中庭ステロイド(その1)

明けましておめでとうございます。
今年一番の考察は、何故か今さら中庭ステロということで。

昔からあった疑問で、自分の中で未だに未解決な問題として、「中庭ステロの初手は【中庭×2】と【中庭−銀貨】のどちらがいいのか?」という問題や、お金プレイの礼拝堂プレイ(初手「礼拝堂−銀貨」)の3ターン目に「礼拝堂、銀貨、銅貨、×、×」を引いた場合にどういうプレイをするのがいいのか等といったものがあります。
基本的に何ターンにもわたり、シャッフルが入る計算というのは自力で計算するのは無理なので、礼拝堂の方はシミュレーターとかで概算するのがいいのかなと思います。直感的には、「礼拝堂、銀貨」を引いたターンの裏(礼拝堂を引いたのが3ターン目なら4ターン目、4ターン目なら3ターン目)で銀貨を買えない(買えなさそうな)場合は「銀貨、銅貨」を残して2枚目の銀貨を買い、そうでなければ銀貨以外の3枚を全力で廃棄するのがいいのかなという気がします。まぁ、裏(礼拝堂を引かない方のターン)に銀貨を買えない(つまり、最初の礼拝堂で屋敷を1枚も廃棄できない)時点で、ゲームになっていないという話がありますが。あと、底に沈んで礼拝堂を5ターンに引く場合も。

で、中庭ステロの序盤(3〜4ターン)なら、面倒だけどギリギリ計算できなくもないので、ちょっとやってみました。
初手「中庭×2」「中庭−銀貨」「銀貨×2」の3パターンで計算してみました。

「中庭−銀貨」の場合、3〜4ターンの動きとして、まず6金に届くなら金貨を買い、6金に届かない場合2枚目の中庭を買い、2枚目の中庭を買った後は銀貨を買うようにプレイします。中庭を使用した場合、上記優先順位に従ってお金を整えた後で、その後で、可能であれば余った分のコインを戻します(ちょっきりの金額の場合は屋敷を戻します)。
「中庭−中庭」「銀貨×2」の場合、6金に届けば金貨、3〜5金は銀貨、2金はパスとし、中庭を使用した場合は、「中庭−銀貨」同様に余った分のコインを戻します。

で、その結果ですが、単純に3〜4ターン目に金貨を獲得する確率でいうと、

「中庭×2」    : 35%
「中庭−銀貨」  : 63%
「銀貨×2」    : 42%

となります。(詳細)

結構、圧倒的な差ですね。というより、「中庭−中庭」だと、「銀貨−銀貨」よりも率が悪くなるんですね。
あれ、調べてみたら、結構昔に同じような計算をしている考察を発見してしまいました。
あれ、微妙に数値が違う(「中庭−銀貨」の場合が65%になっている)。・・・シャッフルの入った場合が考慮されていないからでしょうか。

「中庭−銀貨」の場合、実は「鍛冶屋−銀貨」より3〜4ターン目の金貨到達確率は良くなります。
序盤に6金を出すためには5〜6枚の財宝カードが必要ですが(銅貨×6、または銀貨+銅貨×4)、鍛冶屋を撃った(プレイした)直後や、中庭を撃って1枚戻す前の手札は7枚になっている訳で、その7枚を全部使わないと6金が出ないというパターンはありません。そのため、中庭の場合、6金に届いた場合には悪くとも屋敷なりを戻す余裕があるので、3〜4ターン目に鍛冶屋や中庭を撃った場合の金貨到達率に差はありません。逆に、3ターン目に鍛冶屋や中庭を撃った際に6金に到達しなかった場合、中庭は銀貨や銅貨を戻すことで4ターン目に6金に出来るパターンがあるため、3〜4ターン目の金貨到達確率だけでいうと「中庭−銀貨」の方が、「鍛冶屋−銀貨」よりもチョッピリですが良くなります。
こうやって考えると、以前「鍛冶屋と中庭が併存するサプライでステロイドを行うなら、初手(1枚目)は回転率を重視して鍛冶屋を買い、2枚目のドロー・カードを追加する際には中庭を選ぶ」と考察したことがありますが、それが本当なのか再考した方がいいかもしれません。もしかしたら、初手から中庭を選び、追加の2枚目のドロー・カードも中庭を選ぶ方が良い可能性があるかも、という気がしてきました。
(村などと組み合わせて引き切るようなデックを構築したい場合、実質2枚しか掘り進めない中庭より鍛冶屋の方が適していることになりますが)

また、「中庭−銀貨」の場合、中庭の購入を1〜2ターン(1周目)と、3〜4ターン(2周目)に1枚ずつに分割しています。そのため、3〜4ターンに「2金が出た場合(3ターン目に「銅貨×2、屋敷×3」を引いた場合:約3%の確率)」でもパスしなくていいという点で、ちょっとだけリスクを減らしている面はあります。

