、最近、闇市場を使った記憶がないですね。
あれば理不尽なことが多いカードで普段は避けたいカードですが、たまに面白い組み合わせがあるし、こうやって眺めていると、時には遊んでみたい気がします(時にはですが)。
あとこうやって書いていて始めて気付きましたが、Isoの闇市場デックって1山25枚構成だったんですね。それも気付いていませんでした(ずっと15枚とか考えていました)。
そうやって考えると、1回目に闇市場のカードを買わずに戻す場合、一番最後に戻したカードは、他の2枚に比べて次に出てくる回が1回遅くなることになったんですね。

相手先攻3-4で初手「闇市場−詐欺師」、-Stef-後攻で初手「香具師−パス」。
意外だったのは、2ターン目(先手が詐欺師を買ったのがわかった後)の2金でも「秘密の部屋」って買われないんですね。
海外だと、あんまり詐欺師や泥棒に秘密の部屋で対応することは少ないんでしょうか?

ゲーム自体は闇市場による理不尽(例えば3ターン目に礼拝堂光臨とか)はなく、単純に香具師(初手を含む2枚)と商船(+闇市場少々)から白金貨につなげて普通のゲームでした。

Log5:#153367
2:Native Village(原住民の村)
3:Trade Route(交易路)
4:Ironworks(鉄工所)、Jack of All Trades(よろずや)、Noble Brigand(義賊)、Remake(再建)、 Remodel(改築)、Treasure Map(宝の地図)
5:Contraband(禁制品)、Venture(投機)

対戦相手が2-5スタートという不運があったりもして、ゲーム自体はそこまで競っていないのかもしれませんが、-Stef-のデックの組み方の順番は参考になります。

最終的に、「原住民の村−よろずや」+投機たくさん(投機獲得には、再建や改築も利用)で、最終的に金貨は1枚も獲得されずにゲームが終わっています。
互いに交易路を入れていないので、+購入はありませんが、点数の差になったのは、改築などから獲得した公領の枚数の差の部分になります。

初手「銀貨−再建」から入り、次の4金は鉄工所(以後、”よろずや””再建””再建”と獲得)で、銀貨の獲得は“屋敷の再建”と“よろずや”に任せて、初手以外は3金あっても原住民の村を購入、途中で改築を加えて(“銀貨を再建”と鉄工所から)、”再建を再建”や”銀貨を改築”で投機を獲得していってデックを構築しています。

私がプレイするとどうしても直線的になって、2周目に鉄工所を取るといった、いわゆる「急がばまわれ」的なプレイは苦手なところがあります。
「再建−原住民の村」から入って、あと序盤は「よろずや」数枚と「原住民の村」だけ集めて(もしかしたら、原住民の村集め用に交易路は1枚入れるかも)、あとは「中盤に6金の場合は金貨で残りは勝利点」という直線的なプレイをしていたと思います。

私だと途中で改築を入れて銀貨を投機にしようとは思いつかないでしょう。
投機独占とかは、結構相手にやられて痛い目にあっていることは多いはずなんですが。

ただ、今回の-Stef-のプレイは、ゲーム終了まで20ターン近くと結構かかっていて、数値上は順調にまわった「よろずやステロ」だと十分打倒できる結果になります。
この辺は、相手が(ステロでなく)デックを組む方向でプレイしていて、しかも上手くまわっていないのを見た上でより安定性の高いプレイングにしているのだと思いますが、その辺はどのあたりで判断しているのかは興味深いところです。

Log6:#153270
2:Pawn(手先)
3:Shanty Town(貧民街)
4:Bishop(司教)、Monument(記念碑)、Remake(再建)、Remodel(改築)
5:Cache(埋蔵金)、Explorer(探検家)、Upgrade(改良)
P:Possession(支配)
ポーションあり

