今年の日本選手権予選(初日)の考察 1

もう、今週末(7/14)は日本選手権ですね。
私は予選当日の午前に地方から東京に移動してくるため、午後の部に参加します。

昨年の予選は「基本セットのみで4回戦」、「120名参加の16名通過」を午前・午後の2回でしたが、今年は、「基本+陰謀で4回戦」、「160名参加の30名通過」を午前・午後の2回みたいです。初日通過者はシード含めて64名と、昨年の倍みたいです。
日本選手権公式ルール

同点がなければ15点が通過ラインになりますが、実際は14点とか、13点の上位まで通過になると思います(昨年は15〜16点がボーダーだったような)。
参加人数が減れば(160人に満たなければ)ボーダーは更に下がりますが、まぁ、当日参加まで考えれば、それはないでしょうか。
まぁ、私は午後参加なので、午前の結果を見れば午後のボーダーも何となく分かるわけですが。

昨年よりも予選通過比率が高いし、使用セットが陰謀まで増えたことから(よりプレイングの引き出しの多い方が有利になる)、昨年よりは通過しやすくなっているのかなと思います。

で、今年の日本選手権の傾向と対策について、ちょっと考えてみたいと思います。

※以下、個人の予想で、明確な証拠があっての記事ではありませんので、外れる可能性は非常に高いと思われます。
 また、記事にするにあたって、踏み込んで書いた方が面白いと思われるため、大袈裟に書いている部分もあります。
 その点はご了承の上で、お読み下さい。
 ・・・何が言いたいかというと、「予想が外れていても、責任は取れませんので、あしからず」ということで。

今回の予選のサプライも、昨年同様、スタッフが事前に作成・準備したサプライを用いることになっています。
多分、作成するのは昨年同様、フジケンこと藤田憲一氏だと思います。
ということで、まずは過去問(昨年のサプライ)のおさらいから行ってみたいと思います。
昨年の予選、及び2日目に使用された(準備・作成された)サプライは以下の通りです。

予選(午前の部)
第一戦: 工房 宰相 村 鍛冶屋 玉座の間 祝宴 民兵 市場 研究所 書庫
第二戦: 礼拝堂 木こり 改築 庭園 泥棒 民兵 役人 議事堂 祝祭 書庫
第三戦: 堀 木こり 工房 宰相 祝宴 泥棒 密偵 市場 議事堂 鉱山
第四戦: 地下貯蔵庫 工房 村 改築 金貸し 役人 鉱山 祝祭 魔女 冒険者

予選(午後の部)
第一戦: 地下貯蔵庫 工房 宰相 改築 金貸し 民兵 市場 研究所 祝祭 書庫
第二戦: 地下貯蔵庫 礼拝堂 木こり 改築 玉座の間 庭園 泥棒 市場 研究所 魔女
第三戦: 堀 宰相 祝宴 泥棒 密偵 役人 市場 鉱山 書庫 冒険者
第四戦: 工房 村 改築 玉座の間 祝宴 役人 市場 議事堂 魔女 冒険者

二日目
第一戦 陰謀: 大広間 執事 共謀者 偵察員 銅細工師 改良 公爵 拷問人 貢物 ハーレム
第二戦 基本+海辺: 堀 大使 密輸人 金貸し 祝宴 民兵 隊商 引揚水夫 議事堂 バザー
第三戦 基本+錬金術: 薬草商 宰相 鍛冶屋 泥棒 役人 市場 弟子 ブドウ園 錬金術師 ゴーレム
第四戦 基本+繁栄: 村 借金 改築 金貸し 司教 投機 研究所 大衆 冒険者 大市場
第五戦 全セット: 漁村 望楼 見張り 公使 男爵 庭園 都市 幽霊船 貴族 拡張

参考までに、昨年の予選のサプライと各カードの使用回数についても、まとめてみました。
昨年予選の各カード使用回数

昨年は基本セット25種類のみからの出題だったわけですが(今年は基本+陰謀の50種類から出題)、午前、午後の部でそれぞれ4回戦なところは今年と同じです。
昨年は、25種類のカードに対して80回の使用機会があったことになりますが(午前・午後あわせて8回戦×10種類)、結構均等に、大体のカードは3回前後登場するように、あと、午前、午後でほぼ全種類が1回ずつは登場するようになっているように見えます。
登場回数が多い方で目立つのは市場の6回(午後の部4回戦は皆勤賞でした)、続いて、工房、改築の5回。
少ないほうでは、鍛冶屋の1回(午後の部では1度も登場しませんでした)、礼拝堂、庭園、金貸し、堀、密偵の2回(いずれも、午前、午後に1回ずつ登場)になります。

実際、完全ランダムであっても、まぁ、これくらいの配分になりそうな配分ですが、
礼拝堂、庭園が午前、午後の部で各1回ずつなのは、それぞれサプライのテーマの一部として1回ずつ配置で、鍛冶屋が少ないのは単純な鍛冶屋ステロイド排除のためなのかなぁ、という気がします(昨年の選手権直前に鍛冶屋ステロイドについて長々と記事を書いた身としては不満を感じたものですが)。

