農地問題

タイトルだけ見ると「なに?」と思われるかと思いますが、異郷のカードである「農地:Farmland」に関する考察です。
この間のゆるドミ後のフリー・プレイ時に話題になっていたので、ちょっと考えてみました。
前提の話として、ドミニオンの日々の記事も参考になるかと思います。

【農地】  (のうち:Farmland)/異郷・6コスト(勝利点カード)
2勝利点
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あなたがこのカードを購入するとき、あなたの手札のカード1枚を廃棄する。廃棄したカードよりもコストがちょうど2つ多いカード1枚を獲得する。

農地を使うのに慣れてくると「農地は属州購入時にだけ使えるハーレム」といった類のコメントを聞くことがあります。
「農地+6金」の手札の場合に、新しい農地を買って、手札の農地を廃棄して属州を獲得すると、農地の枚数の変動は差し引き0枚で属州を獲得したことになります。
通常8金で購入する属州を、農地+6金で獲得できたので、「差額の2金分を農地の働き」と考え、また農地がもともと勝利点2を持っていること(あと、多分同じ6コストであること)から「ハーレム相当」のコメントにつながっているのだと思います。

実際の処理と照らし合わせて考えると間違った解釈です。
ただ間違っているとはいえ、農地経由で属州を獲得する場合の処理前・処理後の差分から(実際は違うのだけれど)それを使う際に理解しやすい類似例を作って、プレイ時の理解を進めるための方便として考えると、ありかなとも思います。
農地を属州獲得の足場として使う場合、「似非ハーレム」と考えると、思考がシンプルになって、プレイを間違いにくくなることは多そうです。
実際、農地を使う場合、属州獲得の足場として使うのがメインであるので、そういう考え方でもそれ程問題ないことが多いように思います。

ただ、細かい検討を行なう場合は、やはりちゃんとした解釈が必要になってきます。
農地の場合、購入時に「+2コストの改築効果」があるのであって、「+2金が出る」訳ではありません。
そして、属州を獲得する際に、「金貨(6コストのカード)の改築」が効率が良い(特に終盤)ことが多いのは確かです。
つまり農地がサプライにある(かつ、売り切れていない)環境というのは、「6金払えば+2コストの改築効果が利用できる」環境であり、そう考えると「属州獲得の足場として6コストのカードの価値が通常よりも高い」環境と言えます。

いつのまにか錯覚していることが多いのですが、購入後の農地は単なる勝利点カードでしかなく、ただ「6コスト」であるため、(農地がサプライにある環境では)通常より価値が高いだけです。
逆に言えば、6コストであれば農地でなくても、「金貨」や、「国境の村」などであっても、通常よりも(6金払えば属州に改築できる分)少し価値が高いと言えます。

また、購入後の農地は単なる勝利点であり、ハーレムのような機能(2コインの財宝カード)はないため、「金貨+農地」といった手札で公領は買えませんし、複数枚手札に来ても、(例えば4枚あれば属州が買える)ハーレムのように役立つことは少ないでしょう(12金+2購入とかが出せるデックなら話は別ですが)。

そう考えると、1枚目の農地購入の時点で金貨を買った方が、柔軟性が高いのではないかという話が出てきます。
農地を買う6金あれば金貨を買えます。
次に引いた際に「5金+金貨」は属州を買えるけど、「5金+農地」は歯噛みしながら公領を買うことになります。
また、農地を足場に属州を獲得できる「6金+農地」の場合を金貨に置き換えると、「6金+金貨」は9金で属州を買ってもいいし、終盤であれば「6金で農地を買って金貨を属州に改築」する8点プレイも可能です。
こう書いていると「終盤の8点プレイ時以外は、6金は金貨を買っていればいいんじゃ?」という話が出てくると思います。

ということで、整理する為に、同じ6コストで基本カードとしてサプライに存在する金貨と比較してみましょう(面倒なので、「岐路でドローが増える」などの細かい差異は除きます)。

金貨:次に引いた際に3金が出る/6コストなので、別の農地購入時に属州に改築可能
農地購入時に+2コストでの改築効果がある。その時点でゲームが終了しても2勝利点/6コストなので、別の農地購入時に属州に改築可能

