ギルド・プレビュー1

ということで始まりました、ギルドのカード・プレビュー。
これで、以前紹介したエイプリル・フール・スポイラーが、本当にエイプリル・フールだったことが判明しました。

現在のところ、テンポ良く1枚ずつ4枚のカードが紹介されています。
いつものパターンだと、そろそろどこかから全カードのスポイラーが漏洩しそうな時期のような気もします。
あと、実はBoardGameGeekよりDominionStrategy.comの方が、新しいプレビューが掲載されるタイミングが早いんですね。
既にいろんなところで訳などが紹介されていますが、遅ればせながらカードの内容について少し考察してみます。

その1:Baker(パン屋)

その2:Doctor(医師)

その3:Journeyman(職人)

その4:Butcher(肉屋)

【パン屋(Baker)】
5コスト アクション・カード

+1カード
+1アクション
コイン・トークンを1枚得る
−−−
Setup:ゲーム開始時に各プレイヤーはコイントークンを1枚得る

【医師(Doctor)】
3+コスト アクション・カード

カード1枚を指定し、山札から3枚を公開する。
そのうちの指定したカードを全てを廃棄し、残りは好きな順番で山札の上に戻す。
−−−
このカードを購入する際に、コストを余分に払ってもよい(overpaid)。
追加で払った1金ごとに山札の1番上のカードを見て、廃棄するか、捨てるか、山札の上に戻すかを選ぶ。

【職人(Journeyman)】
5コスト アクション・カード

カード1枚を指定する。
山札から指定したカード名以外のカードが3枚めくれるまで公開する。
その3枚のカードを手札に加え、残りは捨札にする。

【肉屋(Butcher)】
5コスト アクション・カード

コイン・トークンを2枚得る。
手札のうち1枚を廃棄し、好きな枚数のコイン・トークンを支払ってもよい。
もしカードを廃棄した場合、そのカードのコストに支払ったコイン・トークンの枚数を加えたコストまでのカードを1枚獲得する。


ギルドの新システムとしては、コイン・トークンと追加の支払い(Overpay)になるのかなと思います。
あと、もしかしたらSetup(ゲーム開始時の条件を変更する)のあるカードが、他にもあるのかもしれません。

コイン・トークンに関しては、購入フェイズに財宝カードをプレイするタイミングでしか使えないみたいです(in your buy phase, before buying cards, you can cash in any number of coin tokens for +$1 each.)。
ということは、エイプリル・フール・スポイラーにあった、「コインを支払わないとアクションが実施されない」カードはなさそうですね。

【パン屋(Baker)】
5コスト アクション・カード

+1カード
+1アクション
コイン・トークンを1枚得る
−−−
Setup:ゲーム開始時に各プレイヤーはコイントークンを1枚得る

実は4月ころにDominionStrategy.comのフォーラムで、このイラストを見かけた記憶があります。
「航海士よりひどい」といったコメントが付いていて、私もあんまりドミニオンっぽくないイラストなので、偽者だとばっかり思っていました。

コイン・トークンに関しては、以前も考察しましたが、毎ターンの購入時に産出したコインが余る展開かどうかで有用性が変わってきます。
コイン・トークンの利点は、ターンを越えて「持ち越せる」所にあって、毎ターン産出したコインを有用なことに使って使いきれる場合(獲得したコイン・トークンを、毎回獲得したターンに使い切ってしまう場合)は、普通の財宝カードや仮想コインに対して優位性はなく、コイン・トークンを獲得するカードは、コスト・パフォーマンスの点で、財宝カードや、普通の仮想コインを出すカードよりも劣ることになります。

ドミニオンは序盤〜中盤は拡大再生産(毎ターンのコイン産出量がだんだん増えていく)で、中〜終盤に勝利点カードを買い始めるとだんだん低下していく流れが多いと思います。また、序盤、中盤、終盤で購入すべきカードも変化していきます。
ある意味、中盤に丁度6金(金貨購入)や、丁度8金(属州購入)を連発する人の場合、コイン・トークンを獲得するカードは、コスト・パフォーマンスの悪いカードになります。
まぁこれは極端例ですが、各コストに有用なカードが散らばっているサプライであれば、コインが余る機会は少なくなるでしょう。
また序盤であれば、基本的には(例外は多々ありますが)5金出れば5コストのカード、6金出れば6コストのカードと、産出したコインを使いきって、なるべく高コストのカードを購入することになることが多いので、コインが余る機会は少なくなると思います。
中盤以降であれば、産出できるコイン量が増えるので(また、それに伴いばらつきも大きくなるので)、金貨や属州を買ってもコインが余るといったシチュエーションも出ますし、また、5金出ても銀貨を買うので2金余る、といった感じのパターンも増えてくると思います。

