初手議事堂ステロについて

かなり大昔に「初手5-2の5金で議事堂を買って議事堂ステロをする場合、2金のターンはパスするより銅貨を買った方が良い」と書いた記憶があるのですが、その件について最近ちょっと気になっていました。
銅貨を買った方が良い理由が「金貨を買える確率が高くなる」ということは覚えていますが、その確率が「2周目に」なのか「3ターン目に議事堂をプレイした場合」なのか、思い出せないのです。
これ「3ターン目にプレイ(3ターン目に議事堂を引くことを前提)」だと、議事堂が底に沈む確率まで考えると、実戦的には逆転している可能性があります。
また以前の結果が「2周目」の計算だったとしても、(多分、ないと思いますが)8枚目の銅貨の分で(パスした場合に比べて)デックの劣化が早く、最終的に逆転している可能性もあります。

再度計算すれば良いかもしれませんが、「2周目」で計算する場合、4ターン目に議事堂をプレイするとシャッフルが入るため、かなり面倒な計算になります。
また議事堂の場合、アタック程ではないですが他プレイヤーに直接与える影響(1枚カードを引く)があるため、一人回しの結果をそのまま考察するのは他のカードより(実際の展開から離れる)危険が高くなります。
他プレイヤーはこちらの議事堂の分だけ回転が早くなるでしょうし、他プレイヤーが議事堂を使えば、その分自分も早くなるでしょう。
極端例で言うとパン屋・議事堂があるサプライ(4人戦・属州場)で、全員「議事堂・銀貨」スタートした場合、8ターンでゲームが終わっても不思議ではありませんが、一人回しだとこのスピード感は捉えられないでしょう。

ということで、そういう時は「Geronimoo様」(Geronimoo's Dominion Simulator)の出番となります。
まぁ、Geronimooを使う最大の理由は最初に書いたとおり計算するのが面倒だからですが。

さてGeronimooの[Start State]という機能を使えば「通常と違う初期条件を定めてシミュレーションする」ことができます。
例えば今回の場合、初期デックを「銅貨7、屋敷3、議事堂1」(初手「議事堂・パス」:以下、初手パス)とか「銅貨8、屋敷3、議事堂1」(初手「議事堂・銅貨」:以下、初手銅貨)とすれば、今回検討したい初手議事堂ステロの検討ができます。
これくらいなら購入ルールをいじる(初手5-2設定にして、5金で議事堂、2金で銅貨を買うように設定する)ことでも対応できますが、さらに開始時の手札と捨て札も設定できるので、特定の状況でプレイが分岐するような場合のシミュレーション(例えば初手「鍛冶屋・銀」で3ターン目に「鍛冶屋・銅×3、屋」と「銅×3、屋×2」を引いた場合の差)なんかも検討可能となります。
良く考えたら、パン屋を購入しないとすれば、パン屋場の初手「議事堂・銀貨」ステロとかも検討出来ますね。

さて、「銅貨7、屋敷3、議事堂1」(初手パス)と「銅貨8、屋敷3、議事堂1」(初手銅貨)を2人戦・属州・屋敷場で戦わせると、ほぼ互角ですが若干「議事堂・パス」の方が勝率が高くなります(初手パス 48% 対 初手銅貨45%)。
・・・過去の結論は間違っていたということで。すみませんでした。

なんでこうなっているかは、はっきり言って現段階では私にはわかりません。
シミュレーション結果の中身を全部見ていけば何となくわかるかもしれませんが、そこまでやる時間もやる気はありません。
議事堂が底に沈む確率の差が大きいのかなとも思いましたが、それも1/11(9.0%)と1/12(8.3%)の差なので、その差は1%もないわけで。
これまでの属州・屋敷場のステロの検討(中庭や仮面ステロ)の場合、「初手に中庭(仮面舞踏会)×2に比べて、中庭(仮面舞踏会)・銀貨の方が勝率が良く」、その理由としては【2周目の金貨獲得率の差】が大きいと考えていました。
そのため、金貨獲得率の差が議事堂が底る1%くらいの差は覆してくれても良さそうなところですが、実際はそうではないみたいです。
こうなると、最初に無いと思っていた「8枚目の銅貨の分、デックの劣化が・・・」というのも、実はあり得るのかもしれません。
※よく考えたら底になる確率は1/11(9.0%)と2/12(16.7%)ですね。ご指摘(コメント)ありがとうございました。
そう考えると勝率が3%しか違わないのは、金貨獲得率の分で詰まっているのかもしれません。

また、知りたいのは【汎用的な】「初手議事堂ステロで強いプレイング」であって、「初手議事堂ステロ同士で戦う」というのはその中でもかなり狭い範囲となります。
4人戦で全員5-2で初手議事堂という事態は、かなりレアケースでしょう。
そこで、初手議事堂以外は4-3でできる適当なプレイングを選択して競わせてみました。
以下、いずれも4人戦、属州・屋敷場です。
※鍛冶屋ステロと執事ステロを選んだ理由は、何となくです。

[ケース1]
・議事堂ステロ(初手銅貨)
・議事堂ステロ(初手パス」)
・鍛冶屋ステロ(初手「鍛冶屋・銀貨」)
・執事ステロ(初手「執事・銀貨」

[ケース2]
・議事堂ステロのいずれか
・鍛冶屋ステロ(初手「鍛冶屋・銀貨」)×2人
・執事ステロ(初手「執事・銀貨」
※議事堂ステロの内容を入れ替えて2回行い、議事堂ステロ同士の勝率を比較

いずれの場合も、初手「議事堂・パス」の勝率が「議事堂・銅貨」を上回っています。

[ケース1]
・初手銅貨 23%、初手パス 27%、鍛冶屋ステロ 38%、執事ステロ 2%

[ケース2]
・初手銅貨 17%、鍛冶屋ステロ1 34%、鍛冶屋ステロ2 34%、執事ステロ 4%
・初手パス 20%、鍛冶屋ステロ1 33%、鍛冶屋ステロ2 33%、執事ステロ 4%
・・・勝率としては、いずれも議事堂ステロを鍛冶屋ステロの勝率が上回っています。
まぁ対戦相手が議事堂打った後に鍛冶屋を打てば、手札が増える枚数は議事堂と同じで、議事堂ステロに比べて初手で銀貨1枚分の差がある(2ターン目の金貨確率などで圧倒的な差がある)と考えると、議事堂の+購入が活きる前に属州枚数差で押し切られる展開は多いだろうなぁ、という気はするので、当たり前の結果のような気もしてきましたが。

今回の教訓としては、「2周目金貨獲得率」というのは(特に属州場ステロでは)大きな要素で、かなり良い「代理の目的」ではあるけれど、それが真の目的(勝利)と直結してない場合もあるのだなぁ、ということで。
今度から初手5-2で議事堂を買う場合は「議事堂・パス」を選択するようにします。
ではでは。