終盤で「もう終わりが見えてきたけど、もう一回山札にシャッフルが入るくらいまでは続きそう」といった場面であれば、「とりあえず2点確保しつつ、もし次に引いた時に属州改築への足場になる農地を」という思考は分かりますが、中盤で考えると「どちらにしろ6金+で引くこと期待なら、まずは柔軟性の高い金貨を買って、終盤に6金+金貨で8点プレイすればいいか(5金+で引く場合もあることだし)」という事になりそうです。
もしかしたらゲーム終了時までたまたま、その農地や金貨を「6金+」で引かない可能性もありますが(勝利点2点分の差が生じる)、その場合、例えば「2金+農地/金貨」みたいなパターンで引くことになり、2点分の差は簡単に埋まっているでしょう(終盤に上記の例だと、屋敷と公領購入で2点差が埋まります)。

なのに結構中盤に農地を買っているパターンが多いのですが、それはどういう場合かというと、当たり前ですが、結局「+2コストの改築効果が有用な場合」となります。

分かりやすいのが、屋敷を4コストの有用なカードに改築する場合とか、4コストで用済みのカード(ある程度使った金貸しやポーションなど)を金貨などの6コストのカードに変える場合とかでしょうか。
例えば農地購入で金貸しを金貨に改築する場合、同じ6金で金貨を購入した場合に比べると、金貸しが農地に置き換わったのと同等となり、「勝利点が2点増えた」「属州への改築の足場となる6コストのカードが1枚増えた」という利点があります。

逆に、改築効果のない農地の購入(例えば「銀貨、銅貨×4」の手札からの購入)は、「とりあえず勝利点を得ておきたい」という場合以外、あまりない話になります。
更に言えば、様子見のプレイングとも言えます。
シャッフル後の次の周に引くこと前提なら金貨の方が柔軟性は高いともいえます。
農地を購入した場合、その時点では2点リードしていますが、次に「0〜1金+」で引いた場合こそ屋敷での1点差しか埋まりませんが、「2〜4金+」なら公領と屋敷の2点差で結局トントン、「5金+」なら属州と公領差で3点差で逆転され、「6〜7金+」なら金貨側も属州+農地を獲得する(金貨側はこの時点で8点プレイで農地も獲得する)のでトントンとなります(さらに「6金以上+金貨+金貨/農地」なら、農地側も8点プレイで2枚目の農地を得るため、最初に農地を買った方が2点多くなりますが)。
また、先に金貨を買った場合、「6〜7金+」を引いたけど農地が売り切れている場合も対応できます(その場合、最初農地が「農地+公領」に対して、金貨だと「属州」1枚となり、1点逆転される)。
また、次のシャッフル後に引かないことが前提なら、公領を買ったほうが点数は高くなります。
もちろん、様子見のプレイが悪くない場合もありますが、中途半端な感じはします。
あと、細かい状況(上家のプレイヤーが貢物をプレイしているとか、片方の枚数が少なくて山切れが近いとか)がなければ、農地とハーレムが並存するサプライだと、改築効果を使わない場合の6金での購入では、ハーレムは農地の上位互換という事になりそうです。

その他、呪いが撒かれる環境だと、6金の場合に公領を買うより農地で呪いを屋敷にして4点プレイや、呪いを2コストの有用なカードにして3点+αプレイの方がよいプレイになる可能性は高くなります(6コストの農地がデックに入ることも含めて)。

また、2人戦で良くある属州が買えない場合(最後の属州を買っても点数で負けているとか、残り属州2枚でターン開始時に微差で負けている場合など)、「6金+銀貨(3コストのカード)」で農地+公領の5点プレイをする場合もあります。

また、ゲーム終盤でデックがシャッフル直前のような場合、「6金+銅貨」の7金の場合、大抵のデックの場合、公領購入より「農地購入+銅貨改良で屋敷獲得」の方が「属州の足場となる6コストのカードが1枚増える(ただし、銅貨が屋敷になって購買力が少し落ちる)」分だけ、同じ3点プレイでも良くなる場合は多そうです。

他に、農地関連で注意すべき点としては、農地が売り切れると、「6金払えば+2コストの改築効果」が利用できなくなります。そうなると、手札の農地は単なる勝利点です。
他プレイヤーが農地購入時の改築効果を期待したプレイングをしている場合、6金出た際に公領ではなく(1点少ないけど)最後の農地を買って枯らすプレイングが有効な場合もあるでしょう。
また「8金+農地」の手札の際に、自分や他プレイヤーの状況にあわせて、無駄に農地を1枚消費すべきか検討する必要があるでしょう。

あんまりまとまりがないですが、この項目はこの辺で。