雑談その1(カード評価)

ドミニオン関連で、なんとなくモヤッと思っていることが幾つかあって「いつかまとめよう」と思っていたのですが、いつまでたっても自分の中でまとまる気配がないので「もうまとまりのないまま書いてみるか」と思った次第で。
とりとめのない雑談になるのでご注意ください。

第1回目はドミニオンブログ界隈で過去から良く行われてきた「カード評価(順位付け)」についてです。
第1回目がコレなのは、単に最近、某所でのカード評価が話題になって、その流れでhirokiさんもカード評価をやっているのを見て思い出したからなわけですが。

「カード評価」「10段階評価」「採点」「点数付け」「格付け」などいろいろな呼び方があり、日本においてはオフィシャルな書籍と取れなくもないHJ社の「ドミニオンへの招待」でも行われ、DominionStrategyComのフォーラムでも投票による各コスト毎のカードの順位付けが行われています。
確かに楽しい企画で私も大好きですが、真面目に考えると「難しいものだ」と思うところがあります。

まず【評価基準をどうするか】という大前提のところが難しいです。
限られた狭い局面であれば「どちらのカードが使える(強い)」といったことが言えることはありますが、千差万別(10種類の王国カードからなるサプライの組み合わせだけで3京を越える/植民地場、避難所場に闇市場デックとか災いカードといったことまで言い始めると組み合わせの単位は京でもすまない?)のドミニオンの全ての局面で通用する順位はないと思います。またドミニオンの206種類の王国カードには「常に使えない(使わない)」カードというものはないと思います。
例えば206種類の王国カード中で1番使えないカードを挙げろと言われた場合、多分「変成」を挙げる方は多いのではないかと思います。逆に「宮廷」は使えるカードのトップ集団にあり、1位はともかくトップ10まで枠を拡げれば、かなりの人がその名を挙げるのではないかと思います。
この変成と宮廷の比較であっても、例えば以下のようなサプライだと、変成の方が「使える(使うかもしれない)」カードという評価になると思います。

変成、ブドウ園、賢者の石、ゴーレム、大広間、借金、庭園、公爵、玉璽、宮廷(2人戦、属州屋敷場)
・・・変成、宮廷の両方無視して、お金プレイからの公領・公爵の方がいいような気もしますが。一応、このサプライなら変成を買う人はいるかもしれませんが、宮廷を買う人は少ないでしょう。

千差万別の局面があるということは、その分評価軸が多くなり、評価がブレやすくなることになります。そのため「4人戦・属州屋敷場での評価」などと局面を限定して評価している場合も良く見かけます。こうして限定していくと評価軸が少なくなる分クリアになると思いますが、限定が過ぎると「一般的な(汎用性のある)カード評価」ではなくなってしまいます。

また千差万別の局面があるということは、この評価を行う人、評価を見る人の背景環境も違うわけで、その評価基準にもズレが出てくるでしょう。
例えば4人戦しかしない人と2人戦しかしない人では評価が変わってくるだろうし、取り敢えずアタック・カードがあったら反射的にみんながアタックを使うようなプレイ・グループの人と、アタックするより自分のデック構築を優先するような人が多いプレイ・グループの人でも評価は変わるでしょうし、植民地場でばかりやっている人と、植民地や避難所場を全くやらない人でも評価は変わるでしょう。
似たような話として、意図のあるサプライとランダム・サプライという話があって、庭園のような特殊勝利点は大会などではクローズ・アップされることが多いですが(4回戦あれば1回はサポート・カード付きで出てくる)、ランダムでのプレイの一般イメージとは価値が変わってくることも多いでしょう。
そのため、ある人が「AはBより少し上」と評価した場合、「(Aより)Bの方が役にたった記憶が多い」と反論する人が、まず必ずいることでしょう。