アタック・カード(アクション−アタック)もそれなりの回数登場しており、魔女ですら3回登場しています(まぁ、午前・午後にテーマとして第4戦に1回ずつ、その他に午後の第2戦に1回で、合計3回でした)。
基本の場合、25種類に対してアタック・カードは5種類ですが(1/5)、午前、午後とも、8回の登場(1/5)で、また、すべてのサプライに1枚以上のアタック・カードが配置されています(基本のみのランダムだと、アタック・カードの登場しない確率は6%弱なので、まぁ、これも、ランダムであっても、それなりに起こりそうな結果ですね)。

こうやって、午前の部と午後の部の4戦を並べてみると、午前・午後の第1戦〜第4戦の雰囲気がかなり似ていることに気付かされます。

第1戦:
民兵と書庫というインタラクションあり。一応、プレーンな属州場っぽいけど(特に午後の部)、午前の部は工房からの鍛冶村とかも(厳しいけど)可能でしょうか。
逆に午後の部の工房は微妙に空気っぽい(サプライにあっても使われない)かもしれません。

第2戦:
庭園と礼拝堂(午後だと魔女も)があるけど、木こりと泥棒がいる時点で、庭園場だろうという回

第3戦:
村、祝祭(あと玉座の間)がなく、アクションが連鎖しにくい環境。いわゆる「プレイに我慢のいる環境」でしょうか(5金あっても銀貨買わないといけないことの多い場)。密偵(午後だとさらに役人も)などの地味に嫌なアタックが、その傾向を助長しています。
逆に言うと、早々に運よく6金(金貨)にたどり着いた人が、圧倒的に強い場、とも言えます。
午前の部の木こりと工房は空気っぽい感じがします。

第4戦:
魔女場(アタック場、荒れ場)

で、各サプライを並べてみると、実は第1戦〜第4戦とも、5〜7種類のカードが同じ種類です。

(午前、午後の部で共通なカード)
第1戦:工房、宰相、民兵、市場、研究所、書庫
第2戦:礼拝堂、木こり、改築、庭園、泥棒、
第3戦:堀、宰相、祝宴、泥棒、密偵、市場、鉱山
第4戦:工房、村、改築、役人、魔女、冒険者

まぁ、これでは雰囲気が似て当たり前かもしれません。
多分、第1〜4戦のベースになるカードを決めた後に、午前、午後で少しずつ違った味付けを付け加えて完成させたのでしょう。

要約すると

1回戦:プレーンな場(軽いインタラクションあり)
2回戦:特殊勝利点(庭園)場
3回戦:(アクション連鎖のない)プレーンな場
4回戦:アタック(魔女)場

といった感じでしょうか。

基本セットのみの場合、

礼拝堂/庭園/鍛冶屋/魔女/たまにアクション連鎖・・・残りはプレーンな場(各種ステロイド、というよりお金プレイなど)

といったパターンが考えられますが、ある意味、運ゲーになりがちで問題になりそうな礼拝堂、鍛冶屋に関しては、礼拝堂は庭園、泥棒コンビと常に一緒に出して潰し(どちらというと、礼拝堂にいくのは、「引っ掛け」っぽいサプライになっている)、鍛冶屋はそもそも出さないといった解決策が取られているようにも見えます。
で、庭園、魔女は1回ずつ(魔女は午後の部は2回登場していますが、午後の部の第2戦は、礼拝堂同様に引っ掛けっぽいですし)出題されています。

さて、翻って今年の予選を考えてみますと、午前、午後の部でそれぞれ40回、あわせて80回の使用機会に対して、基本と陰謀のあわせて50種類のカードが登場することになります。
昨年の場合、午前や午後の各部(40回の使用機会に対して25種類)で、全種類のカードが最低1回は登場するようにサプライが作ってありましたが(午後の部の鍛冶屋を除いて)、今年の場合は、なるべく均等に、つまり各部で一つのカードは最大で1回しか登場しない(2回以上登場しない)ようにしたとしても、10種類のカードは未登場となります。

こうなると、同じ部で、同じカードが何度も出てくる(昨年の午後の部での市場4回とか)ことは、あんまりないのではないかなという気がします。
また、昨年のように、午前と午後でほぼ同じ構成(5〜6種類のカードを同じにする)というのも、まず無いのではないかと思います。
まぁ、午前と午後に参加する人は違う人達なので、その辺は純粋な競技上ではそれ程問題ありませんが、販売元としては、あんまり予選で使われなかったカードの種類が多いのも、微妙な気がします。

ただ、午前、午後でコンセプトは一緒だけど、それをカードを入れ替えて行うというのは、ありそうかなという気がします。

例えば、昨年と同じような感じで

第1戦と第3戦は、基本・陰謀交じりのプレーンな場。
第2戦は特殊勝利点場として、午前は庭園、午後は公爵。
第4戦はアタック場(荒れ場)として、午前は陰謀のアタック(拷問人など)、午後は魔女

