中庭ステロイド(その3)
ということで、途中の寄り道が長かったですが、中庭ステロイドの初手として「中庭−銀貨」と「中庭×2」の比較検討の最終回です。
(その1)に書いたとおり、3〜4ターン目の金貨到達率で比較すると「中庭−銀貨: 63%」、「中庭×2: 35%」(詳細)と、圧倒的に「中庭−銀貨」に軍配があがります。なにせ「中庭×2」の35%は、「銀貨×2」の場合の3〜4ターン金貨到達率の42%よりも低くなります。
ただ「中庭×2」の場合、まず中庭が底に沈む(3〜4ターン目に引けずに5ターン目に初めて引く)ということがなく(1.5%)、3ターン目に中庭を引く確率が68%、3ターン目に引けなくても4ターン目には引く確率が30%と、「中庭−銀貨」の「3ターン:42%、4ターン:42%、5ターン(底):17%」に比べると安定してプレイできます。
とはいえ、そういった安定性や調整力を加味した上でも「中庭×2」の金貨到達率は低いわけで、これだけでは『「中庭×2」は安定しているが低速』ということになり、このままでは「ばらつくけど平均値は高速」の「中庭−銀貨」より良いという結論にはなりません。
中庭自体は「ドロー(+手札・山札調整)」カードなので、ドローするデック自体が弱ければ、中庭自体の効果も弱いままとなります。
結局は、デック強化のための銀貨(デックの平均コイン量がアップ)と、ドロー・カードの中庭と、どちらを先にデックに加えた方が効率が良いかという話になります。
ただし、「中庭×2」の場合、3〜4ターン目に安定して中庭が使える分、「中庭−銀貨」より分割管理状態に移行する確率が増え、また、中庭の調整力で次のターンの手札を整えることが出来ます。
「3〜4ターン目の金貨到達率」といった数値としては評価できませんが、それらの効果による5ターン目以降の手札、山札状況(主に中庭の配置)も加味しないと、最終的な比較は出来ないと思います。
ということで、各パターンに分けて、「中庭−銀貨」と「中庭×2」の5ターン目以降の手札状況を比較しました(詳細)
それぞれ、「3ターン目に中庭を引く場合」、「(3ターン目に引かずに)4ターン目に引く場合」「(3〜4ターン目に引かず、つまり底に沈み)5ターン目に引く場合」に分けて整理してみました。
「中庭−銀貨」の場合、
3ターン目に引く(42%):4ターン目の手札を調整し、4ターン目に山札を丁度引きります。
5ターン目は全14枚のカードをシャッフルした後に、そこから5枚の手札を引くことになります(大きな一つの山札から引くことになり、分割管理状態にはなりません。山札には中庭2枚を含みます)。
2枚の中庭を含む14枚の山札から手札5枚を引いた場合、中庭を1枚以上引く確率は60%となります。つまり、5ターン目に中庭を引いてプレイできる確率は60%となります。
5ターン以降の手札状況的には【△】でしょうか。
・4ターン目に引く(42%)残り山札2枚の状態で中庭を打つことになり、シャッフルが入ります。3ターン目の手札+3ターン目の購入カードの6枚で新しい山札が作られ、そこから1枚を引いて、その後に手札から1枚を山札に戻します。
ここで3ターン目に購入したカードでパターンが分かれます。
3ターン目に中庭を買っていれば分割管理状態に移行します。プレイした中庭のドローで、(新しい山札から)2枚目の中庭を引いた場合も、山札に戻すことが出来るので安心です。
6枚の新しい山札の一番底(6枚目)に中庭がいない限り、5ターン目の手札には中庭が含まれることになります。
5ターン以降の手札状況的には【○】でしょうか。
3ターン目に中庭なしで金貨を買ったレアケースの場合(3ターン目の手札が「銀貨、銅貨×4」)、新しく出来る山札は中庭を含まないことになります。その上で更に4ターン目も金貨を買えるレア・パターンもありえますが(新しい山札から引く1枚で金貨を引いた場合)、普通はここで2枚目の中庭を買うことになります。
そのため、4ターン終了状況は「手札5枚(中庭を含まない)、山札1枚(中庭でない)、捨札8枚(中庭2枚含む)」となり、中庭の配置的には、面白くない配置【×】になります。
とはいえ、3ターン目に6金出たのに、金貨を買わずに中庭を買うのも何か違うような気がします。
ちなみに、中庭で引いたカードをそのまま戻せば(元から銅貨×3はあるので、金貨を引かない限り、引いたカードを元に戻すことになると思いますが)「4ターン目に2枚目の中庭を買いつつ、5ターン目の金貨が確定(元々3ターン目に金貨を買った「銀貨、銅貨×4」の5枚の手札に、金貨を加えた6枚の山札から5枚を引く)」となります。
序盤の目的は、ぶっちゃければ「金貨を買うこと」であり、中庭をプレイすることは手段であって目的ではありません。なので、中庭がプレイできなくても金貨を買えれば、5ターンの手札状況としては【○】かなと思います。
また、この場合の6ターン目は、2枚の中庭を含む一つの大きな山札から手札を引いていく形になり、良くはないですが、悪いというほどの状態でもないです。
ちなみに、「-Stef-’s Dominion Academy」というサプライ考察の記事のQuestion7において、初手「中庭−銀貨」のこのパターン(3ターン目に「銀貨、銅貨×4」で金貨を買い、4ターン目に中庭をプレイ)が出ており「パーフェクトな引き」と評していますが、どちらかというと「中庭−銀貨」スタートの場合、3ターン目に2枚目の中庭購入で、4ターン目に中庭プレイで金貨を買いつつ分割管理の方が「パーフェクトな引き」のような気がします。
