中庭ステロイド(その2) というより、仮面ステロイドについての考察

ということで続きです。
あんまり中庭ステロとは関係ありませんが、ついでなので仮面舞踏会の場合のデックの分割管理について話をしたいと思います。

※以下、仮面舞踏会での分割管理について延々書いていますが、分割管理についてはとりあえず、

「序盤(〜中盤)のカード総枚数が少ない時に、捨札にドロー・カードが1枚、手札にドロー・カードが1枚の状態で、ドロー・カードをプレイしてシャッフルを発生させると、今後暫く2枚のドロー・カードを被らずに引ける可能性が高くなり、スムーズにプレイできることがある」
といった点を覚えてもらえればいいかなと思います。

一般に、山札の少ない状態(底の方)でドロー・カードをプレイしてシャッフルを引き起こすと、新しい山札にドロー・カードが入らなくなるので、あまり好ましい状態ではないとされていますが、これは、カードの総枚数が多くなった中盤〜終盤の話で、特に引き切りプレイのように複数のアクション・カードをプレイしている場合の話になります。
序盤(〜中盤)の総枚数が少ない場合だと、新しく出来る山札の枚数が少ないので、そこまで影響しないことが多くなります。


さて、分割管理で有名なのが、カードの総枚数が12枚で、その内2枚が仮面舞踏会の場合でしょうか。12枚全てが山札で、そこから手札5枚を引くところ(例えば初手を仮面×2ではじめた3ターン目)から始めると、
※面倒なので、序盤に自分が仮面舞踏会をプレイした場合、下家に流したものと同じカードが上家から流れて来た(例えば屋敷を下家に流して、上家から屋敷を受け取った)として話を進めています。

・最初の手札5枚に仮面舞踏会を1枚だけ引き
・(1枚目の仮面舞踏会をプレイして引いた)次の2枚に、2枚目の仮面舞踏会がない

と上手く進めば、当然残りの5枚の山札に2枚目の仮面舞踏会が含まれることになります
仮面舞踏会の効果で1枚廃棄した後に1枚購入した(もしくは廃棄をせずに、購入もしない)状態で次のターンの手札を引いた場合、状況は

・ 手札 (2枚目の)仮面舞踏会を含む5枚
・ 捨札 (1枚目の)仮面舞踏会を含む7枚

となります。ここで手札の2枚目の仮面舞踏会を使うと、捨札7枚が新しい山札になり、そこから2枚を引きますが、そこでもう一枚の仮面舞踏会を引かなければ(1−2/7=5/7、約70%)、山札は仮面舞踏会1枚を含む5枚となります。で、このターンも仮面舞踏会の効果で1枚廃棄した後に1枚購入した場合(もしくは廃棄も購入もせず)、次のターンの手札を引いた際の状況は、

・ 手札 仮面舞踏会を含む5枚
・ 捨札 仮面舞踏会を含む7枚

と、枚数と仮面舞踏会の配置については前のターンと全く同じ状況になります。

つまり、5/7(約70%)の幸運がずっと続けば、毎ターン仮面舞踏会を撃ち続けることが出来ます(外圧や、サプライ切れがないかぎり)。
分割管理の一つの完成形といえます。

ちなみに、12枚が全て山札の場合(仮面舞踏会2枚を含む山札12枚、手札、捨札0枚の状態から、5枚の手札を引くところから始める)、仮面舞踏会が被らずに2ターン連続で上手く撃てる確率は38%となります。
対して、分割管理状態(手札5枚、捨札7枚でそれぞれに仮面舞踏会が1枚)の場合、2ターン連続で仮面舞踏会が使える確率は5/7×5/7となり、51%となり、少し確率が良くなります。

で、こちらは余り有名ではありませんが、カードの総枚数が13枚の場合でも、仮面舞踏会による分割管理は可能となります。
例えば、初手「仮面舞踏会−銀貨」で始め、3ターン目か4ターン目に1回仮面舞踏会を使い、3〜4ターン目の購入の片方で2枚目の仮面舞踏会を購入した場合です。
4ターン目の最後に山札0枚の状態となり、5ターン目は新しく作られた13枚の山札から手札5枚を引いてプレイすることになります。
ここで、5ターン目、6ターン目に連続して仮面舞踏会が使える確率は32%となります(総枚数12枚の場合は38%)。
で、首尾よく5ターン目に1枚目の仮面舞踏会をプレイし、6ターン目の手札に2枚目の仮面舞踏会が来た場合の状況は、