こう考えると、コイン・トークンを獲得するカードは、サプライのコストに偏りのあるようなサプライの方が有用なことが多く、序盤より中盤以降に効力を発揮しやすいという事になるように思います。

また、コイン・トークンの1コインも財宝カードや仮想コインの1コインも、購入時の効果は変わりません。そう考えると、例えば「Baker(パン屋)」は短期的にみると「行商人」なんかと同程度の効果で、「死の荷車」みたいな強力なインパクトを与えるカードではないといえます。ただ、毎ターン産出したコインが余ったり、足りなかったりするような展開の場合、「持ち越せる」効果によって、結果を安定させる(余った時のコインを持ち越すことによって、足りないときに補い、継続的に金貨や属州を買える)ことが出来るといえます。
毎ターンのコイン産出量を均し、結果を安定させるところがコイン・トークンを獲得するカードの利点といえるかと思います。

さて、そう考えると「Baker(パン屋)」は、通常の属州戦であれば、中盤当たりの勝利点を買う前くらいの段階で買うのには良いカードのような気がします。特に、+アクションが乏しくてターミナル・アクションを買える枠が既に埋まっている状態で、5金止まりだった時とか。
また、+購入のない環境なんかでデックにある程度金貨が入った状態だと、6金出た場合でも、追加の金貨を買うより「Baker(パン屋)」を買った方が結果は安定することは多いかと思います。

さて、「Baker(パン屋)」の場合、通常の効果以外に、セットアップ時の効果も目を引きます。
全員がコイン・トークンを1つ持ってゲームが始まるので、初手に購入できるカードのバリエーションがかなり広がります。
6-2スタートとか、5-3スタート、4-4スタートみたいに、今までありえなかった組み合わせが可能になります。
正直、こういう方法で初手のバリエーションを増やすということは予想だにしていませんでしたが、こうやって目にしてみると、ゲームの展開を変える方法としてかなり冴えた方法に思えます。かなり、興味深いというか、面白いです。

ただ、このセットアップ効果と「Baker(パン屋)」の通常の能力自体は、あんまり関連性が少ないですね。
他にもセットアップ効果のあるカードがあるのか、また、あったとしたら、セットアップと効果が密接したカードがあるのか、気になります。
コイン・トークンを持って始めるということで、何となく「一部コイン・トークンを消費しないと買えないカード」が存在するのでは、とか思い立ちましたが、よく考えるとそういうのはポーションでやっているので、なさそうですね。
まぁ、正解はもう、1ヶ月もしないうちに分かるわけですが。

【医師(Doctor)】
3+コスト アクション・カード

カード1枚を指定し、山札から3枚を公開する。
そのうちの指定したカードを全てを廃棄し、残りは好きな順番で山札の上に戻す。
−−−
このカードを購入する際に、コストを余分に払ってもよい(overpaid)。
追加で払った1金ごとに山札の1番上のカードを見て、廃棄するか、捨てるか、山札の上に戻すかを選ぶ。

見張りなんかと同様、手札でなく山札から廃棄するカードになります。
そのため、「Doctor(医師)」を使う分手札1枚は減りますが、残りのカードである程度の買い物ができます。
礼拝堂だと手札を思いっきり廃棄できるけどそのターンの購入はパスになり、礼拝堂や「Doctor(医師)」の代わりに銀貨を買っていたら金貨を買えたというような状況で、「Doctor(医師)」だと、山札の廃棄処理をしながら銀貨を買えることになります。
山札への処理のために不確定なところが多く、あと、廃棄したいカードと「Doctor(医師)」が手札に一緒に来たらどうしようもない辺りなんか、「見張り」とかなり似た構造を持ったカードといえます。引ききりながら「倉庫」や「物置」みたいな手段を除けば、山札3枚を、ある特定のいらないカード1種類(屋敷とか銅貨とか)の3枚にする方法はあんまり思いつかないですね。