・5ターン目に引く(17%)少なくとも5ターン目に中庭を1枚引くことは確定しています。
「底に沈んだ中庭+他1枚」の2枚を引いた後に、残りの12枚(中庭1枚を含む)をシャッフルして出来た山札から3枚を引くことになります。
この時点では分割管理ではありませんが、新しい山札(12枚)の底2枚に中庭が沈んでいる場合を除き(つまり「1 - 2/12 = 10/12」で83%)、6ターン目も中庭がプレイできます。6ターン目に中庭がプレイできる場合、残り山札が2枚なので、手札と山札に2枚の中庭が分割した状態になります(カードの総枚数が多くなったため、7ターン目以降は分割状態が継続することはありませんが)。
5ターン以降の手札状況的には【○】といえます。
「中庭×2」の場合、
・3ターン目に引く(68%):
3ターン目に中庭をプレイして、4ターン目の手札を調整することが出来ます。
4ターン目の中庭プレイが確定しており、4ターン目にプレイする際は、「3ターン目の手札(3ターン目にプレイした中庭で引いた分も含むので7枚)+3ターン目の購入カード」の8枚の山札から3枚引き、手札から1枚戻すことになり、手札と新しい山札に中庭が1枚ずつの分割管理状態となります。3〜4ターン目に続き、5ターン目にさらに中庭をプレイできる確率は9割を超えます。
5ターン以降の手札状況的には【○】といえます。
・4ターン目に引く(30%)4ターン目に中庭をプレイした際に残り山札が2枚なので、シャッフルが入って分割管理に移行するのは「中庭−銀貨」の場合と同じです。
違いといえば、4ターン目の中庭のプレイ時に、別の中庭を山札に戻すことになるので、5ターン目に中庭を引くことが確定しています(とはいえ、山札が6枚しかなく、そこから5ターン目の手札5枚を引くので、6枚目の底にさえ中庭がいなければ引いてくる状態であり、そこまで大きな差というわけではないですが)。
5ターン以降の手札状況的には【○】といえます。
・5ターン目に引く(1.5%)
5ターン、6ターン目に中庭プレイが確定します。
6ターン目の中庭プレイ時に、山札が2枚しか残っていないので、2枚の中庭が分割した状態になります。
5ターン以降の手札状況的には【○】といえます。
初手「中庭×2」の場合、常に5ターン以降の手札状況は【○】となります。
ちなみに、分割管理の利点は、
・ ドロー・カードが被る確率が低くなる
・ 山札の枚数が少なく回転が速いので、通常の「底に沈む」という危険がなくなる
となりますが、実は中庭×2枚プレイの場合、被っても戻せば良いので、そこまでありがたみは無いという話があります。
4ターン目に分割管理に入った場合、5ターン目の手札をひく前の状態は「山札6枚」と「捨札8枚」になります。
この場合、5ターン目に中庭を引いてプレイすれば、残り山札が1枚のため、その際もシャッフルが入って分割が維持されます。さらに、6ターン目も首尾よく中庭をプレイできた場合は、ここでもシャッフルが入り、分割が維持されます。
が、分割管理もここまでで、7ターン目はデックの総枚数が多くなりすぎたため、中庭をプレイしても山札を引ききってシャッフルを発生することは出来ず、一つの大きな山札が出来てしまい、分割管理は終了します。
といった状況を整理したのが(別図)になります。
さらに、5ターン目の手札や中庭の配置状況の「○」「△」と、4ターン目終了時点に金貨を購入できているか否か(1〜4ターンの間の購入カードが、「中庭×2、金貨、銀貨」なのか、「中庭×2、銀貨×2」なのか)だけにしぼって結果を分類し、レア・ケース(3〜4ターン目に金貨×2を購入したり、パスが入ったりする場合)を除いて、簡略化して比較したのが別図になります。
【中庭−銀貨】
金貨で○ 28%
金貨で△ 34%
銀貨で○ 30%
銀貨で△ 8%
(金貨合計:62%、銀貨合計:38%)
【中庭×2】
金貨で○ 32%
銀貨で○ 64%
こうやって見ると、最良の「金貨で○」の確率は「中庭×2」の方が高くなっています(「中庭−銀貨」28%に対して、「中庭×2」が32%)。
「金貨で○」で28%、「銀貨で○」の30%分は共通なので、そこを除いた比較結果は、
「中庭−銀貨」 :「金貨で△」34%、「銀貨で△」8%
「中庭×2」 :「金貨で○」4%、「銀貨で○」34%
となります。
こうやって眺めるとどちらもありのような気がしますが、私は「中庭−銀貨」を選ぶかなという気がします。「金貨で△」の場合も、5ターン目は60%の確率で中庭を引くわけで、絶望的な配置状況というわけではないですし。
これが中庭2枚のステロイドでなく鍛冶屋2枚のステロイドなら、被る危険が高くなるので「△」と評している状況(14枚の一つの山札に、ドロー・カードが2枚)はあまり好ましくないのですが、中庭の場合、2枚被っても「山札に戻す」ことが可能なので、そこまで嫌な状況でもないという話があります。
そうなると、やっぱり早期に金貨が買える確率が高い方を取りそうな気がします。
ちなみに、「神の子モード」(確率無視で、好きな順番でカードを引ける場合)は、初手「中庭−中庭」で始めて、3〜4ターン目に中庭を連打しつつ、どちらのターンも金貨を買うパターンが最強そうでしょうか。
ということで、次回は、途中で疑問が生じた「仮面舞踏会−銀」と「仮面舞踏会×2」の初手に関して検討したいと思います
ではでは。