・ 手札 仮面舞踏会を含む5枚
・ 山札 仮面舞踏会を含まない1枚
・ 捨札 仮面舞踏会を含む7枚

となります。ここで仮面舞踏会を撃った場合、山札1枚を引いた後に、捨札7枚が新しい山札になって、そこからさらに1枚を引きます。
この時に、新しい山札7枚の2〜6枚目に仮面舞踏会が入れば(5/7、つまり約70%の確率)、次の7ターン目も仮面舞踏会が撃てることになります。
で、首尾よく2〜6枚目に仮面舞踏会が含まれた場合、次の7ターン目の手札を引いた際の状況は、

・ 手札 仮面舞踏会を含む5枚
・ 山札 仮面舞踏会を含まない1枚
・ 捨札 仮面舞踏会を含む7枚

となり、枚数と仮面舞踏会の配置は前のターンと同じとなります。
つまり、カードの総枚数13枚の場合でも、12枚のとき同様に5/7(約70%)の確率で分割管理が続くことになります。
(1枚多い分、最初のセットアップの時の確率が38%から32%と少し悪くなりますが)

カードの総枚数が14枚になると、首尾よく仮面舞踏会を2ターンに分けて引いても(28%)、2回目の仮面舞踏会をプレイした時点で山札が丁度0枚になり、デックが山札と捨札に分割されません(一つの大きな山札に戻ってしまう)。そのため、分割管理は出来なくなります。
※私も実際にカードを使ってみるまで誤解していましたが、例えば「手札0枚、山札13枚、捨札1枚みたいな、少しずらした状態で始めれば、総枚数14枚でも分割管理維持は可能ではないか?」とか考えていましたが、次のシャッフルが入った直後(捨札0枚の状況)は、常に「手札5枚、山札9枚」(もしくは仮面舞踏会で引いた場合なら「手札6枚+プレイした仮面舞踏会、山札7枚」)となり、ずれた状況が維持されません。

もちろん、この分割管理状態も毎ターン2/7(約30%)の確率で途切れる確率があります。
また、ある程度圧縮が進み、圧縮するものがなくなってくればデック総数は増え、維持できなくなります。
そもそも分割管理(仮面舞踏会を打ち続けること)は効率を良くする為の一つの方法ではありますが、必勝の方法というわけでもないので、是が非でも固執する必要もありません。

ただ、例えば1〜4ターン目に
「仮面」「銀貨」「仮面を打って銀貨」「2枚目の仮面」
と購入をすすめた5ターン目の手札で仮面舞踏会2枚が被ったとします。
(状況は手札5枚、山札8枚、捨札0枚)
で、5ターン目に仮面を使って金貨を買ったあとの6ターン目開始時の状況は以下のとおりとなります。

・ 手札 仮面舞踏会を含まない5枚
・ 山札 仮面舞踏会を含まない1枚
・ 捨札 仮面舞踏会2枚を含む7枚

ここでカードを購入すると14枚目となり、分割管理はできなくなります。で、ここでパスをすると、次の山札で分割管理状態に入る可能性は30%程になります。
繰り返しになりますが、分割管理はそこまで固執すべき必殺技というわけではありません。
が、例えば、この6ターン目の手札が2金とかの場合は、黙ってパスしてもいいのかなという気がします(まぁ、この時点で2金しか出ないというのは、2回の仮面舞踏会で屋敷が廃棄できなかったり、他人の仮面舞踏会の際に屋敷が増えたりしていないと生じないので、かなり稀ですが)。
銀貨が買える場合は悩みますが、屋敷の廃棄が進んでいない場合、パスを検討する場合もありえるかなという気がします。

で、分割管理だけを考えると、初手「仮面−銀貨」から13枚の分割管理を目指すより、初手「仮面×2」の方が確率が良くなります。
「仮面×2」の場合総枚数が12枚なので、分割管理に入れなかったり、分割管理が崩れた(仮面舞踏会が被った)場合でも、仮面舞踏会が被った次のターン(仮面舞踏会が手札にないターン)にカードを購入してもカード総枚数は13枚となり、13枚の山札で再度分割管理にトライ(32%)できます。

初手「仮面−銀貨」の場合、2周目に仮面舞踏会が底に沈む(3〜4ターン目に引けず、5ターン目に引く)危険が2/12(17%)あり、底に沈まなかった場合(10/12:83%)に5〜6ターン目に32%の確率で分割管理に入れます(その後は5/7の確率で、分割管理が維持されます)。

