基本に帰ろう (その5) 鍛冶屋ステロイド2

今回は、具体的な鍛冶屋ステロイドのプレイングについて説明したいと思います。
庭園も魔女もなく、鍛冶屋がある環境なら、一定の勝率は得られるプレイングだと思います。

鍛冶屋ステロイドとは、初手4-3の場合のプレイングで、初手を鍛冶屋、銀貨購入で始め、後は鍛冶屋を引いたら使い、購入は基本的にお金メインで、序盤で4〜5金の際に1度だけ2枚目の鍛冶屋を購入。後は8金を越えたら属州を購入。中盤を過ぎたら5金だけでなく6〜7金でも公領を購入、終盤は全て勝利点購入に充てる、という結構単純なプレイングになります。
※初手5-2の場合は、基本的に別のプレイングを考えます。

ミニマル・ドミニオンによれば、鍛冶屋2枚のステロイドで、(ソリティアで)属州4枚購入に到達する平均ターンは15ターン弱とのこと。属州3枚(一人あたりの割り当て)に達するのは、もっと早くなります。
実際、ツイている時なら、10ターン程度で属州3枚、12ターン程度で属州4枚を購入できることが出来ます。
全員が鍛冶屋ステロイドを選択した場合、12ターン程度で全員属州3枚獲得とかでゲームが終了してもおかしくありません(多分、途中で公領を獲得できたプレイヤーが勝つのでしょうが)。

例えば属州が12枚でなく24枚であったり(属州3〜4枚で息切れしていたら勝てない)、初期の手札が「7-3(銅貨-屋敷)」でなく「6-4」(初手に銀貨と併せて買えない)や「8-2」(初手に5コストの場合も銀貨と併せて買える)であれば、これほど鍛冶屋ステロイドが戦える環境にはならなかったでしょう。

実際の鍛冶屋ステロイドのプレイについて説明すると、礼拝堂プレイと同様、引き運に左右されるところが大きくなります。
2廻り目(3〜5ターン)のいつ鍛冶屋を引くのか、あと、他のプレイでも大きなポイントになりますが、2廻り目に金貨を獲得できるかといったところが、その後の展開に大きく影響を与えます。
少し細かい説明をしていきます。

1)3ターン目に鍛冶屋を引いた場合の3ターン目
鍛冶屋ステロイドでは最も望ましい展開になります。
3ターン目に引いて鍛冶屋を使った場合、後に手札が7枚残りますが、この7枚で6金に到達するかが次のポイントになります。
一応、60%の確率で6金に到達しますが(確率計算表で、0金:3枚、1金:7枚、2金:1枚、手札:7枚で確認できます)、逆に言うと4割の確率で金貨に届きません。
とりあえず6金以上になれば、万歳しながら、何も考えずに金貨購入です。

6金に届かない場合、考える必要があります。
この時点で、3ターン目のクリンナップ時点の状況を考えると、

・手札が4コインの場合(確率はどうでもいいですが11%)
 山札4枚:5コイン(銀貨×1、銅貨×3)
 捨札9枚:鍛冶屋×1、銅貨×4、屋敷×3+3ターン目に購入した1枚

・手札が5コインの場合(確率30%)
 山札4枚:4コイン
 捨札9枚:鍛冶屋×1、5コイン+3ターン目に購入した1枚

となります。
4ターン目の手札は、山札4枚+新しい山札(捨札9枚をシャッフル)から1枚となります。
鍛冶屋ステロイドを継続する場合、2枚目の鍛冶屋系カード(5コインの場合、場にあるなら議事堂や書庫)を購入することも考えられますが、あまりお薦めしません。
新しい山札から引いた1枚が鍛冶屋系でない場合(7/9の確率)、残りの山札8枚中に鍛冶屋系が2枚入ることなり、確実にかぶります。
そうなると、鍛冶屋ステロイドを継続する場合、ここでの買い物は銀貨になると思います。

手札が4コインの場合は、かなり4ターン目に金貨が期待できますが(ほぼ6/9、つまり2/3で金貨)、5コインの場合、4ターン目も5コインの可能性が高く、かなりつらい状況になったことは自覚する必要はあります。
「鍛冶屋ステロイドを継続するなら」と前置きしましたが、例えば祝祭のある場なら、3,4ターン祝祭購入で、分が悪くてもアクション連打に移行した方がいい場合も多いような気がします(特に、他のプレイヤーが3ターン目に金貨を獲得したような展開の場合)。
最終形は祝祭+鍛冶屋+何かほかのアクションといった感じでしょうか。
4コインの場合は、銀貨を購入して鍛冶屋ステロイド継続で、それほど問題はないと思います。

