ギルド_ファースト・レビュー1

※ギルドのカードの和訳一覧はこちら
※ギルドのカードのプロキシ用のシートはこちら
(プロキシは個人の責任の範囲内で使用ください)

ドミニオンの最新にして(現在の予定では)最後のエキスパンション「ギルド」に関して、その全容が明らかになりました。
Rio Grande Gamesのギルドのページにルールのpdfが公開されました。
また、Goko版(Online Dominion)では、ギルドのリリースが開始しているため、既にギルド入りで遊んだ人もいるのではないかと思います。

先日公開した和訳では一部重大な誤訳があってすみませんでした。
実は、誤訳をしていたStonemason(石工)に関しては、Goko版で遊んでみて、その動きを確認して誤訳だと判明しました。
「自動的に正しい処理をしてくれる」という点も、Goko版(以前ならIsotropic)の利点といっていいと思います。
Isoで遊んでいなければ、未だに私は「支配中の勝利点トークンを誰がもらうか」とか、わかっていなかったと思います。

リアルのカードの販売に関して言うと、海外のゲームショップの通販なんかを眺めると「販売開始:6/18」とか、6/21といった日付がみられるみたいです。
海外から輸入して実際に日本で遊ばれ始めるのは、7月の定例会とかのタイミングからになるかと思います。
ただ、結構未だにプレオーダーのところにギルドの名前が挙がっていないお店も多く、初回出荷数は多くないのかもしれません。

では、全カード揃いましたし、Goko版で少し遊んでみましたので、その感想を述べてみたいと思います。

【全体】
セットとしての新システムはコイン・トークンと、追加の支払い(Overpay)になります。
コイン・トークンは購入フェイズの開始時に財宝カードをプレイするタイミングで使用でき、1コイン・トークンを使用すると、1コインが発生します。
注意すべき点は、財宝カードと同様、購入フェイズにカードの購入を始めた後には追加での使用は出来ません。
+購入がある場合、1枚目のカードを購入した後に、2枚目以降のカードを購入するために追加でコイン・トークンを払うことは出来ません。
財宝カードと同様、カードの購入を始める前に2枚目以降の購入分も含めて一括で支払っておく必要があります。

追加の支払いに関しては、通常のコストに加えて余分に支払って購入すると、その分追加の効果が発生するカードが存在します。
コストの右に「+」の付いたカードで、4枚存在します。
追加の支払いについては、通常のコストに加えて実際に払われたコイン(ポーション)に関して効果が発生し、「0コイン」の支払いというのは認められていません。
通常コストの分だけ払って「0コスト分の追加効果」を得ることは出来ませんし、「橋」などでコストが0より低くなった後に0コストに補正された場合でも差額を追加の支払いに当てることは出来ず、追加の支払いの効果がほしければ、実際にコインを支払う必要があります。
また、追加の支払いは購入時のみ可能で、工房などでの獲得の際にはできません。

プレビューの最初が「パン屋(Baker)」だったため、他にもあるのではと期待していたのですが、結局「Setup(このカードがサプライにある場合、ゲーム開始時に○○する)」のあるカードは「パン屋(Baker)」だけだったみたいですね。
また、コイン・トークンに関しては、本当に「持ち越せる(仮想)コイン」というだけで、「コイン・トークンを使わないと出来ない○○」みたいな効果や処理はなかったようです(「肉屋(Butcher)の改築効果を除く)。
プレビュー前にあったカード予測で良く見かけた「余った(仮想)コインをコイン・トークンに変えるカード」や「追加の支払い分だけコイン・トークンを獲得するカード」もなかったみたいです。
まぁ、プロキシでプレイした際に便利すぎた感があったので、なくて当たり前だったのかもしれませんが。

今のところルールpdfの写真でしか見ていませんが、コイン・トークンに関しては、例えば海辺の「海賊船」のコイン・トークンと見た目区別がつかないように見えます。
もしかして、同じものなのかもしれません。
まぁ、「海賊船」とギルドのコイン・トークンを獲得するカードが一緒のサプライにあっても、使用時に各プレイヤーが置き場所をちゃんと分けて使えば(というより、「海賊船」には一応マットがあるはずですが)、一緒でも問題ないのでしょうが。

その他、ルールの注意点に関しては、こちらでまとめられているので、大変に参考になります。

【コイン・トークン】
コイン・トークンのもたらす効果に関しては「安定性」が大きいかなと思っていました。
何度か言及したように、毎ターン、使用可能なコインを使い切るプレイング、というか展開(つまり6金丁度とか8金丁度が、ずっと出続ける)なら、コイン・トークンは必要ないという話になります。
ただ、普通は7金とか5金がでて「ぐぬぬ」といっているターンがあるんだけど、そういう時に7金出た時の1金を持ち越せれば、「どちらのターンも金貨が買えて幸せ」というのがコイン・トークンの利点だと思います。
実際、「パン屋(Baker)」「燭台職人(Candlestick Maker)」、「広場(Plaza)」あたりは、そういうところが使用の主目的な気がします。
そのため、こういったカードが使用されている場合、いままでは終盤は相手のターンに「7金で(属州に)届かずに死ね」「Hageろ」とか念じていたわけですが、そうなっても「じゃあ、たまっていたコイン・トークンを使って8金にして属州買います」となってしまいます。
特に+購入のない環境で、相手に少しコイン・トークンがたまった状況で、デック構築にウツツを抜かして属州購入タイミングを計り損ねると、追いつけずに敗北する可能性は今まで以上に高くなるので注意が必要です。

逆に言うと、コインの余らない状況(得たコインを使い切ってしまう状況)だと、これらのカードは効率の悪いカードになります。
4〜5コストが不作で、「とりあえず銀貨買うだけ」「漁村買うだけ」「灯台買うだけ」みたいなサプライなら一考の余地がありますが、通常のサプライだと、序盤はコインを使い切ってカードを買うので、これらのカードは序盤から無理して買うカードでもないように思います。
これらのカードの有用性が高くなってくるのは、コイン出力がある程度確保された中盤以降になるかと思います。
十分に金貨の入ったデックだと、追加の金貨を1枚買うより「パン屋(Baker)」を1枚デックに足したほうが、継続的に8金を出すための安定性面ではプラスになることは多いでしょう。

当たり前といえば当たり前ですが、溜まったコイン・トークンは好きなターンに使える(カードの場合、引いてプレイする必要があるので、好きなターンに使えるとは限らない)のも大きいでしょうか。
コイン・トークンが8枚溜まっていれば、手札状況がどうであろうと属州が購入できることになります。
逆に、好きなときに使えるということは、使うタイミングが難しくなるときもあります。
ゲーム終了時にコイン・トークンが残っていても意味はありませんが、逆に途中で無駄に使いすぎて終盤に6金や7金止まりの際に属州を買えなくて負けるのもかっこ悪いです。
例えば終盤にコイン・トークン3枚持って2金止まりでhageた時に、「とりあえず全力で使って公領を買う(今回hageたなら、次にhageることはない)」と考えるのか、「結局、属州の枚数勝負になりそうなので、今回はコイン・トークンをセーブして、屋敷で我慢」なのか、考えどころが増えます。

コイン・トークンを獲得するカードとしては、あと「肉屋(Butcher)」と「商人組合(Merchant Guild)」がありますが、これらは趣きがかなり違いますので、個別のカードの考察の際に述べたいと思います。

次は、個別のカードの考察に移りたいと思います。