これだけで考えると、初手「仮面−銀貨」より初手「仮面×2」の方が良さそうに見えます。
が、序盤の目的は「仮面舞踏会をプレイすること」ではなく、「デックを強化すること」であり、「仮面舞踏会をプレイすること」はその一環でしかありません。
初手「仮面×2」の場合、仮面以外(お金の面)でデックが貧弱なため、上手くいった場合でも3〜4ターン目に金貨を買える確率はかなり低いです。
が、それを言えば「仮面×銀貨」の場合も3〜4ターン目に金貨を買える確率は4割程度で、確実に買えるというレベルではありません(約6割の確率で、3〜4ターン目の買い物は、仮面、銀貨になります)。

初手「仮面×2」の場合の問題点は、3〜4ターン目にかなりの確率で2枚の仮面舞踏会が被ることにあります。
3〜4ターン目に分割管理に入る確率は38%ですが、それ以外の残り62%は2枚の仮面舞踏会が被る(もしくは2%弱ですが2枚とも底に沈んで5ターン目に引く)ことになります。
初手に銀貨を買っていないのでデックのお金が薄い状態で、更にアクションが被るようなトラブルがあっては、かなり致命的な遅れとなります。

ただ、逆に言うと、38%の確率を抜けられれば、初手「仮面×2」は初手「仮面−銀貨」よりも優秀なプレイとなります。
3〜4ターン目に仮面舞踏会をプレイできるので、その時点で2枚のカードが廃棄できます。金貨が買えなくとも、3〜4ターン目とも「屋敷を廃棄して銀貨を購入」したとすると、5ターン目開始時の総カードの状態は「仮面舞踏会×2、銀貨×2、銅貨×7、屋敷×1」の12枚で、手札と捨札に仮面舞踏会が分かれた分割管理状態(5/7の幸運が続けば、毎ターン仮面舞踏会が連打出来る状態)となります。

対して、「仮面−銀貨」で初めて3〜4ターン目にかなり上手くいった場合は、例えば3ターン目に仮面舞踏会をプレイして屋敷廃棄で金貨購入、4ターン目に2枚目の仮面舞踏会を購入といった場合になります。この場合、5ターン目開始時の総カードの状況は「仮面舞踏会×2、金貨×1、銀貨×1、銅貨×7、屋敷×2」の13枚で、その13枚の山札から手札5枚を引いた状態になります。そこから5〜6ターン目に仮面舞踏会を首尾よく連打出来る確率は32%となります(その場合、分割管理状態となり、5/7の確率でさらに次のターンも仮面舞踏会をプレイ出来ます)。・・・こう考えるとステロイドの考え方的には4ターン目に2枚目の仮面舞踏会を買わずに銀貨を買うという選択肢も「あり」な気がしてきます。
結局、被るリスクと被らなかった際のメリット、あと被った場合でもある程度の購買力が確保されていることなどを考慮して、ドロー・カードを使ったステロイドの場合、2周目(3〜4ターン目)には2枚目のドロー・カードを購入するということになると思いますが、この辺も一度検討した方がいいかもしれません(議事堂や大使館、公使などの場合、2周目に2枚目はデメリットの方が多いような気がします)。
その辺は今後の宿題ということで置いておいて、上記の例の様に初手「仮面−銀貨」で3〜4ターン目に「金貨、2枚目の仮面(または銀貨)」を購入できる可能性は4割もありません。仮面が底に沈む可能性もありますし、無事に3〜4ターン目に仮面が撃てても、6金に届かず「仮面、銀貨(または銀貨×2)」、または6金に届いても「金貨、パス」となる可能性の方が高くなります。
初手「仮面−銀貨」の4ターン目終了時の平均像は、3〜4ターン目に仮面舞踏会をプレイして屋敷を廃棄、3〜4ターン目に2枚目の仮面と銀貨を購入して、総カード枚数は13枚「仮面舞踏会×2、銀貨×2、銅貨×7、屋敷×2」となり、この13枚の山札から5ターン目の手札5枚を引くといった感じでしょうか。

3〜4ターン目が上手くいった場合の初手「仮面×2」と「仮面−銀貨」を比較すると、5ターン目以降の展開も含めて考えると「仮面×2」の方が良くなります。
初手「仮面×2」で3〜4ターン目に上手くいく可能性は38%となります。