2)3ターン目に鍛冶屋を引かない場合の3ターン目
とりあえず、この場合は4ターン目に引くこと(5/7の確率)を前提としたプレイになると思います。
4ターン目に鍛冶屋を引いて使う場合の状況の推移は以下の通りとなります。

・鍛冶屋を打つ前
手札5枚(鍛冶屋込み)、山札2枚、捨札6枚(3ターン目の手札+3ターン目の購入1枚)

鍛冶屋を打ったところで、捨札6枚をシャッフルして、新しい山札が構成されます。

・鍛冶屋を打った後(鍛冶屋1枚はプレイ・エリア)
手札7枚(1枚は新しい山札から)、山札5枚(新しい山札)、捨札0枚

5ターン目の手札は、山札を引き切る形になりますが、つまり「3ターン目の手札+3ターン目の新規購入1枚」の6枚のうち5枚を引くため、3ターンの時点で、かなり5ターン目に引く手札の予想はできます。
3ターン目の手札(鍛冶屋なし)が、6金に到達してれば(8%)もちろん金貨購入で、3金の場合は銀貨ですが、4〜5金の場合、2枚目の鍛冶屋系購入のチャンスといえます。
少なくとも、5ターン目の手札で2枚の鍛冶屋系が被る確率は0です(4ターン目に鍛冶屋を打った際に1/6の確率で引く可能性はありますが)。

3)4ターン目に鍛冶屋を引かない場合(つまり5ターン目に鍛冶屋を引く場合)の4ターン目
・・・で、そうやって考えて4ターン目も鍛冶屋を引かなかった場合(底に残った2枚にいる場合)は、「今日はついてなかったね」ということで。
3金や6金の場合は、迷わずに銀貨や金貨ですが、4〜5金の場合、3ターン目に鍛冶屋系の2枚目を買っていれば銀貨になります。
迷う余地があるのは、3ターン目3金(銀貨購入)で、4ターン目が4〜5金の場合でしょうか。

とりあえず5金の場合ですが、5ターン目に鍛冶屋を打った後の手札は「銅貨+新しい山札から6枚」となります。
新しい山札は、「銀貨×2、銅貨×6、屋敷×3+4ターン目の購入1枚」の12枚となります。
この12枚から6枚引いて5金以上になる場合を考えると、4ターン目の購入が銀貨だと88%、4ターン目の購入が鍛冶屋だと66%となります。
とりあえず銀貨を買った方が分はよさそうです。ただし、一応、鍛冶屋が被らない確率は6/12(=50%)はあります。状況が不利な場合は、「被らない」という前提で2枚目の鍛冶屋を買うのはありです(5ターン目に金貨購入、6ターン目に2枚目の鍛冶屋を打つような展開でないと、劣勢が覆りそうにない場合)。

で、4金の場合(ちなみに、この時点で4金の場合、山札2枚は鍛冶屋+銀貨の最悪の展開といえます)は、「銀貨+新しい山札(銀貨×1、銅貨×7、屋敷×3+4ターン目の購入1枚)から6枚」となります。
4ターン目の購入が鍛冶屋だと6金以上になる確率は82%、銀貨だと96%となります。鍛冶屋購入の場合、5ターン目の鍛冶屋を打った後に手札に鍛冶屋を引いている確率は50%(=6/12)となります。
まぁ、他のプレイヤーもついていない、例えば誰も2廻り目に金貨を買えなかったとかといった状況でなければ、劣勢を挽回するためには、後はついていることを祈念しつつ、2枚目の鍛冶屋購入でしょうか。

ちなみに考える限りで最悪なのは、「3ターン目:2金(銅貨×2、屋敷×3)⇒パス、4ターン目:5金(銅貨×5)、残り山札は鍛冶屋と銀貨」でしょうか。ここまで悪いと、「好きにすれば?」という気分になります。

次回は、終盤の購入(手札が6金の場合に、金貨を買うべきか、公領を買うべきか)について説明したいと思います。