みたいな感じで。

あと、考察ポイントとしてあげるとしたら、「禁止カード的に使用されないカードがあるか」という点でしょう。
例えば、決勝戦(代表決定戦)のランダム・サプライで禁止されている仮面舞踏会なんかは、予選でも使われないのではないかとの声を聞きます。

まぁ、私も出ないのではないかと思っていますが、『決勝戦という最終局面で「(自分の勝ちがほぼなくなった状態で)せめて身内の人間を勝たせたい」といったやり取りがあるとマズいけど、予選のレベルだとそこまでのことは起こらないだろう』と主催者側が考えれば、出てもおかしくはないと思います。

同様に、今年の決勝で禁止になっている大使にしても、昨年、2日目の作成サプライ(基本+海辺)では登場しています(まぁ、この一年で考え方が変わった、という可能性もありますが)。

インタラクションという意味では、魔女系と仮面とかは、昨年の民兵−書庫と同様に、出題しやすい問題ではありますが。
まぁ、上級者と初心者が混在していて、混乱が起こると拙そうな1回戦とか、予選突破が決まる4回戦は避けたいですね。
・・・やっぱり出すタイミングがないような気もします。
更にいうと、仮面舞踏会は鍛冶屋同様、単に「使うと強いカード」なあたりも、作成者が取り上げる意欲を削ぐカードといえます。
・・・やっぱ、仮面はないかな。

あと、基本のみに比べると、陰謀の方がシステムの歪み的なものは大きくなっていて、例えば、拷問人ロックとか、詐欺師とか、寵臣とかは、初心者に対して、かかるストレスがかなり高いような気もします。

拷問人ロックは、基本、陰謀を通して、初心者に対して最大のストレスを与えるパターンのような気がします。また、ロックが組めないように村系を外したとしても、複数人が拷問人を使えば、ロックと同様の状況になってしまいます。
あと、詐欺師、寵臣はストレスに加えて、運ゲー度をかなりあげるカードになるのも問題のような気がします。

そういえば、昨年の午前、午後の1回戦では、両方とも民兵、書庫が入っていましたが、最終的に2日目上位に上がった人のレポートを読んでいると「初手に5-2で書庫買っている人がいるのに、民兵を買う人がいて、「コンビうちか!?」といった展開で、初日1回戦はトップが取れなくて、初日突破が結構厳しかった」的な話が散見されていて、今年はその辺はどうなっているのかなという気がします。
できれば、紛れが少なくて、実力者が順当にあがるようなサプライの方が私はいいと思うんですけど、作成サイドはどう思っているんでしょうね。

まぁ、「真の実力者はそのくらいの障害で負けないだろうし、そうなると、初心者〜中級者レベルでいろいろドラマがある方がいいよね」、とか、「そこで負ける人は、どんなに実力があっても強者(勝者)ではないのだよ」とか、「そもそも大会が盛り上がりさえすれば、強い人が勝つ必要もないし」という考え方もありえるわけですが(まぁ、さすがに、そこまでは考えていないと思いますが)。

また、この間も書きましたが、作成するサプライの場合、作成者の意図を読もうと考える辺りが、微妙な気はします。
特に、ランダムの場合に比べて、いわゆる「空気」になっているカードの比率が低いような気がします。
実際は、数あわせ(例えば、既に他のカード達でそのサプライのテーマが組み上がっている場合に、テーマを壊さないカードとして投入される場合とか)などで、作成したサプライにも空気なカードがあることは結構ありますが、多分、ランダムに選ぶ場合に比べると比率は低い場合が多いと思います。
また、空気になりやすいカードに意味を持たせたサプライが多くなるのも気になります。

特に普段ランダムで練習している場合(というより、練習の際は、ほとんどの場合ランダムにせざるおえないと思いますが)、作成されたサプライとの感覚のズレが生じる可能性があるのが微妙な気がします。
ランダムで中途半端にやりこんだために、「このカードは、ほとんどの場合、こういうもんだ」という認識がしみこんでいるけど、作成したサプライは何らかの意図(テーマ)を持って作られているので、毎回、「その”ほとんどの場合”に当てはまらない」場合になり、感覚のズレに苦しむ、みたいな。
まぁ、ランダムでも、更に上の「十分量の練習」を行えば、そういったテーマを持って作成されたサプライに対しても、「(普段はほとんどないけど)たまに(というか、まれに)出てくる、○○が、××のパターンで上手く使えるサプライ」みたいな認識が出来るようになるだろうから、問題なくなってくるという話はありますが。

あと、「販売元として使われない種類のカードを多くしないため、今回は、被るカードは少ないだろう」とか、「予選4回戦の各回戦のテーマとして・・・」といった思考をするのも微妙な気がします。
まぁ、事前に対策を考えたところで、本番で上手くプレイできるか(あと、当日ツイているか)は別問題ですし、こうやって予測する土台は、(ドミニオンをプレイする能力と完全にイコールではありませんが)ドミニオンに関する知識、つまりドミニオンの実力の一部であることは確かですが。

さて、抽象論に偏ってきたので、具体的な話に戻したいと思います。
次回は、ざっと、基本+陰謀で考えられるパターン(特徴的なカード)について述べて行きたいと思います。