また「9割以上の局面で役に立ち、ほぼ常に少し勝率を上げてくれる(勝敗を決定する程ではない)」カードと「(9割以上の局面で役に立たないが)1割もない特定の局面では、“このカードを使うかどうか”で勝敗が決まる」ような極端なカードについて、どう比較・評価するのかという話があります。
同様に1枚でも十分役に立つカードと、多数集めないと役に立たない(多数集まると非常に強い効果を発揮する)カードや、特定のカードと組み合わせないと役に立たない(組み合わせると強い効果を発揮する)カードを比較・評価する際にどうするのかといった話があります。
また根本的な話として、コストの違うカードを混ぜて評価する場合はどうするのかという話があります。
5金(1購入)ある場合に、木こりより祝祭を優先して買う事態はレア・ケースですが(+購入がほしいけど祝祭を買うと3山切れが怖いとか、引き切り鍛造デックで3コストのカードがほしい時とか)、それでも庭園のある4人戦だと、祝祭より木こりが評価されることはあります(初手から買えるから)。こういう使用機会の問題も評価すべき局面を増やす要素といえます。

ネガティブな話が続きましたが、では評価や順位付けがまったくできないかというと、そうでもないです。
先程の例でいえば、「変成と宮廷で順位をつけろ」と言えば、真面目に答えてもらった場合は、まず100%「宮廷の方が上」となるかと思います。
色々な局面や評価方法を束ねた積み重ねの上で、なんとなく、便利な言葉を使うと「諸々のことを総合的に勘案した」点数や評価というのは、やっぱりあると思います。
ただ、私を含めたほとんどの人はその評価方法や評価軸の細部が曖昧なので(変成と宮廷まで離れていればともかく)近いカードの評価が入れ替わったりするわけです。私の場合は本当にこれが曖昧で、評価が近いカードはその日の気分によって順位が入れ替わることすらあります。
また前提にしているプレイ背景がちょっとでも違えば、近い評価のカードの順位が入れかわるのはザラなので、評価する人によって評価順位の並びが違ってくるのは仕方ないでしょう。

もしかしたら1万年くらいドミニオン漬けでプレイし続けて悟りを開ければ「総合的に判断して」パーフェクトな点数付や順位が出せるかもしれません。
そういった場合でも、それぞれの評価での点数や順位の付け方がどうなっているのかを理解していないと誤解することがあるように思います。
例えば「各カード毎に10点満点で点数をつける」となった場合に、通常のテストの点数のような絶対値評価で考えると、0点は「全く使えない、買う(獲得する)シチュエーション皆無、むしろ使ったらマイナス」で10点は「すごく使える、あれば常に使う(買う)」といった評価内容で点数をつけることになると思います。
その場合、最低点(0点)と評価されるカードがあると違和感を感じます(ドミニオンの王国カード206種類には「常に使えない」カードはないと思います)。
自分が点数を付けたら変成の2〜3点から始まって4〜7点あたりにゴチャッとカードが固まった構成になるように思います。
この方式の場合も、各点数毎のカードの一覧を掲示すれば、ある程度のカードの順位付けを見ることが出来ます(9点のカードは8点のカードより「使える(強い)」(ことが多い)と評価されている)。
また☆ 〜 ☆☆☆☆☆みたいな☆の数などで評価しているのも、この方式の一種とみなせるでしょう。

これとは別に、使える(強い)順にカードを並べて順位だけをつける方法もあります。各カード毎の点数付け評価を絶対値評価とすれば、こちらは相対評価とでもいいましょうか。
DominionStrategyComの読者投票による評価方法が正にこれで、投票結果を元に各コスト毎にすべてのカードを1位から最下位まで順位をつけて並べています。
カード評価で全カードの順位・順番をつけているものは少ないですが(個人でそこまでやると、しんどくなる)、Aランク、Bランク・・・みたいに、いくつかランク順を作って、使える(強い)順に各カードを分類していく方法も相対評価といってよいかと思います。

相対評価の場合の良くある問題としては、分類のランクの名称を上から10点カード、9点カード、・・・といった点数(数値)で書いてある場合が多く、絶対値評価の点数付けとの区別がつきにくいことがあります。
特に低い点数の部分で気になることが多くなりますが、絶対値評価で宰相が10点満点の1点と評価されていれば違和感を感じますが、206枚のカードを1〜10点のランクに分け、それぞれのランクに20〜21枚ずつカードを分類した相対評価の結果で宰相が1点ランクに分類されているということであれば、(納得するかはともかく)理解できます。
絶対値評価だと例えば3〜10点に分布しているカード群をグループの数だけ分割して、下から順番に1点カード、2点カード、・・・と分類しているので、絶対値評価で3点代あたりのカードが「1点ランク」とされ、その数値の差が気になるわけです。
その他にも、相対評価の分類のランクを点数でつけると、いろんなところで違和感が出てくるように思います。