ただ、圧縮していけば山札の中身も読みやすくなるところはあります。
基本カードと「Doctor(医師)」のみのサプライで、一人まわしをしてみると、大体15ターンくらいで属州4枚を購入できます(屋敷は廃棄されているので勝利点24点)。早いとはいえませんが、遅くもないタイムのような気がします。
初見で見たとき「山札から1種類ずつしか廃棄できないのだと、高圧縮は効率悪すぎて無理でないか」と思いましたが、出来なくはないみたいです。

基本的には、「銅貨」宣言で銅貨を廃棄して全体の枚数を減らしながら、カウンティングで山札の状況が良くなれば「屋敷」宣言といった感じで、たまに5金が出た際に、+2コイン追加の「Doctor(医師)」で山札を廃棄しながらプレイする感じでしょうか(「銅貨」宣言でめくれたカードの中に屋敷があることを確認してから追加の「Doctor(医師)」を買えば、屋敷が廃棄できます)。

どうしても始めは「屋敷」宣言より「銅貨」宣言となり、そうなるとお金状況が厳しくなってくるので、初手は「Doctor(医師)−銀貨」となり、そうなると3金の時に銀貨、4金の時に+1コイン追加で「Doctor(医師)」を買いたくなります。
そうなると、1ターン目3金で銀貨、2ターン目4金で+1コインで「Doctor(医師)」となる展開の方が、1ターン目4金、2ターン目3金よりも、安定した結果となります。

例えば、ちょっとツイていれば

1ターン目: 銅貨×3、屋敷×2 →銀貨購入
2ターン目: 銅貨×4、屋敷×1 →4金(+1金)で「Doctor(医師)」購入
       「銀貨×1、銅貨×3、屋敷×2」の山札から屋敷を引いて廃棄
3ターン目: 銀貨×1、銅貨×3、屋敷×1 →5金(+2金)で「Doctor(医師)」購入

ぐらいには、プレイできるでしょう。
まぁ、もちろん理想は「1ターン目に5金で、+2金で「Doctor(医師)」を買って、屋敷2枚廃棄、2ターン目に「Doctor(医師)、屋敷、銅貨×3」を引いて、「Doctor(医師)」で銅貨を廃棄しつつ銀貨購入」とかでしょうが。
2ターン目終了時のドロー前の状況は、以下の通りで、全デック枚数は7枚になります。3ターン目は金貨購入か、「Doctor(医師)」の通常プレイで屋敷を廃棄しつつ銀貨を追加といった展開でしょうか。

山札:銅貨×1、 捨札:Doctor(医師)、屋敷、銀貨、銅貨×3

「Doctor(医師)」で注意すべきは、めくった3枚のカードのうち、ヒットしなかったカードは山札に戻ります。
そのためキー・カードが捨札に落ちるような事故は起こりませんが、言っても詮無いことですが、ライブラリー操作としては、捨てる方が有用なことは多そうな気がします。
戻すと考えると、一応、こいつも井戸のパートナー足りえる可能性はあります。

それもあって、高圧縮に進まない場合の軽圧縮手段として考えると、効率が悪く微妙な感じがします。
それだと、「Doctor(医師)」の通常効果でちまちま1種類ずつ圧縮するより、大金を投入して金に物を言わせて購入時の追加コストの効果で圧縮した方が、早いかもしれません。
購入時の追加コストの場合、追加で払ったコイン回数分だけ、山札のトップをみて、「廃棄/捨てる/戻す」を選択できます。戻さずに「廃棄/捨てる」だけを選択すれば、追加コストを払った分だけの枚数のカードを処理できます。
最後の方で強いカードを引いたり、途中でもどうしても残したいカードを引いた場合は、残りの処理は延々「戻す」を選択し続ければ、そのカードを山札のトップに残すことが出来ます。代わりに、事実上、残りの処理はスキップすることになります。

また、購入時の追加コストの効果を用いて、山札から特定のカードを掘り進むことも考えられます。
例えば「鍛造」なんかのカードは、1回使えれば結構デックが整理できるので早く引きたいけど、2枚目はいらない状況は多いような気がします。そういう時は、2枚目の「鍛造」を買うよりは、7金で「Doctor(医師)」を購入して、デックの整理をしつつ、鍛造を掘り起こしにかかるといった展開はありえるような気がします。