ということで、結論としては「中庭ステロをプレイする場合、初手【中庭−銀貨】から3〜4ターン目に2枚目の中庭を追加する方が、初手【中庭×2】よりも良さそう」といったところでしょうか。

・・・ここで筆をおくと、各所から反論がありそうですね。
ということで、次の段階に進むためには「デックの分割管理」という話を進めたいと思います。

序盤にドロー・カードを使う際に起こることのある現象で、仮面舞踏会や4ターン目に鍛冶屋を撃つ場合の例が有名でしょうか。

鍛冶屋の例でいうと、初手「鍛冶屋−銀貨」で初めて、3ターン目に「銅貨×4、屋敷」といった手札を引いた場合の話です。ちなみに残りの山札は「鍛冶屋、銀貨、銅貨×3、屋敷×2」の7枚となります。この場合、4ターン目に鍛冶屋を引いて撃つ(プレイする)場合を念頭に置いて考えて逆算してみると、4ターン目の状況は、手札5枚「鍛冶屋、他4枚」、山札2枚、捨札6枚「銅貨×4、屋敷(3ターン目の手札)+3ターン目の購入カード」となります。この状況で鍛冶屋を撃つと、山札2枚を引いた上で捨札6枚をシャッフルして新しい6枚の山札を作り、その6枚の山札から1枚を引きます。で、5ターン目には「1枚引いた残りの5枚」、つまり「3ターン目の手札+3ターン目に購入したカードの6枚の内の5枚」をそっくり手札として引いてきます。つまり、4ターン目に鍛冶屋を撃つ時点で、5ターン目の手札もかなり予想がつきます。ちなみに、4ターン目に鍛冶屋を撃った場合、手札は「銀貨、銅貨×3、屋敷×2(ここまでで5金)+新しい山札から1枚」となります。新しい山札の構成は「銅貨×4、屋敷+3ターン目に購入したカード」なので、単純に4ターン目に鍛冶屋を撃てた場合に金貨を買う確率を上げたければ、3ターン目には銀貨を買えばいいことになります。
4ターン目に鍛冶屋を撃てた場合に金貨を買える確率は5/6(83%)となります。ただし、4ターン目に首尾よく金貨に到達(6〜7金)した場合、5ターン目は5金(4ターン目が7金なら4金)となり、2枚目の鍛冶屋を買って、丁度山札が切れるので、全部のカードをシャッフルして、そこから6ターン目の手札5枚を引くことになります。
逆に4ターン目鍛冶屋から5金止まりの場合、5ターン目が6金確定となります。その場合は、4ターン目の5金の際に2枚目の鍛冶屋を買い、5ターン目に金貨を買えば、4ターン目鍛冶屋から金貨を買った場合と同じ結果になります。

また、3ターン目に銀貨でなく2枚目の鍛冶屋を買った場合、4ターン目に鍛冶屋を撃って、3枚目のドローを新しい山札から引く際に、2枚目の鍛冶屋を引く(1/6、つまり17%の確率)と大惨事が起こります。4ターン目は5金止まりで、5ターン目も4金止まりとなります。
ただし、そこで鍛冶屋を引かなければ、残り5/6(83%)の確率で4ターン、5ターンに連続して鍛冶屋を撃てることになります。
対して、銀貨を買った場合の6ターン目の手札は鍛冶屋が2枚入った15枚の山札から手札を引くシチュエーションになります。

3ターン目に2枚目の鍛冶屋を買って、4ターン目の1枚目の鍛冶屋のドローで2枚目の鍛冶屋を引かなかった場合(5/6の確率)、5ターン目の状況は手札5枚「鍛冶屋+4枚」、山札9枚「鍛冶屋+8枚」、捨札0枚という状況になります。ここで5ターン目に鍛冶屋を撃って、別の鍛冶屋を引く確率は3/9(33%)となります。で、被らなかった場合、残りの山札6枚に鍛冶屋1枚、捨札9枚に鍛冶屋1枚となり、6ターン目も連続して鍛冶屋を撃てる確率が高く(5/6)、そこで鍛冶屋を撃った場合も、そのドローで鍛冶屋を引く確率は、あまり高くなりません。

3ターン目に銀貨を買った場合、5ターン目の最後に鍛冶屋2枚含む全てのカード(15枚)をシャッフルすることになり、次のシャッフルまでの間に2枚の鍛冶屋が被る(片方をプレイした際にもう一枚の鍛冶屋を引く場合も含む)確率は55%と高くなります。また、山札の枚数が増えるため、いわゆる「底」に沈む(山札の底の方で鍛冶屋を引くと、鍛冶屋を撃つとシャッフルが入り、次の山札にその鍛冶屋が入らないために、底にいなかった他のカードに比べ使用回数が1回分減ってしまう)という場合が出てきます。