相対評価の場合、各ランクに何枚ずつカードを分類するかというのも、一つのポイントになります。
全てのランクにだいたい同じ枚数を分類するというのも一つのわかりやすい方法ですが、例えばドミニオンへの招待では10点カードから順番に3、6、9、12、16、12、9、6、3、3枚(最後の3枚が1点カードの枚数)と決めた上で各評価者が評価を行っています。
各カードごとに点数付ける方法を絶対値評価と表記してはいますが、実際その点数というのはあいまいな数値で、6点のカードが3点のカードの2倍使える(強い)と言えるわけでもなく(比率尺度とは言い難く)、6点と5点のカードの強さの差が3点と2点のカードの強さの差と同じと言えるわけではなく(間隔尺度とも言い難く)、かなりあいまいな数値ではありますが(やっぱり分類するとすれば、相対評価と同じで順序尺度?)、それでも「なんとなく、そんな感じなのでは」という雰囲気は醸し出しています。
相対評価でランクを点数で付けてさらにランク毎の枚数を決めている場合、かなり上手く各ランクの枚数配分を決めないと、どうしても頭の中にある「ぼんやりとした分布のイメージ」と、決められた点数ランク毎の分布に違和感が出るような気がします。
真ん中に分類されているカードが多くなるのはイメージ通りですが、端の方の上位や下位の方で「もっと多いような気がする」「少ないような気がする」と感じることが多いような気がします。
もともとドミニオンの招待での10点カードや1点カードというのも、機械的に上位3枚や下位3枚と思うカードを分類していて、9点のカードも上から数えて4位から9位のカードを分類しているだけなので、多分、それらのカードを個別に絶対値評価で点数をつけて評価すると上位のカードはかなり差がなく密な分布になるけど、下位のカードはそれなりに差があるまばらな分布になるような気がしますが、それを同じような分布であるかのように錯覚を与えるというか。
やっぱり、相対評価のランクを点数にしているのがそもそもの原因で、Aランク、Bランクとかにしておけば、こういった違和感は少なくなるような気がします。ただこうすると、「4点カードが(どれくらいの差かはともかく)1点カードの3ランク上のカード」というのはすぐにわかりますが「GランクのカードとJランクのカードがあったら・・・」というのは直感ではわからなくなり(私は指を折って数え始めます)、痛し痒しといったところでしょうか。

ドミニオンへの招待の場合、複数人の評価を照らし合わせるという企画であったので評価の基準(各ランクのカード数)を決めておく必要があり、評価結果にメリハリを出す意味でも上位と下位を少数にする必要があったと思いますが、個人で評価を行う場合に、そもそも「各ランクに分類するカードの枚数を決める必要があるのか?」という話もあります。数を決めずに「同じくらい使える(強い)」カード毎にグループを作っていって、グループ数が用意したランクの数になるまでグループの切り貼りやカードの入れ替えを行っていく、もしくはランク数も決めておかずにだいたい自分が納得できるグループ数になるまで切り貼りをしていって、それをそのままランクにするという方法もあります。ある意味、全カードの順位・順番をつけるのはキツイので、それを緩く行っているだけとも言えます。
ただ、この場合、絶対値評価(点数付け)ではダメなのかという気はしてきます。

カード評価自体はそこまで厳密に考えるものではなく、「話のネタ」(他人の評価を見て、「○○(宰相とか木こりとか願いの井戸とか航海士とか)の評価が低い」みたいなことをワイワイと議論するような)と割り切れば私も大好きなジャンルですが、逆に真面目に考え始めると、結構、頭がグルグルする難しいもののような気がします。
それこそ更に突き抜けて「人気投票」「好きな(嫌いな)カード・ランキング」(理論的な裏付けを何ら必要としない順位づけ)としてしまえば、こんなことも考える必要はないわけですが。

今度、私がカード評価するとしたら、0〜10点満点(0.1点刻み)で各カードを評価して、1点幅毎にグループ(ランク)にして(5点台とか)一覧化する方式にするかなという気がします。
多分、最低点は変成の2点代(気分によっては3点?)で最高は9点代(多分、10点満点は出さない)になるのではないかと思います。

とりとめが全くありませんが、今回はこの辺で。
ではでは。