また、追加コストの処理の場合は、(通常のプレイ時と違い)捨札にできるので、「坑道」を混ぜると面白いかなと思って遊んでみましたが、結構プレイングが面倒な割りに、遅くはならない代わりに、特に早くもならないといった感じでした。


【職人(Journeyman)】
5コスト アクション・カード
カード1枚を指定する。
山札から指定したカード名以外のカードが3枚めくれるまで公開する。
その3枚のカードを手札に加え、残りは捨札にする。

初め見た瞬間は、恥ずかしながら「ここまで職業シリーズで来て、なぜいきなり旅人」とか思ってしまいました。
・・・いや、「Journeyman」は職人で、「Journey(旅)」とは関係ないですね。ただ、何の職人かは不明ですね。

カードの効果を読むと、「指定するカードは何だろう」とまず考えますが、普通に考えると、序盤はまず間違いなく「屋敷」になるでしょう。
鍛冶屋ステロイド風に「Journeyman(職人)」ステロイドをプレイした場合、序盤であれば「屋敷」を宣言するだけで、かなり引く結果が計算出来るようになります。実際に屋敷がヒットされて飛ばされれば、かなりメデタイ結果になります。
・・・「Doctor(医師)」同様、「Journeyman(職人)」と屋敷を一緒に引いてしまうと、無力ですが。

また、「銅貨」を宣言すると、デック中で引けるものがかなり限られ、さらに計算が立ちます。
例えば、初手5-2で、「Journeyman(職人)−パス」で始め、3ターン目に「「Journeyman(職人)、銅貨×3、屋敷」の手札を引いた場合、

・屋敷を宣言: 何枚屋敷が弾かれるかは分かりませんが、「銅貨×6枚、屋敷」の手札になります。
・銅貨を宣言: 屋敷2枚を引いて、残りの全てのカードが捨札におちます
・白金貨など、存在しないカードを宣言: 単に山札3枚を公開して、手札に加える(鍛冶屋なんかと、ほぼ同じ効果)

となります。
「Doctor(医師)」「Journeyman(職人)」と続けて考察すると、つくづくドミニオンって「屋敷」と「銅貨」にどう対処するかというゲームなんだなと思います。

「Journeyman(職人)」と一緒に手札に引く屋敷の枚数が増えるにつれて、状況としては悪くなる感じでしょうか。
村と執事などの廃棄カードがあるなら、「銅貨」宣言で屋敷を集めて一気に廃棄して、その後は、「銅貨」宣言で「Journeyman(職人)」をプレイすれば、結構な速さで、金貨などの強いカードを使いまわせるような気がします。

【肉屋(Butcher)】
5コスト アクション・カード

コイン・トークンを2枚得る。
手札のうち1枚を廃棄し、好きな枚数のコイン・トークンを支払ってもよい。
もしカードを廃棄した場合、そのカードのコストに支払ったコイン・トークンの枚数を加えたコストまでのカードを1枚獲得する。

以前(4月頃)、ギルドには「肉屋」というカードがあるらしいという噂をフォーラムで見かけた時のものと、ほぼ同じ内容のカード効果で、「Baker(パン屋)」のイラスト同様、やっぱり多少は事前に情報が漏洩していたみたいですね。

カードの効果としては、2コイン・トークンを得る部分と、コイン・トークンを利用した改築部分に分けて考えられると思います。
以前、エイプリル・フールのオリジナル・カードで遊んだ際に、「大工(4コスト/アクション・カード)、2コイン・トークンを得る」というカードがありましたが、遊んで(使って)みた感想としては、序盤はともかく、中盤以降は、コイン・トークンが2枚出るのは「かなり安定・安心」して戦えて、結構影響力は高かった記憶があります。
5コストとはいえ、コイン・トークン2枚獲得に改築効果が付いているので、かなり効果的なカードになると思います。
ところで、カードを廃棄した場合、任煮の枚数のコイン・トークンを支払うとなっていますが、「コイン・トークン0枚」でもいいんでしょうか?

とりあえず、まずはこんな感じで。