逆に上手くいかなかった場合は、初手「仮面×2」は、かなり酷いことになります。仮面×2が2枚とも底に沈んだ場合(1/55の確率)は流石に置いておくとして、2枚の仮面舞踏会が被って(仮面舞踏会をプレイした際に2枚目を引くのも含む)、3〜4ターン目に仮面舞踏会が1回しかプレイ出来なかった場合の平均像は、仮面舞踏会プレイ時に屋敷を廃棄して、3〜4ターンとも銀貨購入でしょうか。その場合、4ターン終了時の総カードは13枚で、「仮面舞踏会×2、銀貨×2、銅貨×7、屋敷×2」の13枚の山札から5ターン目の手札5枚を引くことになります。
・・・あれ、初手「仮面−銀貨」の場合の4ターン終了時の平均像と一緒になったような。
ただ、初手「仮面−銀貨」に比べると、3〜4ターン目に仮面舞踏会が撃てる確率が上がる代わりにお金の構成が弱いので、金貨(6金)に届く確率はほとんどなく、パス(2金止まり)の確率も少し高くなります。

・・・こうやって考えると、仮面ステロの初手って「仮面−銀貨」しか考えていませんでしたが、「仮面×2」というのも「あり」な気がして来ました。
特に、少し格上のプレイヤー相手に、勝つために少しの幸運を期待してプレイするなら(ツイてなければ勝てないと思うなら)、38%を期待して初手「仮面×2」は「あり」のような気がしてきました。

この辺も考察すると長くなるので、そのうち検討する宿題ということにして。
仮面舞踏会の場合、「1枚廃棄」出来るため、カードの総枚数を増やすことなくデックを強化していくことが出来ます。そのため、「運が良ければ分割管理状態を維持し続ける」ことが出来ます。
それに対して、他のドロー・カードの場合、デックを強化するためにカードを購入していけば総枚数が増えていき、どちらにせよ分割管理状態を維持することは出来なくなります。
まぁ、分割管理自体はその状態にすれば勝てる必殺技というわけでもなく、なったらいいな程度の状態なので、分割管理に持っていくためにカードを買わないというのは本末転倒なわけですが。


で、中庭ステロの場合、それとは別に「山札に1枚戻す効果」も大きなポイントとなります。

中庭ステロを初めてプレイして、3ターン目に中庭をプレイした際に何に感動するかというと、「4ターン目の手札をコントロール出来る感」だと思います。
3ターン目に中庭をプレイして、山札に1枚戻したた時点で、4ターン目の手札に何を引けるかが確定しています。
4ターン目の手札がわかっている(確定する)だけなら、(総カード12枚で)3ターン目に他の2枚ドローのカード(例えば堀とか)をプレイした場合と同じですが、中庭の場合、4ターン目の手札の1枚は3ターン目の手札から山札に戻された1枚になります。山札に戻す1枚で、3ターン目の購入と、4ターン目の手札の両方のバランスを調整することが出来ます。

さらに中庭ステロイドでポイントになるのは、2枚目の中庭が被っても、1枚目の中庭のプレイ時に山札に戻すことができる(つまり、次のターンにプレイできる)ので、「被って動きが阻害される」という心配なく2枚目の中庭を投入できます。
それこそ、デックを強化する必要がなければ、中庭2枚を含むカード総枚数12枚の状態にすれば、永遠に毎ターン中庭をプレイすることも可能です。
例えば、初手「中庭×2」で始め、3ターン目に中庭を1枚以上引けば、勝敗を度外視すれば、(外圧がなければ)ゲーム終了時まで毎ターン中庭をプレイすることが出来ます。
3ターン目に中庭をプレイし、もし2枚目の中庭を引いていれば中庭を戻し、そうでなければ、何でもいいので1枚戻します。そうすると、残り5枚の山札には中庭が1枚含まれることになり、4ターン目は中庭が確実にプレイ出来ます。
で、3ターン目に何も購入しないとなると、4ターン目の状況は「手札:中庭含む5枚、山札:0枚、捨札:中庭を含む7枚」となります。
この状態で中庭を撃ち、新しい山札から3枚引き、別の中庭を引けば戻し、そうでなければ、何でもいいので1枚戻します。そうすると、残った5枚の山札には中庭が1枚含まれることになります。以下、延々同じ動作を行えば、延々毎ターン中庭がプレイ出来ます。
もし、「中庭仮面(3枚ドロー、1枚廃棄、1枚山札に戻す)」といったカードがあれば、中庭仮面2枚を含む総カード12枚にできれば、以後、デックを強化しながら中庭仮面を毎ターン撃ち続けることが出来ます。・・・まぁ、そんな便利なカードが作られるわけありませんが。
まぁ、そんな感じで、中庭には山札に戻すことによる調整力があります。

次回は、その辺の中庭の特性も含めて、中庭ステロイドの考察を続けたいと思います。