互いに「再建−銀貨」初手から入り、-Stef-は3ターン目「銅貨×5」で改良購入、4ターン目に屋敷2枚を再建という、スーパーなスタート。
対する相手は3ターン目に6金出てしまって勢いで金貨買ってしまったけど、再建が底という微妙なスタート。
対戦相手は、司教を足したりもしたけれど、基本的に、素直に6金あれば金貨、8金あれば属州とプレイしていき、3ターン目に金貨を買えたこともあって、速そうな展開に。
「-Stef-」は2枚目の改良と司教を加えていって圧縮を進めながら、再建を探検家に改良して、司教で食い散らかしながら属州を買っていくモードに。
勝敗自体は、圧縮度の差などで、先に属州を買い始めた対戦相手がすぐに失速して逆転されて、それ程競ったものではありませんでしたが。

このサプライで支配がどれくらい影響があったのかは、少し興味があります。
例えば、相手が圧縮−支配みたいなデックを目指した場合を想定して、初手からの有り得る展開の一つにGoldenデックが入っていたのかどうかとか(相手に支配されているターンでも、獲得したVPポイントは自分のものになるので、司教のVPで戦うデックは支配に対する対抗策足りえる)。

Log7:#152784
3:Warehouse(倉庫)、Watchtower(望楼)、Woodcutter(木こり)
4:Coppersmith(銅細工師)、Ironworks(鉄工所)
5:Horn of Plenty(豊穣の角笛)、Tribute(貢物)
P:Transmute (変成)、Scrying Pool(念視の泉)、University(大学)
ポーション、白金貨、植民地あり

先攻の-Stef-が民兵をVote(拒否)、後攻の相手が使い魔をVetoしてからゲームが始まります。
ゲーム自体はそれ程見所はありませんでしたが、-Stef-の初手がちょっと気になったので、検討してみました。

「-Stef-」は「望楼−ポーション」ではじめ、相手は「倉庫−ポーション」を初手としています。
望楼も倉庫も、どちらも2周目の役割でいうとポーションが底に沈んだ場合の対策として購入されており、また、両方とも今後デックを組んでいけば必要なカードという意味では共通しています。
ただ、よくよく考えると初手としては倉庫より望楼の方が有利な場合が多そうです。

望楼の場合は、3ターン目に「P、銅貨×2、屋敷、望楼」と引いて、望楼の効果で4ターン目に大学を送り込むという最高パターンがありますが(2周目で大学をプレイして、4ターン目の手札を引く際にシャッフルが入らないので、次の3周目にもその大学をプレイできる)、プレイした際に追加でアクセスできる枚数は望楼が2枚で、倉庫が3枚と、枚数的には倉庫の方に軍配が上がります。
ただし、2周目の場合には2枚引けるより3枚アクセスできる方がいいとは限りません。
ポーションが底(この場合9〜10枚目も含む)の場合、3ターン目に倉庫を打てば、ポーションを含む4ターン目の手札を引いた際にシャッフルが入り「4ターン目にポーションをプレイする」ことは達成しますが、ポーションが底という状況は変わらないことになります(通常より山札が2枚薄く、その中に倉庫が入っているという点はありますが)。
4ターン目に底を引いた場合、3ターン目に倉庫をプレイするよりましですが(倉庫のプレイ中にシャッフルが入るため、できる山札の枚数が少ない)、5ターン目がポーションなしの手札になることが確定します。
対して望楼の場合は、プレイして引くのが2枚なので、3ターン目や4ターン目にプレイしてもシャッフルが入ることはありません。

あと、3ターン目に「銅貨×4、望楼」みたいな手札の場合、望楼をプレイするのでなく、倉庫を買って望楼を載せることで、4ターン目にきっかり残りの8枚全てにアクセスして100%の確率で大学を購入できます(3ターン目に望楼をプレイした場合、確率は1%未満ですが底の5枚が“ポーション、銅貨、屋敷×3”に対応できませんし、あと3ターン目に“ポーション、銅貨×5”みたいに“引き過ぎる”可能性もあります)。

もちろん、倉庫の場合でも、3ターン目にポーションを引いて大学購入、4ターン目に倉庫をプレイして、5ターン目に「大学プレイ+2枚目の大学購入確定」という展開はありえますが、総じて初手望楼の方が良さそうに見えます。

「-Stef-」はこの辺のどの辺りまで見越して初手に「望楼」を選んだのかは、少し興味があります。