良く「底に沈む」と言う場合、枚数の多い山札が一つあって、そこから順番にターン・エンドに手札として5枚や、ドロー・カードなどで引いていき、一番下の方(底)のカードはシャッフルの途中に引いて、「新しくできた(枚数の多い)山札に入らない」といったイメージになるかと思います。
それに対して、全カードが10枚ちょっとの序盤の場合、「捨札のグループにドロー・カードが1枚」「手札にドロー・カードが1枚」といった状態からドロー・カードを撃つと山札がなくなり、捨札がシャッフルされて新しい山札となり、次のターンになると、前のターンと比べ「捨札のグループ」と「手札・山札のグループ」の大半が入れかわった状態が暫く続くことがあります。全てのカードが山札に集まるのでなく、山札と捨札に2分された状態とも言えます。ある意味、ずっとドロー・カードが「底」の状態になりますが、残りのカード枚数が少ない上に、ドロー・カードのドロー途中でシャッフルが入るせいで、逆に上手くまわってしまう状態とも言えます。
もちろん、カードが増えて行けばドロー・カードを撃った際にシャッフルが入らなったり、また、確率が低いとはいえ、ドロー・カードを撃った際に2枚目のドロー・カードを引いてしまい、いずれかは分割状態が崩れて一つのグループ、枚数の多い一つの山札になります。が、そうなるまでは、出来れば分割管理を進めたいという話になります。

で、初手「鍛冶屋−銀貨」で、3ターン目に「銅貨×4、屋敷」を引いた場合の話に戻ります。ここで銀貨を買えば、4ターン目に鍛冶屋を引けば、5〜6ターン目には金貨と2枚目の鍛冶屋は確定しますが、5ターン目の終了時は山札0枚の状態なので、全カードをシャッフルして出来た山札から6ターン目の手札を引くため、分割管理という話はなくなります。
3ターン目に鍛冶屋を買えば、4ターン目に鍛冶屋を引いた場合、1/6の確率で大惨事がおきますが、4ターン目の金貨到達率4/6(67%)を保ったままで5/6の確率で5ターン目も連続で鍛冶屋を撃て、さらに6ターン目も連続で鍛冶屋を撃てる確率が結構あります。

ということで、鍛冶屋ステロイドで3ターン目に「銅貨×4、屋敷」を引いた場合にどうすべきかいうと、他プレイヤーが調子悪そう(5-2が弱い場で5-2プレイヤーが多いとか、3〜4番手で3ターン目の前手番のプレイヤーのプレイがおかしいとか)とか、堅実にいきたい(他プレイヤーの実力が微妙で、大コケしなければ自分が勝てそうとか)なら銀貨でいいでしょうが、普通は2枚目の鍛冶屋の購入を選択するのかなという気がします。

同様に3ターン目「銀貨、銅貨×3、屋敷」の5金の場合も、結構似たようにして考えることができます。この辺は「銅貨×4、屋敷」の場合なんかも含めて、実際にカードを使って練習してもらうと理解が早いと思います(リアルのドミニオンのカードが手元にない場合、このくらいの考察なら、トランプとかでも結構代用は効きそうな気がします)。
このとき、3ターン目に銀貨を買えば、4ターン目に鍛冶屋を引けば、5〜6ターン目に金貨と2枚目の鍛冶屋を買うことが出来ますが、全カードをシャッフルした山札から6ターン目の手札を引くことになります。
3ターン目に鍛冶屋を買った場合、4ターン目に鍛冶屋を引いて、4ターン目に金貨を買える確率は1/6ですが、5/6で5ターン目も鍛冶屋を撃てて、4ターン目に金貨が買えてなければ5ターン目に買える確率が高く、6ターン目もそれなりの確率で鍛冶屋が撃てることになります。
どちらが良いかは、周りの状況次第ですが、鍛冶屋を買った方がいい場合は多いでしょう。・・・サプライによっては、3ターン目に5金の時点で鍛冶屋ステロイド以外にスイッチした方がいい場合もありますが、そこはサプライ次第ということで。

で、【4ターン目に鍛冶屋を引いた場合】とくどい程書いてありますが、3ターン目に鍛冶屋を引かなかった場合、4ターン目に鍛冶屋を引く確率は5/7(約70%)であり、残り2/7(約30%)は、鍛冶屋が底に沈み、初めて引くのが5ターンになることがあります。まぁ、その時は、「しょうがない」と半ば諦める方向で。

で、鍛冶屋ステロイドの場合、どうしてもデックの枚数が増えれば必ず分割管理は崩れますし、2枚の鍛冶屋が被って終了することもあります。
その点で、「分割管理」の例としては【仮面舞踏会】の方が有名かもしれません。枚数を増やさずにデックを強化できるので、2枚の仮面舞踏会が被らなければ、毎ターン延々仮面舞踏会を撃ち続けることが可能となります。
また、同じドロー・カードにしても、中庭の場合、1枚戻すことによる「調整力」とでもいう部分も評価する必要があります。

長くなってのでとりあえずこの辺で。続きは、分割管理の補足として仮面舞踏会の例を上げた上で、中庭の話を続けたいと思います。
ではでは。